第八十五話 ザムウェルとの戦い ~ザムウェルの力~
「何の目的? 目的などと言うものがあるとすれば我が一族が強くなるため。ただ、それだけだ」
ザムウェルはそう言うと一気に距離をつめ近づいて来た。
「ふざけるな!」
俺が叫んだ瞬間。
ザムウェルの手刀がおそってくる。
カールのそれとは比べ物にならないスピード。
いや、スピードというレベルでは無い。
ザムウェルと俺の互いの時間のコントロールの衝突。
「ここまでとはな。RPの潜在能力だけならお前が上だ」
互いの攻防の中でザムウェルは余裕を持って話しかけてくる。
こちらはザムウェルの攻防を察知し避けるので精一杯。
「くそっ!」
必死な俺の状況に対してザムウェルは涼しい顔をしている。
「どうした? こんなものか?」
ザムウェルは無数の手刀を繰り出しながら静かに話しかけてくる。
1秒にどれほどの手刀が繰り出されているのか。
1855回。
その10億倍の10億倍の10億倍の10億倍の数。
それが30分も続いている。
「くっ!」
まずい、このままではRPが切れてしまう。
ザムウェルの表情は涼しいままだ。
どれほどの余裕があるのか。
ザムウェルは俺の方がRPが大きいと言っていた。
それならザムウェルが先に倒れそうだが、その兆候はない。
「終わりだな」
ほんの少しの油断。
そのスキをついての攻撃。
ザムウェルの手刀がどれほどの数入ったか。
「ぐわぁああああ!」
手刀の衝突する瞬間、全RPを防御にまわしたが衝撃が次々とおそってくる。
どれだけの攻撃をもらってしまったかわからない。
しかし、あとほんの少しで自分自身の命が尽きてしまうのだということはわかる。
「くっ! こんな所で……」
ザムウェルは少し離れた場所でこちらを見ている。
「ど、どうした」
ザムウェルの鋭い眼光が俺にささる。
少しの間が空きザムウェルはゆっくりと口を動かした。
「もう終わりか?」
表情はかわらず余裕の一言。
ザムウェルはどれだけの力を秘めているのか。
ザムウェルはゆっくりと歩いて近づいてくる。
「くそっ……!」
目の前までゆっくりと歩いてきたザムウェルは俺を余裕の表情で見下ろしている。
しかし、何も言葉を発しない。
これで終わりなのか――。
そう頭の中によぎった瞬間。
目の前で信じられない光景が広がっていた。




