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イレギュラーズ  作者: Foless
3/5

第4幕 双剣

さて、こちらはアルファードサイド。

「人間の中に俺達と同じ力の保持者がいる」

聞いた瞬間背後から殺気がした。振り返るとそこに見知らぬ人がいる。

「よく僕に気づいたな」

「誰だい君は、逃げないと危ないぞ」

僕はとっさにそう答えた。よく考えなくてもこいつは明らかな敵なのに。急いで訂正する。

「あ、ごめん!悪気は無かった……ただ君小さいからさ、小学生かと思って」

「おいアルファード、フォローになってないぞ……」

チッ……舌打ちが静寂を呼んだ。

「貴様ら、舐めた口を聞くなよ……俺は貴様らより強いぞ」

「おいおい、一人称が変わってるよ。落ち着きなよ」

「どうでもよいことだろう」

「やめておけ。アルファードの喧嘩を売るのは関心とは言えんぞ」

敵が笑い出した

「このガキに何ができると……」

「その身長で僕をガキ呼ばわりするのかい?」

僕はキレていた。僕を侮辱することが許される人間などほぼいない。一瞬で敵の喉に剣を当てていた。

「最後まで話をきけ。そいつに対しては地雷が山ほどあるぞ」

敵が息を吐いた。

「馬鹿な、速すぎる……僕の力がね」

ありえない光景だった。先ほどまでFがいた空間そのものが無くなっている。

「F……?」

「ふはははは……もう奴はこの世にもいない、僕の能力、『ザ・ディメンション』によってな」

建物の陰から、コツコツと足音を立てて誰かが出てきた。

「得意げなところ悪いが俺はここにいるぞ。幻影をかっ裂いて喜ぶな」

「ようFそんなもんだと思ったよ。能力を把握したかったんだろ?」

「その通りだ、ベラベラ喋ってくれたな」

にしてもこのガキが注意すべき相手か?僕にはまだFの言っていたことがわからない。

「まあよい、次会うときまでに成長しておけ、ガキども!俺は帰らせてもらう」

「なるほど。自分を別の空間へ飛ばすのか」

「その通りさ!貴様らには追いかけさせん」

諦めて帰るか。そう思ってFを見ると、Fも頷いた。

僕たちは先ほどまでいたところに帰ることにした。後には放置された敵だけが残った。

「おい、待てよ!もうちょっと悔しがれよ!!無視すんなよ〜」

こうして僕たちのロンギヌスact1は終わった。


「アルファード、F、何をしていたんだ」

「リーデン済まない、私の悪い推理が当たっていたせいだ」

「言い訳するなよF、どれだけ迷惑をかけるか分からないお前では無いだろう。そしてフルールと藍原はどうした?」

「帰った。敵が他にもいる可能性があるため危険と判断し帰って報告書を書かせている」

悪びれないんだなFは……僕はそっと溜息をついた。ついでに口を開く。

「早く帰んないとやばいんじゃないですか?怪物はもう諦めて帰ったようですが、そのうち消防隊とか自衛隊とかが来るんじゃないですか?」

「錺の言う通りだよ。落ち着こうリーデン。って事で早く帰ろう」

「そうだな、私が悪かった。イレギュラーズは帰還する」


イレギュラーズ本部にて、帰って早々に反省会が開かれていた。

まずFが報告をする。

「……ということで我々の作戦の第1段階が終了した」

リーデンが納得いかない顔で口を開く。

「お前たちが場を離れた理由は?」

「それが今回の本題だな。実は俺とアルファードは人間の敵に遭遇した」

敵?人間?何を言っているんだろう。

「俺たち以外にもこの世界には力を持った人種がいる、しかも怪物の味方をしている可能性もある」

アルファードが問いかけた。

「あいつ一人かな?」

「明らかに複数人だ」

「根拠は?」

「怪物の腕を引きちぎったのは恐らくあいつだ。しかし、錺先生の腹を貫いたのは怪物でもあいつでもないからだ」

「少なくとも2人以上と」

「そういうことだ」

アルファードとFだけに分かる話が展開される。

「アルファードさんFさんすみません。何を言ってるか私たちにはいまいち理解できないです。説明してもらっても、いいですか?」

藍原が苦笑いで会話を止めさせる。もう日常的なことなのだろう。リーデンとフルールは呆れ返っているし、アルファードは慌てて会話を止め、Fは舌打ちをする。不機嫌なFの説明。

「怪物に味方する人間が複数人いて、そいつらも我々のようなグループを形成していると考えられるということだ。少なくても2人はいる、空間を操るやつと錺先生を殺し怪物を解放したやつ。恐らく後者は切れ者だ」

端的に理解しやすく、良い説明だ。しかし一箇所問いたい。

「父さんを殺したやつって怪物じゃないのか」

「そうだね、僕が変わって答えよう。怪物が自力で封印を解くことは恐らく不可能。すると外部から誰かが封印を解く必要がある。それを君の父は絶対しない。よって誰か外部から2人以上の人間が入ってきている。封印を解く前にまず君の父の腹に穴を開けて動けなくしたと考えられる」

