第七十九話 魔女ヘルヘイム ~ブーリとノル~
「ここは?」
両手を見ると肌の色は雪のように白い、そして細い腕。
(ああ、これはブーリなんだな)
ブーリの意識と一体化したんだ。
「ブーリ! いくにゃ!」
ノルだ!
「ノ、ノル!」
やはり、ブーリはノルの事を知ってたんだ。
でも、なんで秘密にしてたんだ。
「な、なんだにゃ! ブーリそんなに驚いて」
「ご、ごめん。久しぶりに会った感覚がして」
「ずっと一緒に居たにゃ」
ノルは不思議そうにこちらを見ている。
「ご、ごめん。ごめん。そういえば何だっけ」
「村の人々を苦しめる魔女ヘルヘイムを倒すにゃ!」
「そうだ、そうだ。ごめん。ごめん」
「今日は魔女ヘルヘイムが村へ来る日と言ってたにゃ」
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霜の巨人の自爆により氷の山が跡形もなく吹き飛んでいた。
氷の平原が地平線の彼方まで広がっている。
「ブーリ大丈夫か?」
「う、うん……」
ブーリは起き上がると突然泣き出した。
「ご、ごめん!」
「どうしたんだ?」
「ノルさんの事、ずっと言えなかったんだ!」
ブーリは更に声を大きくあげて泣いた。
「大丈夫。大丈夫だから泣かないでくれ」
暫くするとブーリは泣き止んでポツリポツリと言葉を発した。
「ノルさんと一緒に旅してたのはわたしなの」
ブーリは悲しそうな顔をした。
「ごめん。僕も言わなければいけないことがある」
ブーリは驚いたように俺の顔を見た。
「さっきの爆発の時、ブーリの記憶が見えてしまったんだ。ノルと一緒に居た所が、もちろん、それだけで他には何も見てない」
「そうだと思った。なんだかわたしの中にアルスが入って来たような気がして。それで正直に全部話さないとって」
「ノルとの記憶見せてもらえないか? ずっと旅をしてきた仲間なんだ。ブーリが許可してくれたらノルとの思い出を見せてもらおうと思う」
「もちろん。話しようと思ったから」
「そしたら目をつぶってノルのことを思い出してくれ」
目をつぶったブーリの額に右手をあてる。
ブーリのノルとの思い出が頭の中へ入ってくる。
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魔女ヘルヘイムは、吹雪を周囲にまとっている。
凍りつくような冷たい目でノルとブーリを見下ろしている。
「これ以上、村の人々を苦しめるのは許さないにゃ!」
ノルは叫んだ。




