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あなたの慈愛とともに  作者: りんた
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創生 神候補の闘い

満点の星空の中。衝撃の波が森の木々を震わす。緑の光と黒い光がすさまじい速さで移動しながら幾重にもぶつかり合っているのだ。


幾千万もの光の残像が空中に散った。


緑光と黒光は空中で止まる。動物がようやく視認できるそれらは人の姿をしている。


  ハデス「…」


黒い光を放つ黒髪で茶褐色の眼を持つ美麗な顔立ちをし、息を切らしている大柄の青年ハデスともう1人…。


  ゼウス「…。ハデス兄上」


緑髪と緑色の眼を持った青年だ。細い優男のようでハデスとは別系統の美しさだ、ただ何処か不気味な雰囲気を漂わせている。


ゼウスは笑った。


   「…ようやくだ」


ハデスは自らの左腕を見た。肘から手まで海藻が毛穴からびっしり生えてぐじゅぐじゅと奇妙な音を立てている。血管にも入り込み、全身に広がろうとしているがハデスはそれを意識的に抑え込んでいた。



      「ポセイドン兄上の術を治せる余力はないみたいだね、…ここで絶対に終わらせる」



 そう言うとゼウスは目を大きく見開き虹色に輝かせた。髪が逆立ち、大きく空気が揺れる。



わけの分からない声をあげると白く輝きおぞましく大きく変形していく。


      「…」


ハデスは初めて驚いた。


  ドゴゴゴゴゴゴ。空を穿つ真っ白で巨大な人型が森中の木々をなぎ倒し地上に降り立った。

森かつ平地だった場所はクレーターのように深く凹んでいる。しかしそれだけにはとどまらなかった…



辺りに土埃や木片が舞い散る中…。



凄まじい風圧を起こしながら人型は大きく腕を広げると高音の雄叫びをあげた。シロイルカのような動物にさえ聞き取れない超高周波だ。


森のあちこちから血が出て木や地面にかかった、森に住む動物たちが強制的に生命を終わらされているのだ。


ハデスの耳、目、鼻、口からブシュッと血が出た。とっさに耳をふさいだものの無駄だった。


  「…うむ」


ハデスはその場から離れるようとするも…空中で逆さまになってしまった。


  (…?)


先刻の高周波は脳や三半規管にも影響を及ぼしてしまっていたのだ。


  「…」


ハデスは自らの終わりを悟った。


キュイイイイン。膨大なエネルギーが瞬時に人型に集まる。


…次の瞬間、辺りは閃光で真っ白になった。


ハデスはその光を浴びてばらばらに砕け散った…


が。


ドゥン!


 「な!?」


いきなり空気中からとてつもない量の瘴気が発生し森を包み込んだ。ゼウスの光を一瞬で飲み込み、残っていた木や植物は一瞬にして形を歪め、ゼウスの攻撃から難を逃れていたあらゆる生物が穴という穴からどす黒い液体を垂れ流して死んだ。


豊かな生命あふれる森は一瞬にして、ほぼ永久的に呪われた生命があふれることになったのだ。


悪夢の森。


そう名付けられたこの森は封印され、今では番人の一族が住むのみである。


真実の神話より抜粋


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