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最強の娘と虚名を得た俺は、乱世から逃れられないので終わらせる!  作者: 楼手印
3章 動乱! 火付け役? なってやりますよ!
145/206

028話 戦闘結果、報告! さて次は…… 

「――ゴーレムの損害は新型が全滅、ストーンゴーレムが31,アイアンゴーレムが6。人はおおよそ2割といったところじゃの」

「ユベール将軍の部隊は、捕虜も含めて確認出来ただけで60人ほどの損害を与えています」

「ゴーレムに関しては修理が出来ないんで、実際はもう少し多めになるな。それと、この短い戦いでもリーダーシップを発揮した人間や、能力を見せた人間はいると思うんだ」

「難民の中から人材を登用したいという事ですね、今から調査を?」

「いや聞き取り自体はもう進めて、リストを作ってもらってる」

「ゴーレムについては損傷した物は町中での労働に回せば良いんじゃないか?」


 ユベール将軍が部隊をかなり後退させたので、こちらも全軍を町に撤退させ戦闘結果を報告中だ。

 しかしユベール将軍の部隊は定員が1000人で、損害が60人?

 こっちは人間に限っても20%の損害出してるのに、向こうは6%。

 これは正直……。


「ユベール将軍とは引き分けと言って良いでしょう。上出来と言っても良い結果です、ユーマ殿」

「そ、そうか……? 損害からすれば負けたと思ってたんだけど」


 俺の言葉に、顧問と軍師が呆れた表情で返す。

 数字から言えばそうだろ! 何その顔⁉


「ユーマ、ユベール将軍は歴戦の勇将であり率いる部隊は鍛え抜かれた精鋭だ」

「左様、それを相手に難民を率いてその程度の損失で済ませたのじゃ、どれほど高望みをしておったのかの……?」

「いやでも、作戦上は勝つつもりだっただろ?」

「負けるつもりで作戦など立てませんよ、その上で上手くいくかは相手次第なのですから」


 騎士のジローと野盗軍相手に指揮を取った経験のあるテオドール顧問、そして封印前に軍師をしていた経験があるらしいアイシャ。

 その3人が揃って「まあこんな物だろう」と頷いていた。

 

「しかしまあ、事情が事情ゆえ神竜殺しが指揮官となるは必定であったが、思ったよりも無難にこなしておったの? 特に伏兵のゴーレムを独断で動かした時は、こちらから催促の合図を送るつもりであったのじゃが」

「状況は動くんだから臨機応変ってやつだろ? 昔読んでた兵法書にもそんな事が書いてたよ」

「兵法書? そんな物を一般の家庭がなぜ……?」

「俺は山奥の家から外に出なかったからな、両親が本をたまに買ってきてくれてたんだよ」


 ただし本ってのは基本贅沢品、たまたま安い物があれば買ってくるってスタンスだったらしく、子供向けじゃない物が色々とあった。

 おまけに数もそれほどじゃなかったから、かなりのヘビーローテーションだしな。

 兵法書なんかでも、山奥での晴耕雨読な生活では貴重な暇つぶしだったんだ。


「ただ変な本だったぞ? 戦争のやり方を書いた本なのに、最初に効率が悪いから戦争なんかするなとか、最後はここまで色々説明したけど戦場なんか色々だから役に立つと思うな、とかだったからな」

「それはまた正直な……もう少し外連味を効かせてもいいでしょうに」

「出来る出来ないではなく、やってもらうしかない状況だったが、それならそうと言ってくれれば良かったじゃないか」

「本で読んだだけで戦争が出来るとか言ってる奴がいたら、俺なら近寄りたくないぞ」


 大体結局の所、ユベール将軍には手も足も出ない……退かせたからそうでもないのか?

 でも前に作った地図から将軍が本営を置くだろうって場所を予想して、足元に埋めておいたゴーレムは不発だったらしいしなあ。

 土塁の中からゴーレムが出てきたって報告を受けたらしい時点で、将軍が自分の足元からもゴーレムが出てくる可能性を察して、本営を動かしたみたいだが。


「この先指揮官としての経験を積んだとしても、あの将軍をどうにか出来る気は正直全くしないぞ」

「それでは困りますが、しかしこの町を取り巻く戦については既に十分でしょう」

「うむ、港と運河を包囲しておった敵兵は地中に伏せたゴーレムと、フランツ団長率いる傭兵団によって壊滅状態。大勢は決したのじゃ」

「足元からゴーレムに襲われた貴族共が慌てて逃げ出しましたんでね、後は指揮官を失った難民の徴用兵相手に騎射を浴びせて追い散らすだけ。正直楽な仕事でしたよ、次もこういうのを頼みたいとこです」

 

 そう、ユベール将軍以外には大勝を収めていたらしい。

 と言っても、少々の損害を受けただけの将軍の部隊と、残った500ほどの徴用兵はまだ町を包囲してるんだが。


「えらく簡単にいったみたいだけど、ユベール将軍はそっちには一切関わってなかったのか?」

「フェリシア王女は平民からの支持が厚く、ユベール将軍は平民出身であるからの。あの2000の兵は将軍への増員というよりも……」

「将軍を監視する……もしくはわたくし達に合流するそぶりを見せた時に、討つ為の物でしょう」


 それまで黙って席についていたフェリシアからの発言に、誰もがそちらへと視線を向ける。

 名目上はこの町の支配権を持ってるらしいが、運営については今に至っても一切口を挟もうとせず、俺達に任せっぱなしの王女様。

 今日はこの会議で飛び交う報告、会話を聞きながら、何故か演技ではない笑みをずっと浮かべている。

 そのくらいは分かる程度の付き合いにはなってきた、一緒に住んでるしな。


「確信があるような言い方に聞こえるけど?」

「トゥアール公爵は戦後の事も考えねばならないのです。公爵本人はユベール将軍を高く評価していると聞きますが、他の貴族たちの間で大勢を占める意見を無視は出来ません」

「国をまとめるために反乱を鎮圧しておるのに、貴族の反感を買っていては話にならぬからの」

「つまりこの後、そういう所を突っついた悪巧みをしている訳か」


 その辺は3人で相談してあるらしい。

 謀略なんてのは知ってる人間が少ないほど良いだろうから任せてあるが、まあ大体何をするのか予想はつく。

 手段についてはさっぱりだけどな。


「その辺りは主にフェリシア様の仕込みですが……逃散した敵の兵達も今後良い仕事をしてくれるでしょう」


 2000人の徴用兵から出た1500人ほどの損害。

 その大多数は死んだわけではなく、戦場から逃げ出した者達で構成されている。

 その後に野原で生活する訳もなく、国中の街や村へと移っていく事は間違いないだろう。

 そうなれば、当然経験した事を現地で話す。

 総勢3000人の軍隊で攻め寄せて大敗北を喫した、その総大将はユベール将軍だった、と。


 さてそこから、どうなるんだろうなあ。

ブクマ、評価、感想、誤字訂正等いつもありがとうございます!


ここまでに「監軍」としていたのを「軍監」と改めました

単語としての意味は同じなんですが、検索してみたら監軍だと近代の陸軍味が強い様に思えての変更です


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俺とポンコツ幼馴染と冒険とパンツ
― 新着の感想 ―
[気になる点] 兵法書って孫子だったり…? [一言] 割とやり方が悪質…ユベール将軍もやり辛くなりそうですね
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