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第六十七話 炎の世界を探索しよう ~スルト王の件~

 入り口から出ると辺りは炎で包まれていた。

 一度イメージのみで転移した時に見た光景とうり二つ。

 あの時は、ぼんやりとしていたが。

 強烈な熱線なのか熱風なのかが強烈な暑さが襲って来た。


 RPを集中して大気と自分の体の周りに熱を通さない層をイメージ。

 熱は遮断された。


 どこまでも続く火山地帯。

 炎の柱が遠方まで続いている。

 まるで炎の森だ。

 この世界は炎で満たされているためなのか全てが赤っぽい。


 歩いて進むと赤い河が流れていた。

 マグマだ。

 マグマの河だ。

 この世界は少なくとも数百度以上の熱に支配された世界のようだ。

 生き物など居るのだろうか?

 それにここに飛ばされた仲間は生き抜けるのだろうか?

 RPの使い方を間違えなければ今の俺のように普通に生存できるはずだが。


 延々と続くマグマと炎を地帯を歩いているとマグマの河の表面が揺れるのがわかった。


(ん? マグマが動いた? 噴火でもするのか?)


 そう思った瞬間、マグマの河から塊が目の前に3つ飛び出してきた。

 ドロドロとしたマグマの塊が意思を持っているかのようにフルフルと揺れながら俺の行く手を阻んでいる。

 まるで赤いスライムのようだ。

 マグマのスライム?

 マグマスライム?

 そんな事を考えているとマグマスライムの1体がこちらへ向かって飛び跳ねて来た。

 まるでマグマの砲弾のようだ。


「たあ!」


 俺は右手の拳で思いっきり殴りつけた。

 マグマスライムは一気に弾け飛んだ。

 だが、周囲の熱を吸ってまた1つの塊に戻って飛びかかってくる。

 他の2体も同時に飛びかかってきた。

 3体とも右手で殴りつけたが、すぐに復活する。


「RPは3000ほどだが、ラチがあかないな」


 マグマスライムは周囲の熱を使って復活しているようだった。

 この環境は熱を元に活動している者にとって非常に有利だ。

 熱を吸い取ればいいのだろうか?

 カールは氷の魔法を使っていたが俺には難しそうだ。

 単純にRPを吸い取るイメージをしてみよう。


 飛びかかってきたマグマスライムを掴むと左でをかざした。

 RPを吸い取るイメージをする。

 マグマスライムはみるみる小さく固くなっていった。

 最後はまっ黒な炭のような岩になり、砂のように崩れて消え去った。


「で、できた」


 俺は他の2体も同じ方法で倒すと歩みを進めた。

 思わぬ出来事でRPを吸収する方法を見つけた。

 暫く歩くと城壁に囲まれた城が見えた。

 城壁や城は炎で包まれている。



---



 城壁の門を開けて中に入って驚いた。


「すごい、街があるし人も居る」


 炎に囲まれた世界である事は変わらないのだが、城壁の中には街があり、人が行き交っている。

 よく見ると尖った耳に炎の羽が背中についた妖精だ。

 炎の妖精?

 炎の中でも生きられるのか?


「へー、めづらしい事もあるもんだね」


 俺が街なかを見て驚いていると炎の妖精に声をかけられた。

 炎の妖精によるとここは炎の世界で生物は、マグマの中に潜むゲル状生物。

 俺がマグマスライムと名付けた生物とこの街に居る炎の妖精。

 そして、城に居る炎の巨人『スルト』王だけのようだ。

 この世界は生物が少ない事もあり争いの無い世界だったらしい。

 つい最近までは……。



---



 俺は炎の妖精に案内されてスルト王の元へ来た。

 争いの無い世界だったためか城には兵士らしき姿は見えず、お手伝いしている妖精のみだった。

 玉座の間ではスルト王が大きな岩で作られた椅子に腰掛けていた。

 炎の巨人と言うだけあってその姿は山のように大きい。

 ヨトゥンヘイムの層で会った巨人達に匹敵する。


「よくぞいらした。旅人よ」

「アルスと申します。スルト王」

「アルスか。この世界を訪れる者は、ほとんど居ないのだがお主で二人目だ」

「二人目ですか?」

「うむ。しかし、その者によりこれまで平和だったこの世界に混乱が起きているのだ」


 スルト王によると一ヶ月ほど前に現れたその者は火竜を従えて街に来ては強奪を繰り返しているとのことだ。

 火竜はこの世界の守り神で塔の中で静かに暮らしていた。

 しかし、一ヶ月ほど前に現れた者が従え凶暴化したのだ。


「妖精達はもちろん、このワシでさえ火竜を従えたあの者にはまったくかなわなかった」


 スルト王は静かに言った。


「その者は長い黒髪の男か、銀髪の男ではなかったですか?」


 火竜を従えるなどあの2人のどちからに違い無い。

 俺はスルト王へと質問した。


「いや、違うな。それに火竜を従えていたのは女だ」


 スルト王は答えた。


「赤色の短い髪に拳闘士のような格好をしたお主と同じ人間だ」


 スルト王は怒りに満ちた表情で言った。

 え? まさか。

 スルト王に聞いた容姿から思い浮かぶ人物。

 俺は頭に浮かんだイメージを振り払った。


(そんなはずは無い……)


「その者は自らの名前をアイラと名乗っていた」


 振り払ったイメージは間違っていなかった。

 まさかアイラが……。

 アイラに一体何があったと言うんだ?

 いや、まだアイラだと断定出来ない。

 アイラを名乗る別の者の可能性だってある。

 そんなはずは無い。

 あのアイラがこんな事をするなんて、絶対に何かが起きたのだ。

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