黒木淳のお話9 日常の変貌
うさぎは無惨に死んでいた。
理沙「ん?」
それはぐちゃぐちゃになった肉とうさぎの耳、ちぎれた毛であった。理沙は悲鳴をあげた。
「誰がこんな…」
淳「うぷっ…おええええ。」
ゲロゲロゲロゲロ…朝飲んだ牛乳とトーストが混じっていたのか白と茶色のゲロが出た。血とゲロの臭いが混じってヤバい。
「大丈夫!?とにかく先生…誰か先生を呼ばなきゃ。」
それからは大騒ぎだ。学校中にうさぎの死は広まって話題になっている。無論、理沙と俺の教室も例外ではなく教室中が話していた。
女子A「うさぎは2匹いたんだけど、見つかった死体は一匹だけなんだって」
女子B「片方をさらっていったってこと?」
女子A「そういうことだと思う。」
女子B「じゃあもう片方のうさぎを何のために殺したの?」
女子A「食べたかったとか!」
女子B「普通にありそう」
女子A「何にしろ、絶対にろくな人間じゃないね」
女子B「同感」
横目に聞いてて気分が悪くなる会話だった。
淳「気分悪い」
理沙「また保健室行く?」
「いや大丈夫。逆流した後の気持ち悪さだけだし」
理沙は心配そうな目で淳を見つめた。
「もう一回口すすいどけば?すっきりするよ」
うがい場に行った。
「一応しとく。というか臭いする?」
「…吐いた直後は臭かったけど、今はそんなことないよ」
少し引いたような顔をしていたのを覚えている。
「申し訳ない。理沙の制服につかなくてよかった」
彼女に1日中ジャージを着させる羽目にならなくて良かった。それに制服はそこそこ値段がするのに大惨事になっているところだ。
「臭いとかは服にうつってないはず。やっぱすぐに脱がしたからかな」
俺が催してすぐに制服のネクタイとブレザーを外してくれた。おかげでゲロは付かなかったし、臭いうつりもしなかった。
「色々ありがとう。いつも助かってる」
本当に嬉しい。沢山愛を与えてくれる。
理沙は手いじりをしながら少し顔を赤くした。
「ま、まあ付き合ってるからね…これくらい当然というか何というか。ほらっ授業始まっちゃうよ。集中。集中だよ。淳!」
…受けたくないな授業。