第八十六話 ザムウェルとの戦いの終わり ~カールとのこと~
カールの手刀がザムウェルの胴をつらぬいた。
「ぐ、ぐは……」
ザムウェルは驚いたような表情でカールを見下ろす。
「カール!」
カールは俺の方を見て微笑んだ。
「こうでもしなければ、コイツは倒せなかった」
「な、なんで……」
俺の疑問に答えるようにザムウェルが口をひらいた。
「カール。知っていたのか」
「ああ。こうでもしなければお前を倒せない。だからずっとスキをうかがっていた」
ザムウェルは、その場に崩れ落ちた。
カールは力つきそうになりながらも言葉を発している。
「ずっとコイツはアルスと対等にわたりあうために全ての力をアルスに集中して戦っていたんだ」
カールの話を聞いてようやく理解できた。
一度、カールをレーヴァテインで吹き飛ばした時、吹っ飛んだカールを受け止めたザムウェル。
あの時はカールを受け止めたと思っていたが、なすすべなく衝突したと言った感じだった。
「それにザムウェルは、ほとんどのRPを使い果たしていた」
トドメをささずにゆっくりと歩いてきたのも。
返事をせずに口を開くまで間があったのも。
全てザムウェルも限界だったからなんだ。
「カール。じゃあ、全部、嘘だったのか。俺達仲間なんだよな」
俺がそう言うとカールは笑った。
「当たり前じゃないか。お前もわかってるかと思ってたよ」
「ごめん。カール。俺、本当にカールが……」
悔しくて。
けど、カールがやっぱり仲間だった安心もあり目頭があつくなった。
「おい、泣くなよ」
カールは大きく笑った。
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ここは?
カールと最初に会った塔の中だ。
ミズガルズの層の90階。
「ねー、ねー。君、もしかしてここまで1人で攻略してきたの?」
無邪気に話しかけてくる銀色に近い綺麗な白髪、白銀髪の少年。
カールだ。
「カール!」
「よお。アルス」
カールはとても元気そうだ。
「アルス。オレが生まれてから死ぬまでほとんどの時間を一緒に過ごしてくれてありがとう。楽しかった」
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「カール!?」
カールは光子の粒となり散ってしまった。
「ブライスにカール。全ての力が戻ってきた」
目の前にザムウェルが立っていた。
「ふむ。久しぶりの全開。すこぶる好調だ」
ザムウェルはゆっくりと歩きながら近づいてくる。
「カール……」
カールは、ずっと仲間だった。
いや、友達だった。
一緒に過ごした日々が蘇ってくる。
「さしずめRPは100億はくだらないかな?」
ザムウェルは余裕の笑みで近づいてくる。
目の前まで来ると俺の頭に右手をおいて言った。
「このままひねりつぶすことも可能。しかし、少しは楽しませてもらおう」
ザムウェルは高笑いした。
「うるさい」
「ん?」
「うるさい。黙れ」
「なんだと?」
ザムウェルの表情は豹変した。
「消えろ」
俺がそう言うとザムウェルは光子の粒となり拡散してゆく。
「え? な、なんだ!? これは――」
ザムウェルは必死に手足を動かしている。
「な、何をやったんだ! ぐっ!」
ザムウェルは必死にもがいている。
「ぐわあああああああ!」
ザムウェルは光子の粒となり霧散した。
俺がそう思考したからだ。




