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第六十九話 アイラを救おう ~アイラの件~

 火竜を撃退した事で俺はスルト王に称賛され褒美にアダンの実を何時でも自由に食べられるうに計らってくれた。


「アイラは俺の仲間なんです」

「あの者がお主の仲間?」

「はい、けど、強奪なんてするような者では無いし第一俺の事を全くわかってないようでした。

 何かあると思います。

 俺はそのためアイラの居る場所へ向かおうと思います」

「そうか……。

 火竜は塔の守り神だ。

 ここから北へ進めば見えるはずだ」

「ありがとうございます」

「いや、我が世界のためでもある。

 褒美と言ってもアダンの実ぐらいしか無いのだが」



---



 俺はスルト王の城を出ると北へ向かい塔へと向かった。

 延々と続く炎とマグマの世界を歩いて行くと空まで伸びる塔が見えた。

 ディシデリーズの塔。

 次の層へと向かう塔だ。

 入り口へ向かうと中からアイラが現れた。


「アイラ!」


 俺が呼びかけても無表情のままだ。


「貴様は! ここに来ると思っていたぞ!」


 アイラは怒号をあげた。

 アイラが右手を上げると上空から火竜が飛んできた。

 1体だけでは無い。

 2体、3体……。

 何十体も現れた。

 

「火竜は1体だけじゃなかったのか」


 全ての火竜の口から閃光が漏れている。

 あの時の炎のブレスだ。

 強烈な炎が俺に向かって吹き付けられた。


「これは防げまい!」


 アイラが笑いながら言った。

 何十体もの火竜から俺に炎が吹き付けられる。

 しかし、ここは街なかでは無い。

 守らなければいけないモノは何も無い。


「たああああああ!」


 俺はレーヴァテインを抜くと炎へと向かって振り払った。

 炎を斬撃が切り裂き火竜をも真っ二つにした。


「な、何!」


 アイラが驚き動こうとする刹那。

 上空に居る火竜を全て薙ぎ払った。


「火竜は全て倒した」


 俺はアイラへ近づき声をかけた。


「お前は何者……」

「アルスだ! アイラ! 思い出してくれ!」


 アイラは全く俺の事がわかっていないようだ。

 どうすれば?

 そうだ。

 アイラと一体となるイメージでアイラの記憶をさぐれば……。


 俺はアイラの両手を掴むとアイラと一体となるようイメージした。



---



 真っ暗で何も見えない。

 RPを集中して明かりを作り出した。

 明かりの届く範囲の視界は確保できたが黒い床が広がっているだけだ。

 

「アイラの記憶が無い?」


 真っ暗で何も無い世界。


(アイラの意識どころか記憶すら無いのか)

 

 どこまで行っても黒い床と暗闇が広がっているだけだ。

 アイラのRPを感じるんだ。

 ゆっくりと目を閉じてこの暗闇の世界でアイラの意識を探した。


「居た! アイラだ!」


 アイラの意識を感じた場所をイメージし転移した。

 小さな光の玉が黒い霧に包まれている。


「この光の玉がアイラの意識なのか?」


 触れようとすると周りの黒い霧により阻まれた。

 

「なんだこの霧?」


 手にRPを集中し強引に霧を払いながら光の玉へと手を近づけていった。

 黒い霧はまるで鋼鉄のように重く固い。

 霧の中で手をゆっくりと進めるだけなのに相当なRPを消費している。


 その時、強烈な黒い閃光が辺り一帯を包んだ。


「な、なんだ!」



---



 目の前にはアイラが倒れていた。

 アイラの意識から強制的に出された?


「一体何が起きたんだ?」


 その時、塔の中から人影がこちらへ向かってくるのが見えた。


「何者かが僕の作品に侵入したと思って来てみたら君だったか」


 塔の入り口から出てきた人物は言った。

 その顔には見覚えがある。


「ブライス!」


 俺は叫んだ。

 やはり、こいつだったか。


「アイラに何をした!」


 俺が怒鳴りつけるとブライスは静かに言った。


「何をしたか?って?

 僕の作品に加わってもらったのさ」

「ふざけるな!」

「君、だいぶ強くなったようだね。

 しかし、RPで他の者を操作する能力は僕の方がまだまだ上だね。

 良い勝負が出来るかもね」


 ブライスはそう言うと黒い霧状に変化した。

 そして黒い霧はアイラの肉体へと吸収された。

 目の前で倒れていたアイラはゆっくりと立ち上がると言った。


「さあ、第二ラウンドはじめようか」


 見た目はアイラだが、その冷たい目と表情はブライスだ。

 ブライスがアイラの体を乗っ取ったのだ。


「ふざけるな! アイラの体から出ろ!」

「僕との勝負に勝てば返してあげるよ。

 この体に攻撃することが出来るかな?」


 こいつは俺がアイラに攻撃出来ないと踏んでいる。

 

「悔しそうだね。

 けど、思った以上に君が強くなっていたからね。

 これぐらいのハンデは必要だよね?

 まあ、君が全力で攻撃したらこの体なんて一瞬で粉々になりそうだがね」

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