間話 テイマーになろう ~俺のテイマーが爆発しそうな件~
朝起きると……。
ノルが俺の上にのかって寝ていた。
まるで騎乗するかの様に。
「のわあああああああああ! ノル起きろ!」
ノルを抱き起こしたが目覚める気配が無い。
俺の叫び声を聞いて他の部屋からみんな集まってきた。
「あんた! こんな小さな子どもに手を出すなんて! 変態よ!」
「ご、誤解です! イズン師匠!」
「アルス……。あなたそんな趣味があったの!? ノルちゃん逃げて!」
「ご、誤解だ! フレイヤ!」
「アルス殿! ワタシのおっぱいでは満足できませんか?」
「な、何、更に誤解されることを言ってるんだ! アイラ!」
「アルス! やるね~。ヒュウッ!」
「お前はいつも火に油を注ぐようなことを! カール!」
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毎回のワンパターンなドタバタ劇。
正直疲れた。
それにこのままじゃあ性犯罪者になってしまう。
ロリ好きなら本望かもしれないが俺はセクシーお姉さん派なんだ。
ロリっ子に手を出して逮捕なんてハイリスク・ノーリターンだ。
各個人に部屋を割り当てられてからも、
たまにノルが夜中のうちに俺の布団へ潜り込んでくる。
亜人族猫科のノルの習性なんだろうか?
猫科?
そうだ。
俺も猫を飼っていた。
猫のしつけは昔やった。
実家で飼っていたベンガルの『スコグカッテル』のしつけをしたのは俺だ。
そうだ。
テイマーだ!
無職の俺でも猫のテイマーぐらいなら出来る。
俺が異世界に来る直前、世の中はテイマーブームだった気がする。
アニメから小説まで、やたらテイマーテイマー騒いでた。
俺もテイマるしかない。
「うおおおおおおおおおおおおお! 俺のテイマーが爆発しそうだぜ!」
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早朝から起こされて眠かったが街や森へ出かけて道具をそろえた。
猫のテイマーに必要な数々の品物。
木箱に入れて準備万端。
あとは部屋にノルを呼ぶだけだ。
夕食後、俺は部屋にノルを呼び出した。
まずは今日のベッドへの忍び込みについて叱った。
頭をちょっと強めに抑えながらはっきりと言う。
「ノル! ノルは一応女の子なんだし男の俺のベッドに簡単に入ってはいけません!」
「は、はい、ニャ……」
猫を叱る時は悪さをした時にすぐに。
そして暴力はいけない。
頭をちょっと強めに押さえるぐらい。
そしてハッキリと言う。
ノルはしょんぼりしている。
「もうやらないと約束できるか? ノル!」
「は、はいニャ……。もうしないニャ……」
ノルが泣きそうだ。
ここですかさず俺のテイマー力を発揮する。
「よし! 反省してすぐに約束できるなんて偉いぞ。ノル!」
「ニャ!」
ノルの顔が一瞬で明るくなった。
今だ!
ノルの腰のあたりを撫でてやる。
猫は頭ではなく腰のあたりを撫でられるのが好きなんだ。
しかった後は、しっかりと褒めてあげる。
この猫テイマー最強コンボでイチコロだ。
「ニャニャニャニャニャニャ」
ノルがふにゃふにゃと床に崩れ落ちた。
よし! ここで更に新兵器を投入する。
箱から新兵器の一つを取り出した。
猫じゃらしだ!
異世界にも猫じゃらしのような植物が生えていた。
現実世界のよりもかなり大きい。
猫じゃらしのタワシぐらいの大きさの先端をノルの前でフラフラと動かしてやる。
「ニャ! ニャ!」
おっ! ノルのやつ、やはり喜んで飛びついてきた。
ノルの尻尾もピンと立って喜びを表している。
「ほれっ! ほれっ!」
猫じゃらしを目の前でふってやる。
「ニャ! ニャ!」
ノルは楽しそうに遊んでいる。
完璧だ。
俺の猫テイマー能力は完璧だ。
次はボールだ。
糸で作られた蹴鞠に近いボールだ。
これを与えれば一人でも遊べる。
疲れて寝れば夜中に起きて来ることも無くなるだろう。
つーか、朝早くから動いていて俺も眠い。
今日はボールをあげて俺はもう寝よう。
「ノル。これはプレゼントだ。自分の部屋で遊びなさい」
「ありがとうニャ!」
「俺はもう寝るから自分の部屋に帰りなさい」
あまりに疲れていたのでベッドに入った。
布団をかぶると意識が遠のいてきた。
「ニャ! ニャ!」
ノルのやつ、まだ俺の部屋で遊んでるのか。
「ノル。早く部屋に帰りなさい」
眠い……。
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朝起きると……。
ノルが俺の上にのかって寝ていた。
まるで騎乗するかの様に。
「のわあああああああああ! ノル起きろ!」
ノルを抱き起こしたが寝ぼけている。
「ニャニャニャ。ムニャニャニャ」
俺の叫び声を聞いて他の部屋からみんな集まってきた。
「あんた! こんな小さな子どもに手を出すなんて! 変態よ!」
「ご、誤解です! イズン師匠!」
「ノ、ノル! 昨日、忍び込んだらダメだとあれほど言っただろう!」
「忍び込んで無いニャ。アルスに部屋に呼ばれたから来たニャ」
「き、昨日、部屋に帰らなかったのか!?」
イズン師匠のジト目が、かつてないほどにジトジトと突き刺さる。
「あ、あんた。ついに自分から……」
フレイヤが悲しそうな顔をしてこちらを見ている。
「アルス……。今までは冗談で済んだけど今回は……」
「ご、誤解だ! フレイヤ!」
「ノル! みんなの誤解を解くんだ!」
「昨日はアルスに部屋に呼ばれたニャ。
最初頭を抑えられたニャ。
それから腰のあたりを撫でられて、
最後は木箱から道具出して来て遊んでもらったニャ」
「おい! ノル! その言い方だと、なんだか卑猥に聞こえるじゃないか!」
イズン師匠、フレイヤが硬直している。
アイラが静かに口を開いた。
「アルス殿! そなたの行為は我が国では犯罪となります」
「いや、違うんだ! なあカール! カールならわかるよな?」
「アルス、ごめん……。今までは冗談だったけど、本当に……」
「おいおい、本当におかしな空気になってるじゃないか。
ノル、昨日は変なことしてないよな?」
「ニャ! 気持ち良かったニャ! また遊んでニャ!」
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最終的に木箱の中の猫じゃらしやボールを見たら誤解は解けたようだった。
もうテイマーなんて調子にのってやらないようにしよう……。




