第八十話 氷の中の戦い ~ノルとヘルヘイム~
ヘルヘイムは次々と氷の刃を生み出しノルへ飛ばす。
ノルはすべて瞬時に避ける。
ブーリは離れた場所で岩陰に隠れている。
魔女ヘルヘイムの仮面のような表情に焦りの色が見える。
氷の刃が更に増える。
「むだにゃ!」
ノルは余裕でかわす。
「終わりにゃ!」
ノルの強烈な一撃が魔女ヘルヘイムの胴を真っ二つにした。
地上に魔女ヘルヘイムの上半身と下半身が無残に転がった。
「やったあ!」
ブーリが叫びながら岩陰から出てきた。
その時、魔女ヘルヘイムの目がひらいた。
「危ないにゃ!」
魔女ヘルヘイムの体が輝いたかと思うと、強烈な爆発が周囲をのみこんだ。
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「大丈夫かにゃ?」
「ノルさん……。さっきの爆発は?」
「魔女ヘルヘイムが自爆したみたいだにゃ」
「危なかったです。ありがとうございます」
「よかったにゃ」
ノルはそう言うと倒れてしまった。
ノルの背中は爆発による熱と衝撃で黒こげになっている。
「ノルさん!」
ノルはかろうじて目をあけると弱々しく言葉を発した。
「必ずアルスがここに来るにゃ。その時に手助けしてあげて欲しいにゃ」
「ノルさん!」
ノルは静かに目を閉じた。
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「ここは?」
俺のおばあちゃんの家だ?
現実世界の小学生の頃だ。
「にゃー」
ヒョウのようなレオパード模様にブラウンの猫。
おばあちゃんが飼っていたタマが近くによってくる。
「おー。かわいいな」
背中のあたりをなでてやった。
ゴロゴロと甘える声を出しながら体をすりよせてくる。
おばあちゃんの家に行くとタマとよく一緒に遊んでいた。
なんだか顔がノルに似ているし、体をすりよせて絡んでくるのもノルみたいだ。
俺が中学生の頃にはタマは居なくなってしまっていた。
最後に遊んだ時もタマは、うれしそうにすりよってきていた。
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氷の平原は静まり返っている。
ブーリの額から手を離した。
「ブーリ。ありがとう。全部わかったよ」
「ごめんなさい。あたしのためにノルさんが犠牲になってしまって……」
「ノルはブーリの命を救い、この世界の人達を救ったんだ。この冒険をはじめた時に覚悟もしている」
それにノルはみんなを救えて満足そうだった。
その気持が俺の中に流れ込んで来たんだ。




