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おっさんの徒然エッセイ

貨幣損傷等取締法のお話

先日、YouTubeを見ていてなんとなく考えたことをつらつらと書いて見ました。



 奴隷はちょっとした空き時間にYouTubeを観ることが多いんですが、最近、お勧めに出てきた「硬貨を磨いてピカピカにする」チャンネルを観ることがあります。


 奴隷は錆びた道具などを修復する動画などが結構好きで、自分でも仕事柄、そうした錆落としや修理をするので、参考にしたり、単純に楽しんで観ていて、硬貨磨き動画も、かなり以前にお勧めで観たものが、またお勧めに出てきたので、懐かしいなーなんて思いながら観ていたんですね。


 で、この投稿者さんが、古銭をこれでもかと、切ったり曲げたり焼いたりして破壊する動画を上げているのがお勧めに出て、どうしたんだと思ったんですが。


 コメント欄で、現在発行されている貨幣を磨くのは違法だとしつこく書かれることへの皮肉をこめた意趣返しではと書いてあって、そう言えば、そんなコメントをちょくちょく見かけたなーと思って納得したんですよね。




 さて、実際にコイン磨きが違法なのかと言えば、勿論そんなことはありません。

 夏休みの自由研究でコインをピカピカにした小学生が触法少年として指導され、親や指導した先生が罰金刑に処されるなんてことは無いんですね。


 ではなぜ、コメントした方は「違法」と書き込んだのか。


 彼等は、コイン磨きを貨幣損傷等取締法違反、鋳造貨幣損壊罪にあたると指摘します。


 確かに、貨幣損傷等取締法により、鋳造貨幣を鋳潰したり、損壊することは禁じられており、また、その目的のために貨幣を集めることも禁じられています。



 なので、コメントしている方は。


 「ほら見ろ、日本では貨幣を傷つけるのは禁じられてるから、ピカピカになるまで磨いて貨幣を磨り減らしたら犯罪だ」


 そう仰る訳ですね。



 でも、実際のところ、綺麗にする目的で磨いたり、拭いたりすることは禁じられていません。



 そもそも、なんでこの法律があるのかって話なんですが、例えば1円玉は使われているアルミの価値が1円を上回っています。


 なので、沢山1円を集めて鋳潰したあと、インゴットにして売れば利益がでるかも知れません。


 ですが、そんなことをされては困りますよね。

 こうした行為を取り締まるための法律なんですね。


 実際、貨幣損傷等取締法で鋳造貨幣、ようは硬貨を鋳潰したり、故意に変造することを禁じていますが、紙幣については禁じていません。


 造幣局のコメントとして、「皆で使うものですから、落書きをしたり、故意に汚したりせず、大切に使いましょう」とマナーの周知がされているだけです。


 なぜかって、紙幣を壊しても自分が損するだけですし、いくら特殊な塗料と造幣にしか使うことを禁じられた印刷方法が使われていようと、所詮は紙ですからね。


 硬貨のように鋳潰して別の形に変えて価値を生み出すなんて出来ない訳で、まぁ、例えば、相場が変動するほどの量を一気に燃やして、通貨不足にしてFXや株、国債などの相場を変動させて、空売りなどで儲けようなんて、小説のような話があるかも知れませんが(実際にルパ○三世のマンガ版の中にそんなエピソードがありましたね)まず、上手くいきませんし、其処までの量をどうやって集めて、一気に破損するんだって話で非現実的過ぎて、想定する必要がありませんね。


 単純に損するだけなら、やる人もいないだろうしと、法律で禁じられてないんですね。


 話を戻しますが、鋳潰して別のものにして売る。そういうことを取締る目的で作られた法律で、流通する上で問題ないどころか、綺麗にして大切に使ってくれるんであれば、それは「違法」では無いんですよね。




 コメントを書いた方は。


 「なんか、コイン磨きだけで凄い再生数稼いでて、ムカつくな。おっ、調べたら硬貨を損傷したら罪になんのか、じゃあ犯罪者じゃねーか、コメントしてやる」


 と考えたアンチだったのか。


 「硬貨を損傷したら罪に問われるって聞いたことあるぞ、なら、これも罪に問われるだろ」


 と考えただけなのか。


 どちらにしよ。法律が定められた理由と実際の条文、その後の運用における判例などを調べれば、それが間違いなのはすぐにわかることなんですね。


 この件で奴隷が感じたのは「主張が間違いでも」「炎上」に繋がる。または繋げるまで燃料を投下しようとする方がいるということです。


 幸いに、コメント欄には正しく法律を理解しているコメントが多く、また、そうしたカウンター的なコメントのおかげで、事態を間違うことなく理解している方が大半でしたが、それでも中には間違った知識を得てしまい、一緒になって批判をする方もいるんです。



 奴隷自身も気を付けなければと思いますが、何かを発信するさい、特に特定の人物や団体などを非難したり、否定するさいは、一次ソースに出来るだけ近い情報を得る、副次ソースで裏取りや、様々な視点の情報を得ることの大切さを今一度、再認識させられました。



 さて。


 オマケではありませんが。


 海外の動画で、ハーフダラー硬貨を線路に置いて、電車に轢かせてペッタンコにするものを昔に観たことがありますが。

 こんな行為であれば、他国はともかくとして、我が国なら、まず線路に置いた時点で電車の安全走行を妨げた疑いがありますし、貨幣を故意に損壊、変造してますから罪に問われると思いますね。


 YouTuberなど、配信者が、「紙幣は違法にならない」と一万円札を燃やしたり、切ったり、切った状態で使えるか試す動画なんかを出したら、間違いなく炎上すると思いますが、再生数ほしさにやる方が出てきたら、処罰の対象になるように改正されることもあるかもしれませんね。



 何もかも法でがんじがらめにしては生きにくいですが、「法で禁じられてなきゃいい」という発想でマナー違反を繰り返せば、いずれは全て禁じられてしまうかもしれません。


 間違った法律解釈で安易に人を責めて、傷付けることも、常識に悖る行為だと思います。



 コインをピカピカに磨いてくれて、自販機からこんなコインが出てきたら嬉しいだろうな、磨いてくれてありがとう。


 普通にコインを磨いている動画を見た人が抱くであろう、ごく当たり前な感想を持てるかって、大事なことなんですね、意外と。






 

感想お待ちしてますщ(´Д`щ)カモ-ン

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― 新着の感想 ―
[一言] 1円玉や1セント硬貨は、昔から金属の値段が上がるたびに話題になりますよね。 他にもグレーチング、マンホールの蓋、電線、公共施設に設置されている金属製品、廃墟の窓枠などなど。 辛坊治郎氏は「日…
[一言] 紙幣についての話はついこの間も出ていましたね。主張とか不思議な文言が書かれている紙幣が有ったとか。払った払ってない盗まれた、の話もあるので、手に入れた紙幣には全部名前を書くというのも良いかも…
[良い点] 単にコインを磨いてよごれを落とすなら問題ないですね。 機械の金属タワシで本体まで削っちゃうと問題視されるかも? 他に科学実験で金属の成分を変えてしまう使い方とか、手品でコインを傷つけるの…
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