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最強の娘と虚名を得た俺は、乱世から逃れられないので終わらせる!  作者: 楼手印
4章 軍師いわく「乱世エンジョイ勢が発生しました」
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012話 作戦変更! 北西には迷惑な連中

 フェリシアの部隊と合流し、論功行賞などの事後処理もほぼ終えた俺達反乱軍だが。

 実はまだドドロームの砦から動いていなかった。

 

 想定よりは少なかったとはいえ、数百人単位での死者や離脱者が出てしまっており、再編成やそれにともなう訓練が必要だったからだ。

 編成終わり! それじゃあ今日から組になった奴らと命を預けあって連携をとってくれ! という訳にはいかないのである。

 

「……とはいえ編成作業は全て終了しておるし、音による合図などの変更は無いのじゃ。数日中にはどうにか動けるかの」

「では我々の最終目標である王都を突く――その為に提案していた戦略の変更についてですが」

「北上し、王都との間で敵軍との会戦、その後王都の攻略戦というのが本来の予定。その前にニーネを落としておきたいとの事でしたが」


 軍議に参加しているのは俺とジロー、顧問と軍師、フェリシアと側近のサビーナさんの6人だ。

 今回は攻略目標を変えるという大きな話だったので、自警団と傭兵団の両団長は「もう少し現場段階の話になってから呼んでくれ」と言って欠席中。

 そういやフェリシアに付いてた生意気な少年もいないな。

 あいつはあくまで護衛や小間使いって事なんだろう。

 俺もミュリエルとパトリスは連れてきてないからな。


「前回にそうしたいと言ってたのは聞いてたけど、王都を落とせばおしまいだろ? ニーネは公爵領らしいけど、王都が落ちた後じゃ再起は難しいだろうし」


 さすがに反乱軍全体の行動計画なんで、資料とかは渡して貰えない。

 こういう幹部会議で直接聞くしかないのが面倒なところだ。

 軍だけでも数千人、補給に携わってる外の人間を含めれば簡単に万を超える数の人間が関わってるからな。

 どこで漏れるか分かったもんじゃないのだ。


「今回の戦でハッキリした事がひとつあります、ユベール将軍とは正面から当たっては勝てません」

「うむ、地の利があちらにあった事を別にしても、余程の犠牲を覚悟しなくてはあの部隊の撃破はかなわん……という結論に達しての。もう戦わん為に、ちと手順を変えようとなったのじゃ」


 まあなあ……。

 俺たちが砦の城門を占拠して味方を引き入れ、城壁内部の施設に立て籠もった敵兵もミュリエルの魔法で脅して降伏させた。

 これで大勝利! と狼煙と旗を上げ、ジロー達に砦の陥落を知らせてみたんだが……。

 その後にあったのは関所を開いて、撤退するユベール将軍にお通り願ってお見送りするという、なんとも言えない光景だったのだ。

 

 いや向こうも拠点を落とされて撤退するんだから、別の感想を持ってただろう。

 それでも関所を閉めて全部隊で包囲、殲滅! なんてやってたら、死を覚悟した精鋭部隊にどれだけの被害を与えられるか分かったもんじゃない。

 なのであちらに使者を出し、一時的な休戦協定を結んだわけだ。

 大人しく降伏するよりは、全力で包囲を突破する道を選ぶタイプらしいし、顧問の指示は現実的な判断だったと言える。

 なにせ調子に乗って将軍に追撃を加えた連中が、大損害出してるしな。

 撤退するあの部隊に追撃をかけるのが難しいのは、アオの町の防衛戦で俺も痛いほど味わっているんで、無茶しやがって……の一言だ。

 ちなみに降伏した砦の守備兵は、将軍に引き取ってもらった。

 捕虜に食事を与えられるほど、こちらも余裕はないからな。


「それに関連してですが、良いのか悪いのか判断しかねる報告が先日届きました。帰還したユベール将軍がわたくし達への討伐任務から外れ、北西……ニーネ方面の鎮圧を命じられたそうです」

「公爵からの評価が高いってのは本当なんだなあ……」


 結果だけ見りゃ将軍は俺たちに連戦連敗のはずなんだぞ?

 俺たちから見れば、勝った事なんて一度も無いんだけどな!


「ふむ……では直接ニーネに向かうのではなく、先に王都からの討伐軍と戦う事になるでしょう。そこにはユベール将軍がおりませんので、良い知らせと言えます」

「その後に王都に迫れば、将軍は間違いなく呼び戻されるじゃろうの。その隙に別働隊を向かわせて戦力に乏しいニーネを陥落させれば良い。それによって公爵の力を削ぎ、穀倉地帯であるニーネ陥落を王都に知らせ、民と兵に食料供給がさらに滞ると恐怖せしめるのじゃ」


 うちの参謀2人は、戦術とかより嫌がらせが得意だな?

 それだけじゃ王都に戻った将軍と戦わない、とはならないので他にも何かあるんだろう。


「将軍が鎮圧に向かった北西の反乱ってのは? 黄頭巾ってのは聞いてたが、他よりも規模が妙に大きいよな?」

「……犯罪者を中心に構成された、わたくしの部下達が主体となっています。何かの役に立つかと数年前に雇用した、人を扇動するのが得意な方達です。公爵家に軟禁される前に出した最後の指示は、公爵家の所領であるニーネ周辺を荒らすようにという物でしたので」

「民を扇動して黄頭巾を被らせ、好き放題に暴れておるという訳じゃの」


 なんだその迷惑な連中……。

 いや味方なんだろうけど、この食糧危機の中で穀倉地帯を荒らし回るってまともな神経じゃできないぞ。


 一体どこの野盗共を雇ったんだよ。

ブクマ、評価、感想、誤字訂正等いつもありがとうございます!


明日の土曜日なんですが、外せない用事が出来たので更新を1日お休みさせて頂きます

ごめんなさい!

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俺とポンコツ幼馴染と冒険とパンツ
― 新着の感想 ―
[気になる点] ユベール将軍がいないのならなんとかなりそうですね。 他の貴族が騒いだでしょうし伯爵はだいぶ参ってそうな予感… [一言] 章の最初のアレはそういうことだったんですね。
感想一覧
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