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第四十話 80層ラジンを倒そう ~シギュンへのプレゼントの件~

 80層「ラジン」その姿は周りの光を吸収するかのような漆黒の闇が人型を成しているようだ。

 炎のようにゆらゆらと体中から漆黒の闇が立ち上っている。

 

「久しいなロキよ。今更何の用だ?」

「わかっているだろう? 大人しく魔斧へと戻れ」

「フン。またワシにやられたいのか?

 今度は、シギュンとか言う女も居ないようだな。

 あの女も結局、俺達を故郷へ返しただけの無駄死にだったがな」

「だまれ!」


 ロキさんは長剣を取り出し飛び出した。


「ロキさん! RPを受け取ってください!」


 ラジン、あいつは俺も許せない。

 ロキさんの存在と一体化するイメージしてRPを一気に渡す。



---



「ロキ、今日はお誕生日ね」


 これはロキさんの記憶?


「ああ、そうだったな。次の献上品の刀剣作りの事で頭がいっぱいで忘れてたよ」

「毎日、かかりっきりだから、たまには休んだら?」

「献上品が王家の剣として採用されれば鍛冶屋としてやっていける。

 それに今はシギュンの稼ぎで生活していってるのも申し訳無い」

「そんな事は気にしないで。アナタには鍛冶屋としての技術を追求して欲しいの」


 シギュンさんは微笑んだ。


 それじゃあ、私は働きに出てくるから頑張ってね」

「ああ、いつもすまない」

「テーブルに食事と細やかなお誕生日プレゼント置いておきましたから」


 シギュンは家を出る間際にそう言い残した。

 誕生日プレゼント?


 テーブルを見ると食事が用意されていた。

 パンにスープ。

 スープには肉や野菜をうまく工夫して入れてあって栄養があり美味しそうだ。

 そして、紙の包みが置いてあった。

 持ち上げると重い。

 中には金色の岩のような塊が入っていた。

 金ほどの光沢は無いが色自体は暗い金に近い。

 手に持った感触は鉄の塊そのものだった。


「こ、これはオリハルコン」


 シギュンは、こんな高価なものどうやって手にいれたんだ?

 金ほど高価で無いものの貴重な金属だ。

 

 夜になるとシギュンが戻ってきた。


「シギュン! これは!」

「どう? 気に入ってくれた?」

「こんな貴重な金属を打てるなんて、今作ってる献上品のアイディアにもなるし、最高のプレゼントだよ」

「色々考えたんだけどアナタが本当に喜びそうな物これしか思いつかなくて」

「何言ってるんだ。最高だよ」

「よかったわ喜んでもらえて」


 シギュンは微笑んでいた。

 しかし、どうやって手に入れたんだ?


「シギュン。そう言えばネックレスはどうしたんだ?

 俺達が結婚する前に、シギュンがお金を貯めて買ったお気に入りのやつ。

 いつも身につけてたじゃないか?」


 まさかとは思うが……。


「あれは売ってしまったわ。

 今は必要も無いしね」

「それでオリハルコンを……」

「いいの。気にしないで。アナタは鍛冶のことだけ考えててくれればいいの。

 それが私の夢でもあるから」



---



 ラジン RP800万

 ロキさんは1200万のRPを込めた長剣でラジンの胴体をまっぷたつにした。

 ラジンはあっけなく崩れ落ちた。


「すっげえ」


 カールがつぶやいた。


 イズン師匠、ダイアナは目を見開いている。

 ロキさんの喜びの感情が俺に伝わってくる。



---



「シギュンありがとう。あの誕生日プレゼントがあったから王家の献上品に俺の刀剣が採用されたんだ」


 オリハルコンをプレゼントされた誕生日から半年。

 ついに、一流の鍛冶屋として名乗ることが出来る。

 王家の献上品である刀剣を鍛えた者は過去にわたってそうは居ない。


「シギュン、これを」


 俺は白いロッドをシギュンに渡した。

 

「これは?」


 シギュンは不思議そうな顔をして受け取った。


「今日は君の誕生日だろ?」

「あら、そうだったわ。私も自分の誕生日を忘れるなんて忙しかったのかしら」

「君はよくやってくれたよ。全ては君の支えで実現したことだ」

「ありがとう……。ロキ……」

「な、泣くなよ……」


 白いロッドは外装は白いが中はオリハルコンだ。

 半年間シギュンを守る思いをRPにして打ち続けた。

 オリハルコンには不思議な性質がある。

 RPを残留させやすく意思すらも転付することが出来る。

 

 シギュンのプレゼントのオリハルコンのおかげで献上品へ一部オリハルコンを使用し武器の強度をあげることが出来た。

 プレゼントを買う金も無い俺は毎日オリハルコンを打った。

 思いが強ければ強いほどシギュンを守る力となる。

 

「元はシギュンからもらったオリハルコンなんだ。

 プレゼントを買うお金も無いから毎日打って自分で加工したんだけど」

「ううん。そうやって毎日考えてくれた事がうれしい」



---



 80層ラジンはロキの長剣により一瞬にして倒されてしまった。


「ロキさん……」


 俺が見た光景をロキさんに伝えようと思った。

 しかし、ロキさんはわかっているようだった。


「アルス、シギュンは美しかっただろう?」

「はい、とても。心も何もかもが」


 俺は思ったままに素直に答えた。

 ロキさんは、声高に笑っていた。

 よく見ると涙ぐんでいるようだ。


「すっげえ!」


 カールの叫ぶ声が聞こえた。

 魔斧にラジンを吸収させると試し振りしていたのだ。

 カールが魔斧を振ると、黒い炎が巻き起こった。

 強烈な黒い炎が巻き上がる。


「ちょっと休んだら次は90層カジンだわさ」


 イズン師匠は、みんなに赤いリンゴを配った。

 久しぶりに食べたリンゴは美味しかったしRPも一気に回復した。

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