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第六十一話 赤と青の魔法陣を攻略しよう ~RPと時間の件~

「ホッホッホ。先が思いやられるのう」

「く、くそおおおおお」


 オーディンが床に描いた魔法陣の上でRP0とRP1万の出力を繰り返している。

 10分ごとにRP0とRP1万の出力を繰り返すのみの訓練。

 魔法陣の色が赤の時はRP0。

 魔法陣の色が青の時はRP1万。

 魔法陣の色は10分ごとに赤と青を繰り返す。

 こんな単純な事なのに1回も成功出来ない。


「まあ、頑張りなされ。

 休息はしっかり取るようにな」

「わかりました」


 魔法陣の上で神経を研ぎ澄ませる。

 今の魔法陣の色は赤。

 RPは0を維持している。

 あと1分ほどで青に変わるはずだ。

 その瞬間、RPを1万にしなくてはいけない。

 コンマ1秒もずれてはいけない。

 

「今だ!」


 RPの出力を1万に調整。

 次の瞬間。

 魔法陣が赤青点滅し強烈な勢いで吹っ飛ばされた。


「また、失敗だ……」


 コンマ1秒もずれていなかったはず……。

 どうして……。



---



「ホッホッホ。まだ一回さえもクリア出来てないようじゃの」

「は、はい……」


 何時間訓練しただろう?

 一回もクリア出来ない。

 それにRP0と1万を繰り返すだけ。

 これがそんなに大変だなんて……。


「100分の1秒以下まで精度は出てるはずです。なのに……」

「ホッホッホ。何を言うとる。

 全く同時じゃないといけないぞよ。

 1秒の10の43乗以上の精度。

 100分の1秒は、10の2乗。

 ぜんぜん足りんよ」

「そ、そんな……」

「ちなみにじゃが

 この精度になると、お主の足元とお主の顔あたりの時間の流れは異なるからの。

 頭で考えて対応するのは不可能じゃよ」

「なら、ど、どうすれば……」

「ホッホッホ。今日は休んでまた明日じゃ。

 夕食も準備したついて来なさい」



---



 夕食は栄養やカロリーが計算されたような宇宙食のような見た目のモノだった。

 訓練のために考えられているのだろう。

 味気ないが、強くなるために必要なことなのだ。


 用意された部屋はベッドがあるだけの簡素なものだった。

 横になったが眠りにつけない。


 今日の訓練について、どうやってクリアするか?

 頭を巡らせている。

 そうか、このシンプルな部屋はそのための場所でもあるんだ。

 何もなければ自然に今日の事を復習する。

 

 1秒の10の43乗以上の精度でRPを合わせるとは?

 一体どうすればいいのか?

 そもそも、その時間自体を把握することすら検討がつかない。



---



「ホッホッホ。今日も一日頑張ろう」

「はい!」


 とは言ったものの何の解決策も無い。

 今はとにかくやってみるしかない。

 やってる中から何かが見えるかもしれない。


 赤、青、赤、青……。

 繰り返すが全て一回もクリア出来ない。

 数時間ほど繰り返すとオーディンが再び現れた。


「ホッホッホ。まだまだじゃのう?

 RPとは何か?

 今一度、立ち返って考えてみなさい」


 オーディンはそれだけ言うと去っていった。


「RPとは何か?」


 イズン師匠に教わった。

 

「RPとは意思の強さ」

 

 RPが意思の強さだとして、今のこの訓練と、どう関係があるのか?

 いくら意思を強くしてRPを増大させても意味がない。

 今回の訓練はRPを0か1万にするだけなのだ。

 意思の入る余地など無い。



---



 一週間たった。

 結局、一度も成功していない。

 RPとは意思の力である。

 しかし、RPについて毎日寝る前に考えているが答えが出ない。


「うわぁ!」


 魔法陣が青にかわったのにRP0のままだったので吹っ飛ばされてしまった。

 これで何回目だろうか?

 数千回?

 失敗を重ねている。

 その時、背中に結んでいたレーヴァテインが地面に落ちた。


「ああ、結んでいた紐が外れてしまったのか……」


 手をのばしてレーヴァテインを広いあげた。

「RPとは意思の力である」

 そうだ。

 俺が手を伸ばしてレーヴァテインを拾うのも俺の意思だ。

 イズン師匠から一番最初に訓練された時、意思の力でランプを点けたり、色々な機器を動かしたりした。

 意思というのは大きいや小さいだけじゃない。

 何かをやろうと言うこと。

 何かそうするという決意。

 これも意思だ。


 時間はどうだろう?

 俺の足元と顔のあたりの時間が違う?

 時間が絶対的なモノではなく、ランプや機器と同じような物だと考えたら?

 自分の意思で1秒後は1秒後であると。


 魔法陣の色が赤。

 RP0で立つ。

 1秒後RP1万。

 そして、今は1秒後であると確信する。

 魔法陣の色が青。


「できた!」

「ホッホッホ。気づいたようじゃの。

 時間でさえも意思の力で変えられるのじゃよ」

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