第六十四話 オーディンを倒そう ~全ての事件の件~
オーディンとの戦いを終えたその時。
オーディンの記憶が一気に俺の中に流れ込んできた。
ギリギリの戦いの中でオーディンの存在と俺の存在が重なり合いオーディンの記憶がまるで俺の記憶のように蘇ってくる。
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これはオーディンの記憶?
アースガルズの層だ。
イズン師匠、ダイアナ、ロキ、シギュン。
4人が魔剣を作ろうとしているのを眺めている。
そして、巨人を封じた所でオーディンは右手に貯めたRPを放った。
魔物の暴走がはじまった。
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魔獣マウスの封じられた白い祠。
オーディンは数年ぶりに立ち寄ったアースガルズの層で白い祠を破壊した。
魔獣マウスは解き放たれた。
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ここは巨人の国『ヨトゥンヘイム』。
1つ目巨人のブロンテースがいる。
オーディンが3人の巨人にRPを送り込むとフラフラとブロンテースの元へ行き暴行し始めた。
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ここは『アールヴヘイム』。
王と王妃。
そして、ブライスとザムウェルだ。
オーディンがブライスへ何かを伝えた。
ブライスはトランプを取り出すと王と王妃の額へと投げつけた。
トランプは、まるで鋭利な刃物のように王と王妃の額へと突き刺さった。
王と王妃は、まるで操り人形のようにブライスの指示にしたがって動いた。
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ブライスとザムウェルが目の前に居る。
俺、オーディンは、2人に何かを依頼した。
ブライスとザムウェルは静かに、その場から居なくなった。
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これまでの出来事。
オーディンが全て裏で手を引いていたというのか?
「ホッホッホ。ワシの記憶をのぞきみたようじゃの」
「ど、どうして……」
「ホッホッホ。ワシは知恵と計略の神。世界の均衡を崩すことが仕事なり」
「どうして! 平和に暮らす何の罪も無い人々を計略に嵌めて混乱を起こすのですか!?」
「ホッホッホ。人や魔物は何も起きない平和な世界では生きる意思が薄れるでの、適度な混乱を起こすことで生きる活力が見いだせる」
「そ、そんな……」
今までの事。
全てオーディンの仕業だったのか……。
そうだ。
俺がこの世界に来て間もない頃、ギルドで見かけた老人もオーディンだ。
ディシデリーズの塔の世界を自由に行き来してるのか。
そうだ。
フレイヤ、ノル、アイラ、カールを俺から引き離したのもオーディンの指示?
ふつふつと頭に血が上り怒りが湧き上がってくるのが自分でもわかった。
「フレイヤ、ノル、アイラ、カール。仲間をどこへやったんだ!」
「ホッホッホ。4人は今居るこの世界よりも上の層の世界じゃ。
灼熱の世界、極寒の世界、冥界と過酷な環境よの。
力及ばぬ場合は長く生きられぬかもな」
灼熱……。
極寒……。
冥界……。
みんな生きていてくれ……。
「どけえええええ!」
俺は一刻も早くみんなを探すために飛び出そうと出口へ向かった。
「ホッホッホ。たまらんのう。若い者が生きようと必死にもがく姿」
「ふざけるな!」
俺はレーヴァテインを抜くと全ての力を込めた。
オーディンは青いローブを脱ぎ捨てると静かに言った。
「グングニル」
オーディンの頭上から金色の槍がゆっくりと降りてきた。
オーディンが槍を右手に取ると閃光が走った。
黄金の甲冑に黄金の兜。
青いマント。
グングニルの槍を手にしたオーディンはこれまで以上のRPを放っていた。
その数値。
1億5000万。
「ホッホッホ。ワシの全力にどこまでついてこれるかの?」
「うおおおおおおおおおおお!」
俺はレーヴァテインをオーディンへ一気に叩き込んだ。
「ホッホッホ。まさかここまでとは」
オーディンの上半身は、下半身から転げ落ちた。
RP3億。
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第六層 ヴァナヘイムの層
神々が住む世界。
オーディンが統治する世界。
第七層 ムスッペルスヘイムの層
全てが灼熱に包まれた世界。
足を踏み入れただけで灰と化す。
第八層 ニヴルヘイムの層
全てが氷に包まれた世界。
ありとあらゆる物が絶対零度の中で動きを止める。
第九層 ヘルヘイムの層
冥府の世界。
死んだ者達の世界。
生者は足を踏み入れることさえできない。