「その後に怪物が生気を奪った?」

「さすが理解が早いね」

僕は黙り込んだ。殺意が沸くのを感じる。

リーデンが立ち上がった。

「ようやく分かった。つまり敵は怪物だけではない訳だ」

「そういうことだね」

「錺。お前は今から龍人様に会って対人戦術を習って来なさい」

「僕が?」

「人間の方の敵は、お前に任せるぞ」

「了解……!」


「リーデンさん、任せてよかったんですか?」

「錺の事か?藍原」

「祐也くんには危険です」

「お前は優しい」

「何を言ってるんですか?真面目に答えてください」

「優しすぎるから感情を廃した作戦に理解賛同できない」

「リーデンさんは祐也くんの復讐心を駆り立てようとしました。あなたの時とは違うんですよ、責任をわきまえてください」

「黙れ!私に対し、口答えをするな」

「すみません……ですが言わせてもらいます。あなたのとった作戦は卑怯です」

「……分かっている。しかし、錺には今は自由にさせてやれ」

「自分と重ねてるんですね……祐也くんには絶対に後悔させないと、それだけ約束してください」

「分かった。約束しよう。錺に私と同じ道には進ませない。藍原、私からも一つだけ言わせてもらおう。私は辛かったんだ、錺の気持ちは理解しているつもりだ」

「……」


龍人の部屋に向かう途中誰かに呼ばれた気もしたが、一切無視した。龍人の部屋のドアを勢いよく開ける。

「僕に対人戦術を教えてくれ!!」

「騒がしいね、何だって雄介?」

「対人戦術を教えろ!」

「ほう……それがどういう事か、分かってるのかい、錺?」

「分かっている、だから早くしろ」

「気づかなかったのかい?ここはもう『るーむ』の中だよ」

確かに周囲はもう先ほどまでの建物の中とは違うようだ。いきなり体が浮いた。龍人に杖で殴られたようだ。数十メートルという単位で吹っ飛ばされた。

「ぐっ……ってぇな……『神速』!!」

一瞬で龍神の背後を取る。頭に向かってスピードの乗った蹴りを放つ。

「甘いな、後ろに回って蹴りを出すことしかできないのかい?『五芒星』」

盾が発光し出す。

「しらねぇ!」

力尽くで龍人を飛ばす。五芒星からあらぬ方向へビームが放たれる。

「強うなったのう!しかしまだまだじゃ!!」

「黙れっ!」

龍人に追い打ちをかける。今度は正面からだ。しかし、龍人に届くことはなかった。

「まだまだとは、そういうことじゃよ。『五芒星』と『すてるす』の合わせ技一本!!」

僕が飛び込んだのは、「コ」の字型に配置された5つの五芒星の中だったしかもステルスで視認できなくされている……5つの五芒星からビームが放たれ、僕の意識は途絶えた。

気づいたらまたベットに寝ていた。今回は何日間寝てたんだろう……

「あ、起きましたね」

藍原に声をかけられる。

「痛みはありませんか?回復はしたつもりなんですけど……」

「無いようです。藍原さんの力って回復なんですか?」

「いいえ、正確には力を溜め込むという力です。『バンク』って名前です。その応用で、祐也くんに与えられたダメージを回収したんです」

「ありがとうございます」

「素直でよろしい、そこにある紅茶、飲んでおいてください」

そういえば良い香りの紅茶がある。一口飲む。うん。

「何でこんなにマズいんですか?精神安定剤が入ってるんです。普通の紅茶もありますよ?」

「大丈夫です、これ飲みます」

藍原が不審な表情で僕を見る。

「本当に大丈夫ですか?」

「はい。まだやらないといけないことが山ほどあるから……龍人様に会わないと……」

頭がぼうっとしている、眠い。

「祐也くんまだ休んだほうがいいんじゃ無いですか?」

「いや、大丈夫です……僕は行かないと」

「そういえば、龍人様が伝言を残していきました。『強くなるために焦るな。焦燥は緊張を、緊張は失敗を生む。自分のすべきことに正直なのは良いが、その後のことも考えろ』」

