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第八十一話 次の世界へ ~ブーリとの別れ~

 ギンヌンガガプの村に戻ると村長が迎えてくれた。


「ほう。お主達やりおったの」

「ええ。長老。すべてアルスのおかげ」


 ブーリが嬉しそうに言った。


「ほう。またも旅人に助けられたか」


 長老は深々と礼をした。


「そんな頭をあげてください。

この次の世界へ行きたいのですが何か知っていることはありませんか?」

「ほう。もう行くのかね」

「はい。他の仲間を探さなくてはいけないので」


 アイラに続いて、ノルまでも手遅れになってしまった。

 ノルはこの世界を救ったとは言え、もっと早く追いついて一緒に戦っていればノルが命を落とすこともなかったはずだ。

 フレイヤ、カールはこの先の世界にいるはずだ。

 残る世界はヘルヘイムの層。

 最後の世界。


「ほう。次の世界に行くのは簡単なのじゃが……」


 長老は暗い顔をして口ごもってしまった。


「アルス。次の世界は闇の世界。全てが死に絶え消滅する場所と言われているんだ」


 ブーリが意を決したように言った。


「ほう。そうなんじゃ、それに――」

「アルスは行かないといけないんだよね! 仲間を探すために!」


 ブーリは長老の言葉をさえぎった。


「さっそく次の世界へ続く場所に行こう!」



---



 村に近いあたり一面氷の広がる場所へ来た。


「ここが次の世界へ続く場所ですか?」

「ほう。そうじゃの。普段はこの通り何も無い氷の平原じゃが――」

「さあ、さあ。アルス、あの氷が暗くなってる所に立って」


 長老の言葉を遮るように、ブーリが指差しながら言った。

 ブーリの指差す先には確かに色が違う箇所があった。


「ささ。そこに立ってじっとしてて」


 ブーリはそう言うと少し離れた所に立った。


「アルス! バイバイ!」


 ブーリが大きな声で叫んだと思うと、ブーリの体全体が青く光った。

 次の瞬間、俺の立っている場所が天に向けせり上がってきた。

 一瞬にして地上から数百メートル。

 氷の塔が天へ向けて伸びる。

 上を見ると天井に一部が黒くなっている。

 天井に穴が空き先の見えない暗闇となっている。


「ブーリ!」


 地上へ向けて叫んだ。

 遥か下の地上でブーリが倒れている様子が目に入った。 

 天井の暗闇まで数メートル。

 その時、ブーリの意識が俺の中へ入ってくるのを感じた。


「アルスありがとう」

「ブーリ! 大丈夫か!?」

「次の世界に行くためには人柱が必要だったの。この氷の塔を次の世界へのばすために」

「そんな。どうして……」

「ノルさん。アルス。二度も救ってもらった命。アルスのおかげで、あたしの世界とみんなが救われたわ」

「こんな事……」


 悲しむ間もなく天に空く暗闇に身を包まれた。

 ブーリの意識も途絶えた。

 最後に感謝するブーリの表情が心に浮かんだ。

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