第五十四話 王の直属兵士を倒そう ~エルフ王アールヴの件~
現状、RPを100万ほどに抑えて戦っているが、全力で2200万まで出すことが出来る。
エルフ王の左右の兵士はゆっくりと近づいてきた。
身長2メートルほど、赤い甲冑に3メートルはあろうかという大剣。
RPは50万。
エルフ王アールヴは静かに言った。
「お主達は全員で戦ってかまわんぞ」
RP50万の兵士2体。
エルフ王アールヴの余裕。
嫌な予感がする。
「ここは俺にまかせてくれ」
俺はレーヴァテインを抜き、いつでも全力で戦える準備をして前に出た。
エルフ王アールヴは失笑した。
「まさか1人で戦うと言うのかね?」
エルフ王アールヴの失笑は大笑いへと変わった。
「ハッハッハ! お主面白いぞ!」
エルフ王アールヴは笑いを止めた。
その表情は氷のように冷たく視線が刺さる。
「やれ」
静かにエルフ王アールヴが言った瞬間、左右の兵士の雰囲気が変わった。
RPが50万から上がっていく。
55万。
60万。
65万。
70万。
90万。
120万……。
エルフ王アールヴは再び大声で笑いながら言った。
「ハッハッハ! 今からでも遅くないぞ全員で戦ってもいいぞ!」
左右の兵士はそれぞれがRP1000万まで上がっていた。
カール 800万
フレイヤ 295万
ノル 270万
アイラ 330万
俺の嫌な予感はあたった。
カールよりも強い。
左右の兵士はゆっくりと大剣をふりかぶると次の瞬間、一気に間を詰めて来た。
左右両方から体験で挟み込むような攻撃。
大剣は衝撃波と轟音を発して俺に向かってきた。
「うおおおおおおおおお!」
俺はRPを一気に2200万まで開放するとレーヴァテインを全力で振るった。
左の兵士を大剣ごとふっとばした
右の兵士までレーヴァテインは達し床に叩きつける。
みね打ちで気絶させるにとどめた。
「あ、あぅ、あうあ……」
エルフ王アールヴは言葉にならない声を出して放心している。
「エルフ王よ。
さあ、話を聞いてもらおうか?」
俺がそう言うとエルフ王アールヴは焦燥し下を見つめたまま返事は無かった。
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「エルフ王よ。なぜ圧政を敷き平民を阻害するんだ」
エルフ王アールヴは、ポツリポツリと言葉を発した。
「お、王妃、フェイがたぶらかされたのだ……」
「わ、ワシも脅されて……」
エルフ王アールヴは、涙を浮かべながら全てを説明した。
平和を愛し平民も平等に何不自由なく暮らせる世界。
アールヴヘイム。
ダークエルフの世界から来た者。
他の世界から来た者。
全ての者が平等に幸せに暮らしていた。
エルフ王アールヴ、王妃フェイは、そんな平和な世界を愛していた。
ある日、魔法使いが現れ王妃フェイの世話をするようになった。
だが、王妃フェイは次第に暗くふさぎ込むようになった。
「気づいた時にはおそかったのだ……」
エルフ王アールヴは涙を流しながら語った。
「ワシの愛する王妃は魔法使いによりその魂を殺されたのだ。
そして魔法使いの人形と化した」
「王妃様、フェイは『スヴェルトアールヴヘイムの層』で俺達が討伐しました」
「そうか、あれは王妃では無く魔法使いのRPに操作された人形だった。
お主達が葬ってくれたのか。
王妃の肉体を開放してくれたのか……」
エルフ王アールヴは泣きながら感謝してきた。
しかし、フェイの記憶。
ありとあらゆる物を渇望。
貧しい村の小さな女の子。
尖った耳に羽根に白い肌のフェアリー。
食べる物がなく、飲水も無い。
食べ物、飲み物への渇望。
この記憶は何だったのか?
生命の維持のためのRPを求め、
食べ物、飲み物を求め、
贅沢品を求め、
承認を求めたフェイは王妃では無かったのか?
「ワシも終わりだ」
「そんな事は無いです。後悔してるならやり直せばいいじゃないですか?」
フレイヤがエルフ王アールヴを慰めるように言った。
「そうニャ!」
「エルフ王よ。ワタシも応援する」
ノルにアイラもエルフ王に声をかけた。
「そうでは無いのだ……」
王は、うなだれながら言った。
「強き者達よ。ワシの願いを聞いてくれ。
アールヴヘイムの民に再び平和を取り戻してくれ。
王妃とワシを傀儡とした魔法使いを倒してくれ」
「任せて下さい。俺達も元々お世話になった人のためにここへ来たんです。
目的は同じです」
「そうか、それを聞いて安心した。
ワシもあの魔法使いの傀儡。
この世界の民にあの魔法使いの魔手が届かぬよう何とか誤魔化してきた。
だが、ここまで話したら……」
その時、エルフ王アールヴの後ろに黒い死神のような影が浮かんだ。
死神の影はカマを振り下ろすような動作をした。
次の瞬間、エルフ王アールヴは肩から足にかけて両断され倒れた。
「た、たのんだ、ぞ……」
エルフ王アールヴは静かに目をとじた。
「エ、エルフ王!」
時すでに遅し。
エルフ王アールヴは絶命していた。
「これは条件式で発動するRPのトラップだ」
カールが口を開いた。
RPを様々な条件で発動させるようにコントロールすることが出来るらしい。
カールの兄が得意とした戦い方で、ここまで高度なコントロールが出来る者は一握りしか居ないそうだ。
「かなり厄介な敵かもな」
カールは呟いた。