「その後……どういう事ですか?」

「自分で考えてみてください。考えることは人間の特権ですよ」

結局どういう意味だろう……とりあえず焦るなということだな、Fように落ち着くのかアルファードのように受け流すのか……

考え込む僕を見て藍原は静かに部屋を出た。次に藍原が戻った時僕は寝ていたという。


「龍人様、私に部屋を貸していただけないだろうか」

「珍しい客だね。どうしたんだい、リーデン?」

「恥ずかしい話、憂さ晴らしですよ」

「似てるからね、あんたと錺は……あんたが力を得て最初にしたことは復讐だった。それはもう醜い、ね」

「……」

「聞くところによると、錺にも復讐をさせようとしてるようじゃ無いか?」

「藍原か……」

「あの子は優しいからねぇ……でも違う。フルールだよ」

「フルールが?」

流石に驚いた。フルールはこれまで私を批判をしたことが無かった。裏切られたかのようなショックがあった。

「どうして……」

「フルールが何かをするとしたら、今まであんたのためだったろう。あの子が言ったってことは、私にあんたの面倒を見ろってことだろうね」

「私は……」

「私と一戦交えてみないかい?ちょうどアルファードもいることだしねぇ」

「アルファード?」

ドアを開けてアルファードが入ってきた。

「流石、龍人様には流石にバレるか」

「聞いていたのか?」

「いえ、全然」

「さて、イレギュラーズの双剣の前に敵なしと、今回も言えるかのぅ!『るーむ』!!」

一瞬で周囲の景色が変わる。

あいも変わらず変な場所を選択する……変に大きい神殿のようなものがあり、近くに川が流れていて緑もある。川は深く無いが浅く広い。私の支配下に置くことは至って容易だ。

「気のせいか、僕たちに有利すぎないかな?」

「大丈夫じゃよ。私を舐めないことだね」

「では始めるか」

「よーーーーいすたーーーーと!!」

「『危機海クライシスオーシャン』」

「『皇帝のエンペラーウィンド』」

「『えくすぷろーじょん』やっぱり言いにくいのぅ」

大きな破裂音がして爆風が弾ける。アルファードは自身の風で威力を相殺する。

「耐えたか、成長したね」

「お陰様で、プラズマウィンド!」

アルファードの近くの空気が殺意を持って龍人に近ずく。

同時に私の魔力で龍人様の足元を弾けさせる。私たちのコンビネーションでは必ずどちらかの攻撃を受けさせる。龍人以外に対しては無敵だ。

「いつもそれじゃな……飽きたぞ」

ベンドの力でアッサリと軌道を変化させられる。帰ってきた複数個の攻撃を躱すと龍人様は新たに攻撃を開始した。

「『五芒星のミリオンスター』」

盾兼銃の役割を持った五芒星が正面から私たちに牙を剥く。アルファードの目が周囲を見た。私は彼の意図を見抜いた。

「『千のサウザンアロー』」

「新しい合わせ技さ!『デストロイヤー』!!」

私たちの攻撃は様々な方向に飛んでいく。アルファードの操作で光の速さにより近くなって威力をます。正面及びステルスで隠されている無数の五芒星を全て粉砕し尽くした。

「五芒星を壊すとは……少し本気を出そうかねぇ!『聖なる炎』『深淵の大地』!」

空へと火の玉が複数個飛び出し地面が急に揺れだした。それから炎が降ってきて地面が割れ始めた。地割れしたその隙間から赤い火がのぞいている。

「アルファード上任せた!」

「リーダー下は頼む!」

同時に叫んで次に力を解放する。

「「全解放フルバースト!!」」

水と風と地面と炎とが弾け大爆発が起こる。暑いんだか寒いんだか分からない状態が続き、ようやく解放された。


「生きてるか、アルファード?」

「なんとか。でももう続行は無理だぞ、あの攻撃は強すぎる」

ゲホゲホと咳き込む音がする。見ると龍人様が座っている。今まで勝負中に座っている龍神様を見たことがない。

「あんたたちの勝ちでいいよ、あれを止めるんじゃねぇ……」

「初めてだ……ついに私たちは龍人様に勝てたのか?」

「そうらしいね……でも龍神様もっと強い技持ってるんじゃないですか?」

「あの防御を崩すにはブラッドアイズを解禁しないといけないからのぅ。やじゃ」

ブラッドアイズ……龍人様のは若返りだったか。確か力が倍以上に膨らむんだったな。そうなったら私たちは……ヤバいな。

「にしてもあんたも抜け目ないね、アルファード……感心したよ」

「何かしていたのか?」

「何にも?」

「とぼけるなよ、今もあんたは私の周囲の風を動かして殺せるようにしてるじゃないか」

アルファードは苦笑いした。

「バレてますね、僕は爆発した瞬間龍人様を探し始めました。で見つけて、拘束と」

有能すぎる……あの状況での冷静な判断、アルファードらしいな。

「リーデン、楽しそうだな」

「良いことじゃ……リーデン、フルールの意図は分かったかい?」

「はい!」

久しぶりに晴れた気持ちだった。


読んでくれてありがとう。

今回は結構長くなってしまいましたね。毎回長さは変わると思います、ご了承ください。

ということで、今回僕は最強のおばあちゃんを負けさせたかったんです。錺を瞬殺し、アルファードにも恐れられるおばあちゃん。実はお気に入りです。そろそろ戦いも激しくなってかないかなぁなんて思ってます。

では次回も読んでくれる人がいたら幸せだと思いながらあとがき終えます。

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