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第三十一話 巨人と仲良くなろう ~アースガルズの層の件~

 キュプロクスへRPを分け与えた。


「フレイヤ。回復魔法(ヒール)を頼む」

「わかったわ」


 フレイヤはキュプロクスへ回復魔法(ヒール)をかけた。


「一体何をされてるんですか!」


 ヴァルキュリアは、あわてて止めに入ろうとした。


「ヴァルキュリア殿大丈夫です」


 アイラが腕を掴みヴァルキュリアを制止した。


「ヴァルキュリアさん、大丈夫です。この巨人は害は無いですよ。むしろ街を守ってくれます」


 俺はヴァルキュリアを掴むアイラの腕をほどいて言った。


「お、お主がそう言うのであれば……」


 ヴァルキュリアは、まだ半信半疑のようだ。


「ヒッヒッヒ。アルスさん、あなた何か特殊な力を使ったのですね?」


 大野は興味津々だ。


「はい。俺は対象と同化しその記憶などを知ることが出来ます。

 特殊な力というよりRPの修行の過程で偶然出来るようになっただけなんですが」


「ヒッヒッヒ。面白いですよ。アルスさん」

「ところでこの巨人。

 悪い奴では無さそうです」


 その時、巨大な音と共にキュプロクスは立ち上がり、すぐに膝をついてこちらを見下ろした。

 頭を下げ片膝を尽き俺達に対して誠意を示しているようだ。


「おい! 巨人よ! お前の名前は何と言うんだ!」


 俺は思いっきり叫んだ。

 片膝をつき頭を下げているとは言え巨大だ。

 顔は10階建てのビルよりも高い位置にある。


「皆様、ありがとうございます。ワタクシの名前はブロンテースと申します」


 頭の中に直接巨人の声が響いた。

 ブロンテースと言うのか。


「なあ、これから街の最高責任者であるオーディンに会いに行って、君が街に住めるように交渉しようと思うがどうだろう?」


 突然、ブロンテースは大きな声で泣き出した。


「オーイオイオイ! オーイオイオイオイ!」


 轟音が響き渡り、ブロンテースの涙がまるで豪雨のように降ってくる。


「ちょっと! 待て待て待て! 泣くな!」

「グッスっ、も、もうしわけないです。嬉しくて嬉しくて」


 ブロンテースは涙を拭いながら言った。

 見た目は凶悪で巨大なのに、どれだけ涙もろい奴なんだ。


「なんなりとお申し付け下さい。ワタクシ何でもお役に立てるのであれば幸いです」



---



 ヴァルハラ城へ戻り一部始終をオーディンに伝えた。


「それで、ブロンテースですがどうしましょう?」


 俺は恐る恐るオーディンへと聞いた。


「ホッホッホ。ヴァルキュリアを守ってくれた上に心強い味方まで連れて来てくれるとは感謝するぞ」

「と言うことはブロンテースはここで暮らしても大丈夫と言うことですね」

「ホッホッホ。こちらも心強いわい。

 イザヴェルの広場、だだっ広くてちょうど殺風景だったからちょうど良いわい。

 この街の安全がより強固になるであろう」

「やったあああ!」

「やったニャ!」


 フレイヤとノルは声を出して特に喜んだ。

 ブロンテースに相当同情していたようだったので喜びもひとしおなんだろう。



---



 俺達は自衛軍基地へ戻ると一部始終を和田大将、佐藤中将へ報告した。


「ご苦労だったぞ。我々召喚者のこの街での立場もより良くなる。

 何か協力出来ることがあれば何時でも言ってきなさい」


 和田大将は力強く言った。


「ヒッヒッヒ。ご報告があります」


 大野が何か記録された紙を手に持って突然話はじめた。

 

