第三十二話 イズン師匠に再開しよう ~今後の攻略についての件~
ディシデリーズの塔は9層の世界から構成されている。
第一層 ミズガルズの層
第二層 アースガルズの層
第三層 ヨトゥンヘイムの層
第四層 スヴェルトアールヴヘイムの層
第五層 アールヴヘイムの層
第六層 ヴァナヘイムの層
第七層 ムスッペルスヘイムの層
第八層 ニヴルヘイムの層
第九層 ヘルヘイムの層
俺達は今、第二層の『アースガルズの層』に居るわけだ。
各層は100階の塔により繋がっている。
俺達は各層を繋ぐ100階の塔をディシデリーズの塔だと勘違いしていたわけだ。
自衛軍和田大将に全てを説明した。
佐藤中将は驚いていたが、大野はこの世界の構成について興奮しっぱなしだった。
「俺達、一度ミズガルズの層に戻ろうと思っています。
自衛軍の7名の方々もその時に話をしようと思っています」
「アルス君、それは我々としても助かる。ぜひお願いするよ」
和田大将は深々と頭を下げて言った。
「まかせて下さい。必ず7名を連れて来ます」
---
自衛軍が包囲する階段を降りるとイズン師匠の設置した青いドアがあった。
ドアを越えて久しぶりにイズン師匠のホームへ来た。
庭の草木に水をあげている後ろ姿が目に入った。
赤い派手な洋服に巻き髪の小さな女の子。
「師匠! アルスです! 戻りました!」
イズン師匠は振り向くと目を潤ませながら駆け寄って来た。
「ア、アルス! よく戻ったわさ!」
イズン師匠が胸に飛び込んできた。
「ノルもニャ!」
なぜかノルも飛びついてきた。
「アルス殿だけ、イズン様とずるいです!」
アイラの巨乳に顔面を押さえつけられて息が出来ないのも久しぶりだ。
「みなさん! 私だけのけものなんて」
フレイヤまで後ろからしがみついてきた。
久しぶりにみんなに囲まれてハーレム状態。
イズン師匠に久しぶりにあった懐かしさもあって泣きそうだ。
「おいおい。アルスもてもてだな」
カールが近くで見ながら笑いながら言った。
「カール! 助けてくれよ」
---
イズン師匠にディシデリーズの塔の9層の階層構造について説明すると思ったよりも驚いていなかった。
「なるほどね。あたしもずっと疑問だったわさ。
それに彼らの話を聞いて予想出来てたわさ」
イズン師匠は、そう言うと部屋の奥へと呼びかけた。
「フクミズ少佐、こっちへ来るわさ!」
「イズン師匠。お呼びですか?」
フクミズ少佐と6名の隊員が奥から出てきた。
イズン師匠は俺達をフクミズ隊員達へ紹介すると事情を話してくれた。
「アルスさん。自衛軍基地までの案内ありがとうございます」
俺達が隊員達を案内することを伝えるとフクミズ少佐は深々と頭を下げた。
「さっそく俺達アースガルズの層に戻って塔の攻略を進めます」
立ち去ろうとした時、イズン師匠が声をかけてきた。
「ノル、アイラ、フレイヤは、ここに残るわさ」
「イズン師匠。突然どうしたんですか?」
ノル、アイラ、フレイヤは口を閉ざしている。
「3人共わかってるわさね」
フレイヤがゆっくりと口を開いた。
「はい、キュプロクスとの戦いの時、私も確信しました。
このままじゃあアルスの足手まといになるって。
せめてイズン師匠やカールぐらいのRPは無いと今後の戦いについていけないって」
アイラも頷きながら同意した。
ノルも静かにしている所を見ると同じ考えのようだ。
「それにノルちゃん。
唯一の空間魔法取得の可能性があるわさ。
あたしの青いドアの魔法を使えるようになれば今後の攻略が楽になるわさ」
無言で全員一致の意思を暗に示していた。
「しめっぽいわさ。
一ヶ月わさ。
一ヶ月で全員のRPをアップさせるわさ。
アルスとカールも追いつかれないように気をつけるわさ」
俺とカール、7名の隊員はホームを後にした。
---
フクミズ少佐以下7名と共に自衛軍和田大将の元へ到着した。
「フクミズ以下7名。、第一旅団第一偵察小隊、只今、戻りました!」
フクミズ少佐は敬礼した。
「よく戻ってくれた」
和田大将の目が少し潤んでいるように見えた。
「アルス君、ご苦労だった。ところで、これからどうするのかね?」
「はい、もちろんディシデリーズの塔を攻略していきます」
「そう言うと思ったよ。我々も協力は惜しまない。何でも言いなさい」
「はい! ありがとうございます」
---
自衛軍の施設に泊まることになり俺はカールとベッドを並べて眠りにつくことになった。
暗い部屋の中、なかなか寝付けない。
さっきから何度も寝返りをうっている。
カールもまだ寝られないようだ。
「カール、まだ起きてるか?」
「ああ、どうかしたのか?」
「なあ、カール。お前の父さんお兄さん、もしかするともっと上の層に居るのかな?」
「ああ、そうだな。あまり会いたいとは思わないけど追いつきたいな」
「父さんと兄さんなのに会いたくないのか?」
「うん。小さな頃から修行でコテンパンにされた思い出しか無いからな」
「カールがコテンパンなんて、よっぽど強いんだな」
「ああ、俺が言うのも何だが化物だったな。アルスと同じぐらい化物さ」
「おいおい、化物なんて酷いな」
カールは笑い転げている。
なんだかカールと居ると子供の頃の後先考えずに無鉄砲に何でも挑戦した頃の気持ちを思い出す。




