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メイドさんと迷いの森

薄暗い森の中、敵はシルワウルフ、グリーンゴブリン、プロテプース、キラービーなどがいる。

ミヤビは森の中をまっすぐ歩くことにした。森の入口からまっすぐ進めば絶対に反対側、すなわち岩山方面に出ることが出来るはず、幻惑花がどれだけ凶悪な混乱を引き起こすかわからないが、私のステータスと装備なら行けるはずだ。


道中に出てきたシルワウルフやグリーンゴブリンなどは倒した証を集めておく。なんでも道中に出てくるモンスターを倒したやつも後で支払ってくれるらしい。ウルフに関しては食材になるらしいから全部持っていく。頭と離れてるから持っていくのは身の方だけ。

それからしばらく歩き幻惑花を見つけることが出来た。紫のユリの花みたいな外見をしていて確かに惑わす効果がありそうだ。大体木の根付近に生えているので見つけやすい。

30分くらい散策して目標数採取できたので森を抜けるべくまた進み始める。


歩き始めた時、ミヤビは採取してたら【採取Ⅰ】を手に入れていた。


【採取Ⅰ】⋯採取系のものが見つけやすくなる。レベルが上がるにつれ見極めが上手くなる。


微妙だ。まぁないよりはマシって感じかな。採取依頼受けないと育ちそうにないスキルだしほっとけばいいや。てかなにか一定以上のことをするとスキルを獲得する感じか?スキルといい技といい、ならもう少し狙ってスキル取れたりしないかなー?せめて【闘気】【闘神】あたり欲しいなー。ゲームの時なら条件もわかってたけどここだと無理だ。


そんなことを考えながら歩いていると徐々に森の出口が見えてきた。

ちゃんと岩山方面に出てこれたので一安心。

さて次の依頼はコカトリスか、岩山歩き回ればいるでしょうし、散策ついでに見て回りますか。

閃緑岩、石灰岩などがあり所々に琥珀が埋まっている。

ここで琥珀を採取して持ち帰って売るだけでもかなりの儲けが出そうだ。

まぁそのためには迷いの森を抜けないといけないから一般人には無理だろう。冒険者に任せるくらいか。

そして結構面倒なのが足場だ。メイドだからヒールを履いてる。そのせいで石が挟まったりして歩きづらい。

まぁこんな場所でこんな服装してる奴がまともなこと言えるわけないけど。


岩山の中腹付近で小型コカトリスに出会った。何かと交戦中のようだ。ここからでは小型コカトリスが飛んで地面に向けて攻撃しているのしか分からない。戦ってるものの様子も見えない。

もっと近くによることにした。

近づいてようやく見えた。1人の女性が小型コカトリスと戦闘していた。女性は右腕が石化しており苦悶の表情を浮かべていた。

さすがに分が悪いと思い助けることにした。私は魔法を詠唱しながらコカトリスに近づく。


「凍らせ、穿て、“氷槍”」


氷魔法を使いコカトリスの羽を穿つ。両翼のバランスが取れなくなり、コカトリスはフラフラと高度を下げた。

私はすぐその女性のそばに行く。


「大丈夫ですか?」

「貴方は⋯」


その女性は黄緑色の長い髪で目は黄色、耳が尖ってる。ひと目でわかる。彼女はエルフだ。右腕は石化が続いており、もう肩上まで来ている。

だがコカトリスはもう起き上がってこっちに敵意を向けている。

さすがに治療優先する訳にもいかず、先にコカトリスを討伐することにした。


コカトリスが一心不乱に駆けてくる。私はそれに斧を取り出し、“アースインパクト”を打つ。

斬撃が飛んでいき、コカトリスの片翼を落とす。それによりバランスを崩し転倒した。

そこに走っていき斧で袈裟斬りにする。首から斜めに落ち、コカトリスは死んだ。


一旦コカトリスのことは置いておいて、エルフの所に行く。


「大丈夫ですか?」

「くっ⋯だい、じょうぶ、ではないです」

「今回復します」


ミヤビに回復魔法はまだ覚えていない。治す方法はひとつ、精霊魔法を試す他なかった。


「精霊よ、力を貸して、彼の者に癒しを」


すると森の方から風が吹き込んできた。その中から30センチくらいの精霊が姿を表した。


「ミてたよ、キミはいいヒト、だからタスケテあげる、“ヒール”」


精霊からの助けによりエルフの腕の石化が治っていく。他にも怪我をしている場所なども治っていく。


「もうダイジョウブ、キミにイイことおしえるね、キミのブキに語りかけてごらん、キミのためになるから、ジャネ」


そう言って精霊は帰って行った。


「ありがとう」


精霊の言葉について考えていたらエルフに話しかけられた。そうだった、忘れてた。


「いえいえ、無事でよかったです」

「私はエルフ族のセーラ・レリオンです。助けていただきありがとうございます」

「私はミヤビ、よろしくね。それよりエルフ族ってここら辺が住処なの?」


私はエルフ族についてはよく分からない。この世界でのエルフ族の立場や住処などは。


「いえ、私は逃亡者です。奴隷商人から逃げ出しました」

「奴隷⋯⋯」


この世界には奴隷制度があるのか、エルフはやっぱりちまだと人気なのだろう。


「追っ手があるの?」

「どうでしょう、迷いの森がありますから」


迷いの森か、あそこを抜けるのは普通の商人では無理だろう。森の中には魔物もいる。私が来た時には探してるような感じはなかった。もう死んだのか、それとも諦めたのか、どちらかだろう。


「セーラはどこから逃げてきたの?」

「ジェネリウス王国、王都ラックスからです」

「王都までここからどのくらい?」

「徒歩なら12日、馬車で7日です」


レイジスからラックスまでは結構距離があるな。というかセーラには奴隷紋すらないな。付けられる前に逃げたのか?