「今回の戦闘データの分析結果が出ました。

 驚くべきものです。

 なんせ、このアルス君の攻撃。

 1RPを1800ジュール。

 TNT1キロを430万ジュールとした場合。

 実に1255KG。

 トマホーク一発分のエネルギーを剣に込めて放ったのです。

 剣圧はとんでもない威力ですよ。

 ヒッヒッヒ」


 大野が興奮気味に早口で話してわからなかったが、要するに俺の一撃はミサイルレベルだったということだ。

 まったく全力では無かったのだが。


「大野わかった。わかった。

 後ほどじっくり聞こうでは無いか」


 和田大将はブツブツ言う大野を止めると話を戻した。


「我々で協力出来ることがあれば何でもしようじゃないか?」

「ありがとうございます。

 俺達は召喚者の元来た世界へ戻ることが目的です。

 ブロンテースはおそらくこのアースガルズの層と呼ばれる場所の上の層から来たと思われます。

 ブロンテースに一度話を聞いて、何かあればお願いしたいです」

「うむ。わかった。我々も現実世界へ戻ることは悲願である。

 惜しみなく協力しよう」


 和田大将は固く約束してくれた。



---



 全員解散し今日は休むことになった。

 俺は一人でブロンテースの居るイザヴェル広場へと来た。


 ブロンテースの肩から眺める街の風景は荘厳だ。

 ブロンテースがあぐらをかいて座っていても3,40階建てほどのビルの高さはありそうだ。


「よかったな。ブロンテース」

「アルスさん、ありがとうございます。全てアルスさん達のおかげです」


 ブロンテースはイザヴェル広場で自由に暮らせることになった。

 街の外の監視もかねて人々からも感謝されている。

 元々この街には人間や亜人、それも獣人から異型人まで多種多様。

 天使や悪魔のような羽根を持った者。

 ブロンテースほどでは無いが10メートル級の巨人も住んでいる。

 抵抗も少ないのだろう。


「ところでブロンテースの住んでた場所なんだけど」


 あんな記憶を見てしまったので少し聞きづらい。


「はい、アルスさん。ワタクシが住んでいたのはヨトゥンヘイムと呼ばれる世界でした」

「その世界はこの世界アースガルズの上にある世界なんだよな?」

「はい、おそらく。それにワタクシ達の世界には言い伝えがありました」

「言い伝え?」

「はい、この世界は9層の世界から成るという言い伝えです。

 第一層 ミズガルズの層

 第二層 アースガルズの層

 第三層 ヨトゥンヘイムの層

 第四層 スヴェルトアールヴヘイムの層

 第五層 アールヴヘイムの層

 第六層 ヴァナヘイムの層

 第七層 ムスッペルスヘイムの層

 第八層 ニヴルヘイムの層

 第九層 ヘルヘイムの層

 です」

「つまり俺達は今第二層に居るってことか」


 ディシデリーズの塔とは9層からなる巨大な塔。

 俺達が一層から登ってきた100層の塔はディシデリーズの塔の階段でしか無かったということか。


「先は長いな……」

「アルスさん達は一番上の層まで行くおつもりなのですか?」

「ああ、俺達が元居た世界に戻るためにこの塔から脱出したいんだ。

 本当に元居た世界に戻れるか? どうかは確証が無いんだが」

「ワタクシ達の言い伝えでは塔を制覇した先にはどんな願いでも叶う場所があると言われていました。

 アルスさん達なら何があろうと目的を達成出来そうに思えます。

 こんなワタクシでさえ救ってくれたのですから」

「そう言ってくれると心強いよ。

 俺も心配だったんだ。

 さっそく明日から動いてみるよ」

「ワタクシに出来ることがあれば何でも言って下さいね」


 俺はブロンテースの肩から降ろしてもらうと基地の宿舎へと向かって広場を歩いた。


「そうだった。

 俺が召喚者だってのは秘密な。

 訳あって隠してるんだ」

「承知しました」


 ブロンテースは俺の秘密を知れた事が嬉しかったのか心無しか笑顔に見えた。

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