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高校一年12月22日:陽キャ美少女と、自称負けヒロな金髪ハーフ美少女①

 夏休みに入る直前、ラノベ読書が趣味の俺にまさかの彼女ができた。


 俺の名前・吉屋(よしや)衛司(えいじ)をもじり「ヨッシー」と親しく呼んでくる彼女は、学校一の陽キャ美少女として校内でも有名で、彼女がお喋り好きじゃなければ、間違いなく俺なんかが恋人になることは無かっただろう。


 高校に進学してもクリスマスというイベントは、ただ家族で集まってケーキやらチキンを食べるだけになるに違いない――。


 ――中学生の頃はそう思っていたが、今年は一味違うクリスマスになりそうだ。


 日曜休みの今日も亜麻色の髪をした陽キャ美少女・二宮(にのみや)さんが、俺の部屋に来てベッドへ潜り込み、普段通りはしゃいでいる。

 ニット生地の服装なので布団の中は暑いだろうに、今日もそのはしゃぎっぷりが可愛いなと思いながら、俺はベッドのそばに腰を下ろす。


 二宮さんは頬を少し赤くしながら可愛らしい顔を、布団からちょこんと出した。


「ねえヨッシー。実は今モノマネの最中だけど、何の真似(まね)か分かるかな~?」

「風邪を引いちゃった時の二宮さんのお姉さんのマネとか?」


「残念、不正解~! 答えは『好きな男の子のベッドに潜り込んだは良いものの、彼の香りに包まれていることに絶賛ドキドキ中な女の子』の真似でした!」


「……それってマネとか演技じゃなくて、素の二宮さんでは?」


 つまり二宮さんは俺の匂いにドキドキした訳で、悪い気はしないというかむしろ嬉しいくらいだが、さすがに気恥ずかしくもあった。


 俺の反応に気を良くした二宮さんは、布団を被ったままドヤ顔を見せてくる。


「こうやって二人でイチャイチャするのって、すごく楽しいよね~」

「やっぱり布団に潜り込んだのは、俺をからかうのが目的だったのか!」


「ヨッシーもドキドキしちゃったなら、お互い様ということで! でも、二学期は残念だったよね~。教室でもイチャつきたかったな~」

「うーん……。でもお父さんと交わした約束は守らないと」


 海外赴任中の二宮さんのお父さんが『学校の人たちに交際中だと公言しない』という条件で交際を認めてくれた、と夏休み中に二宮さんから聞かされていた。


 だから俺と二宮さんの仲を陰から支えてくれた同級生の委員長は別として、友人知人には『付き合うって話は誤解だよ』とはぐらかすことになったが、二宮さんの心境としては付き合っていると公言して、大っぴらにイチャイチャしたいらしい。


「お父さんが許してくれさえすれば、四六時中ヨッシーとイチャつけるのにぃ~」

「仮にお父さんが許してくれても、クラスの男子たちは許さない気がする!」


 俺が学校一の陽キャ美少女の二宮さんと仲良くしていても、クラスの男子たちが何も言わないのは、彼女が誰にでも明るく話しかけるコミュ力カンスト系女子だと思っているからに他ならない。


 クラスカースト下位層の冴えない俺が、二宮さんと付き合っているなんて知ろうものならどうなるか、想像するだけでも怖いくらいである。


「とにかく二宮さんのお父さんの言う通り、交際中とは公言しないでおこう」

「うぅう~……。確かに『公言したら別れなさい』って、お父さんには釘を刺されちゃってるんだけどね~……」


 布団から出てきた二宮さんは、俺の隣に座って寄りかかってきた。


 二宮さんは付き合う前から陽キャ的距離感でスキンシップも多かったが、正式に付き合い始めてからはより一層、甘えたがりな面が姿を現している。


「不完全燃焼だな~。私たちって一度もキスしたことないもんね?」

「それは、その、そうだな……」


「皆に付き合ってるって内緒にする分、内緒にしないといけないことを少しくらいシちゃっても良いかな~って、私は思ってるんだけど……」


 いつも元気一杯な二宮さんの顔が、少しずつ真っ赤に染まっていく。


 以前二宮さんは『本当に最後のデート』と俺に勘違いさせて、キスをする約束を結んだ策士で、対する俺はずっとキスを誤魔化し続けているヘタレである。


 一度キスしてしまったら二宮さんの好きアピールが今以上に凄くなりそうだ。

 それは俺自身も望んでいるけど、まだお父さんの言いつけを守る時期だと思う。


 二宮さんが服の袖を掴んで顔を近づけたその時、インターホンが鳴り響いた。


「父さんも母さんも外出中だった。俺が応対しないと……」

「ヨッシーってば、また逃げる気だな~!」


「つい最近、空室物件になった隣から大きな物音が聞こえるし、誰かが引っ越して来たのかもしれない。俺コミュ障だし、引っ越しの挨拶だったらどうしよう」

「キスしてくれるなら、私も一緒に玄関に行ってあげるよ~」


「じゃあ一人で行ってくる」

「あぁ~! ヨッシーの頑固者~!」


 二宮さんの嘆きを置き去りにして、俺はインターホンを使わず玄関を開ける。


 すると金髪でブルーグレーの瞳をした長身美少女が立っていて、引越し挨拶用の手土産が入った紙袋を、呆然とした様子で俺に渡してきた。

前作『陽キャ美少女(裏アカ)』の後日談になります。

今作『陽キャ美少女(鍵アカ)』は、短編っぽいお話を投稿予定なので

そのまま今作から読んでも大丈夫かもしれませんが、一応 前作読了推奨?

※本日はキリの良い部分まで投稿予定です。あと二回ほど更新すると思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 続編きた!勝ったな、ガハハ! にのみーさんめっちゃテンション高いww 好き好きオーラがパワーUPしてる! ベット潜り込んでドキドキしちゃったりして 見ている方が可愛すぎてクラクラするw…
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