「セーラは奴隷紋は付けられなかったの?その前に逃げたってこと?」

「うん、王都ラックスに行く道中で盗賊に襲われてその時魔法で姿を消して急いで逃げたの」

「ならウチにおいでよ、家はないけどすぐ近くにあるレイジスって町で冒険者やってるから私」


エルフなら別に町に入っても大丈夫でしょ、もしなんかあったら私が庇えばいいし、そうしよう。


「いいの?」

「人間達がみんなエルフ嫌いな訳じゃないんでしょ」

「そうだけど⋯⋯」

「なら大丈夫だよ、何かあったら私が守るよ」


私のいる町が安全とは限らないけどいつまでも逃げ続けるだけじゃ疲れ果てちゃうから。

私としては異世界の代表格とも言えるエルフと話が出来て興奮してるわけだ。


「それじゃあ、お願いします」

「任せて、でも面倒事に巻き込まれないように耳の先が隠せるようにバンダナでも付けようか」

「わかりました」


私は露店で買い込んだ時に貰った布を渡す。

特に使う予定はなかったのでそのままあげる。


セーラはバンダナにして耳の先端を隠すようにバンダナをつける。これで取れない限り、公にエルフだとバレることは無いだろう。それまでにどうにか住む家とかその他環境を調整しないとね。




私とセーラはレイジスの町に戻るため迷いの森を歩いている。来た時同様まっすぐ歩く。行きに幻惑花を採取していたのでそこまで幻惑の効果もなく安心して帰ってこれた。

迷いの森の外での待ち伏せもあるかと思ったが杞憂だったみたいだ。

そのままレイジスへと行きたいところだったけどビックボア討伐が残ってる。

別に一日のうちに全部やれって言う訳じゃないけどなんとなくその日のうちに片付けて起きたかった。これはゲーム時代からそうだ。クエストを受けたらその日のうちに終わらせて次の日学校に行ってる間に何をするのか考えて、家に帰ったらその事に取り組む。何もなければ何もないで素材集めや、マップ攻略などをやっていた。後回しにすることによりやりたいことが出来なくなるのが嫌だったからとやり始めた事だった。

だから今回も今日中にもうひと仕事終わらせる。


「セーラ、まだあと一つ仕事が残ってるからそれやってからでもいい?」

「うん、大丈夫、なんだったら手伝うよ」


迷いの森から出るまででセーラについて色々聞いた。

セーラはエルフ族の中でも武器の扱いに長けた1家だったらしい。いつも通り狩りに出かけた。そこで大きな鹿を見つけてそれを追いかけていたらしい。

それを追いかけて森を抜けたら奴隷商人と護衛冒険者が休んでる場所に遭遇してしまった。

そこでセーラは冒険者に捕まった。剣の扱いが上手いセーラでも数の暴力には勝てず負けた。酷いことはされなかったと言っていた。でも奴隷になってしまったらセーラのことを買う奴なんてのは沢山いるだろう。

セーラは剣と弓が使えると言っていた。

弓はその時持ってなかったので今もない。これは後で買ったりすればいいだろう。

それと剣は奴隷商人に捕まった時に取られてしまっている。つまり、今は丸腰ってことだ。


「大丈夫だよ、すぐ終わるから」


南の街道に行き、あたりを見渡す。

ビックボアらしき影は見えない。そのまましばらく歩き回る。


「ねぇねぇ、ミヤビはなんでメイド服着てるの?」

「うーん、メイド服が好きだからかな」


この世界に来た時の装備がメイド服なんて言えないし、この服が強いなんて言ったところで意味不明だからね。


「でも攻撃くらったらただじゃ済まないでしょ、大丈夫なの?」


確かにその通りだ。普通のメイド服ならくらったらそのままダメージだろう。でもこのメイド服ならダメージ負わないんじゃないかなって思う。絶対なんてないけどね。


「まぁ、回避すれば大丈夫だよ」

「強いんだね」

「そんなことないよ」


しばらく歩き回ってようやくビックボアを見つけた。

ビックボア1匹、ボア3匹がセットでいる。

ボア系は突進攻撃が多いから1対1じゃない時は武器は不利になる。ここは魔法で倒すことにしよう。


「凍らせ、穿て、“氷槍”複数ロック」


“氷槍”を準備して敵の数に合わせ4本の槍を作る。それを複数ロックして放つ。

氷槍は3匹のボアの頭を潰して息の根を止め、ビックボアには額に傷をつけることが出来た。

ビックボアは怒りこちらに向かってくる。斧を取り出しアースインパクトを放つ。斬撃がビックボアまで飛んでいき突進してくるビックボアを一刀両断する。

顔が半分くらい切られそのまま加速を失い、止まった。


「ミヤビさん強い!」

「あと1匹ね」


ビックボアはアイテムボックスに入れておく。そのまま最後の1匹探して歩き出す。






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