黒木淳のお話4 いつもの日常
黒木淳の記憶が戻っていく。
ピピピピ・・・・
けたたましく目覚まし時計の音が鳴り、止めるためにベッドから目覚まし時計の置いてある机に手を伸ばした。
カーテンの隙間から太陽の光が差し込んでいてあったかいが、外気は寒い。
淳「うう…眠」
外気が寒い冬の朝だった。
朝の身支度を終えてリビングに行くとラップされた朝食と手紙があった。親は父母共に出勤していた。
『おはよう淳。最近忙しくてごめんね。これ今日の朝食です。美味しく食べてね』
モグモグと全部残さず食べた。
「ちょっと早いかな?まあいいや行ってきます」
身支度を整え、誰もいない玄関でそうつぶやき家を出ようとした。
キンッ!!突然とんでもない耳鳴りに襲われた。それと片目に激痛が走った。
「あぐああああ…!」
フラフラと揺れて座り込む。
どうなっているか分からず隣にある鏡を見ると…
「!?」
片目の黒目が消えて、その目の縁に虹色の線が走っていた。
「なに…」
意識が遠のく…苦しい…苦しい…苦…
はっ!?
いつの間にか外に出てボーっと青空を見て歩いていた。外気による白い息が出る。
冬なのに背中は汗だくだった。
スマホのカメラで目を見る。いつも通りだ。
幻覚?
受験ノイローゼ…なのだろうか、夜中の2時まで勉強がたたっているのかもしれない。
「…今日は早めに寝よ」
すたすた歩いていると、後ろから肩を叩かれた。
立ち止まって振り向くと同じ身長くらいで背の高い女の子が立っていた。俺の彼女の理沙である。背丈は170㎝ある。
淳と丁度同じ身長だ。モデル体型で胸はあまり大きくなくスレンダーだ。美人で今時のギャルっぽい。
「あっ理沙か。おはよう」
笑顔で話しかける。ちょうど俺は彼女の家に向かうつもりだったが、先回りしてこっちに来てくれたようだ。
「おはよーう。ふふーん」
理沙がにこにこ笑いながら腕を交差させて手を握ってきた。
「おおっ」
「ふふふ」
理沙は上機嫌で笑った。肩が触れ合って心地良い。理沙の手はヒンヤリしていた。
「淳の手はやっぱりあったかいなー。はあー最っ高!!」
そう言いながら頭の臭いをかいでくる。それはちょっとやめてほしい。
「理沙は冷んやりしてるよね。女性ホルモンが多いとそうなるとかなんとかって昨日のテレビでやってた」
「ふーんじゃあ私女っぽい?デカいけど」
あっ。
理沙は何故か背の高さを気にしている。モデル体型、美人なのに…まあ胸はないが。人のコンプレックスは分からないことが多すぎる。俺は全然いいと思う…
「…色っぽい女」
ボソッと言った。
「好き。マジ好き」
それを聞いた理沙が中々やばい顔をしながら体をこすりつけてくる。あたたかい。
よく分からないが喜んでくれてうれしい。
通行人にガン見された。
適当に彼女といちゃつき学生生活を送る。周りの人よりちょっと素晴らしい人生だと思う。
「ところでさ…。今度2人で遊びに行かない?たまには息抜きも必要だと思うんだよね、淳めちゃくちゃ勉強してるしさ」
おっ何処に行きたいんだ?
「良いけど何処か行きたいところあるの?」
理沙の表情がさらに明るくなる。
「東京デステニーランドとかどう?」
「まじ?行きたい。チケット予約しなきゃ」
めっちゃ行きたい。ヤバいわくわくする。
理沙は得意げな顔をした。
「予約はしなくて大丈夫。なんと…!オンラインくじ引きでチケット2枚当てているからー!!」
理沙が手をパチパチ叩く。しかしすぐに淳の手を握った。
「すげええ!!最強かよ!」
すごいな!
「でしょー?来週の月曜日の朝5時に私の家の玄関で待ち合わせね」
「いや行く日決まってるのかい。ま、まあいいや。月曜日の朝5時ね。分かった」
行く日勝手に決めてるとか中々すげえ神経してんな。まあそういうところも可愛いからいいけど。
ん?朝5時はともかくとして月曜日?