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第五十六話 この世界の支配者を倒そう ~ヘルの過去の件~

「ヘ、ヘルどうして……」

「君達強いからね。私の最高傑作のフェイ壊しちゃうしね」

「なんで、こんな事をするんだ?」

「なんで? って馬鹿ね。ここは私の支配する世界なの、そしてダークエルフの世界、その次は巨人の世界と支配を広げて神々の住む『アールヴヘイムの層』を落とすのよ」

 

 ヘルはニコニコと笑いながら話をした。

 『アールヴヘイムの層』は、この世界の次の世界、神々が住むと言われている場所。

 神々の世界と言われる場所に攻めこもうとしてるなんて……。


「どう? 君強いから私の仲間にならない?

 腐りきった世界を作った神々を倒すのよ」

「な、何を言ってるんだ! この世界の王様だってダークエルフの世界だって、みんな平和を愛する人達だったじゃないか!」

「表向きはね。

 君には仲間になって欲しかったけど私の人形になってもらうしか無さそうね」


 ヘルはそう言うと両手を掲げて何か唱えはじめた。

 俺の足元に魔法陣が光り輝く。


「な、なんだ! これは」

「君は私の最高傑作になりそうよ」


 か、体が動かない……。

 RPを一気に開放するしかない。


「う、うおおおおおおおおおお!」

「無駄よ。あなたの事はフェイとの戦いで分析済みよ。

 お仲間達と一緒なら厄介だったけどね」

「ヘ、ヘル、俺はお前が悪い奴には思えないんだ……」


 俺は一気にRPを開放した。

 俺のRPが一気にフロア全体に広がる。


「え! こ、こんな……」


 ヘルは驚いた表情のまま固まっている。

 RP2200万。

 久しぶりに出した全力。

 俺のRPはフロアを包み込みヘルをも包み込んだ。



---



 男?

 ダークエルフの男?

 それにエルフ? エルフの女?

 屈強そうな体つきに黒い肌、尖った耳に羽根を持ったダークエルフの男。

 白い肌に金色の髪、美しい顔立ちに尖った耳と羽根を持ったエルフの女。

 2人は俺の事を見下ろしている。

 笑顔で何かを話かけているようだ。


 そうだ。

 これはヘルの記憶だ。

 2人はヘルの両親。

 ヘルがまだ小さな赤ちゃんの頃の記憶か。

 幸せに包まれている。

 両親もヘルもみんな……。


 ヘルはあたりを駆け回っている。

 これは?

 ヘルの子供の頃の記憶?

 少し離れた所で両親が温かく見守っている。


(あ! 転んでしまった。)


 ダークエルフの父親が駆け寄ってくる。

 必死な顔をしている。

 笑いながらエルフの母が近づいてきて、膝についた泥を払ってくれた。

 ダークエルフの父親は必死な表情のままだが、エルフの母親は笑っている。

 俺も、ヘルも笑っている。

 ダークエルフの父親は相当な心配性なようだ。


(こ、これは?)


 あたりは炎に包まれている。

 逃げ惑うダークエルフ、エルフ達。

 俺はダークエルフの父親に抱えられてエルフの母親と共に逃げている。

 金色の鎧に身をまとった兵士達があたりを焼き払っている。

 逃げ惑う者達は次々と剣で切られ炎で焼かれている。


 ダークエルフの父親は強かった。

 迫りくる金色の鎧に身をまとった兵士を次から次へとなぎ倒していく。

 エルフの母親を守りながら、ヘルを背負いながら。

 しかし、金色の鎧の兵士の数は圧倒的。

 エルフの母親は背中を切りつけられ倒れ込んだ。

 ダークエルフの父親は泣きながら俺をかかえて、その場を後にした。

 

 暗い洞窟の中?

 俺を抱えてダークエルフの父親は座り込んでいる。

 何日経っただろうか?

 ダークエルフの父親は動かない。

 死んでいる……。


 俺は、ヘルは1人で森の中の木の実なんかを食べて飢えをしのいだ。

 森を抜けると街があった。

 エルフの街だ。

 しかし、石を投げられて追い出された。

 半身はエルフの白、半身はダークエルフの黒。

 エルフ達には受け入れられなかったのだ。


 何年たっただろうか?

 森の動物を狩り生きていくほどの強さを身に着けた。

 たどり着いたのはダークエルフの街。

 しかし、兵士や冒険者に襲われてしまった。

 半身はエルフの白、半身はダークエルフの黒。

 ダークエルフ達には受け入れられなかったのだ。


 絶望に暮れていた時、2人の男が現れた。

 黒髪に長髪、冷たい目を持つ男。

 巨軀に銀髪、恐ろしい目を持つ男。

 黒髪に長髪、冷たい目を持つ男は俺、ヘルにRPの使い方を訓練している。


 黒髪に長髪、冷たい目を持つ男は俺、ヘルを魔法陣に立たせた。

 魔法陣はヘルを包むと頭に黒い輪が食い込んだ。

 これは何だ?



---



 一気に開放したRPでヘルを吹き飛ばした。

 ヘルの頭の黒い輪が砕け散った。


 俺は思いっきり右足で地面を踏みつけた。

 フロアの床ごと魔法陣を破壊した。


 ヘルは怯えた表情でこちらを見ている。


「ど、どうして、こんな……。

 わ、私は何を……」

「ヘル。お前、もしかして操られていたんじゃ……」

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