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メイドさんと依頼

 次の日、冒険者ギルドの1画、隅の方にメイド服を着て座っていると、1人近づいてきた。

 多分男だと思う。背は私より低く、顔はかわいい系、女の子みたいにくりくりした目。


「こんにちは〜」

「こんにちは」

「臨時パーティー募集ってここですか?」

「そうですよ」

「よかったぁ、僕、ネフルっていいます」


 やっぱり男だったね。まぁ制限とか言ってないし、誰でも大丈夫だけど。


「ネフル君ね、よろしく、私はミヤビ」

「はい!」

「ネフル君は冒険者になってどれくらい?何ランク?」

「僕は冒険者になって半年です。ランクはGです」

「そっか、私は一昨日なったばかりだから、とりあえず依頼受けましょ」


 そう言って私は青の掲示板のところに行き、Fランクの依頼を探す。

 ・Fランク⋯ボア三体討伐。報酬1000ルピア

 ・Fランク⋯ネムネム草採取。報酬3000ルピア

 ・Gランク⋯迷子の子猫探し。報酬500ルピア


 なんか報酬少ないなぁ、これ1つじゃ一日宿に止まるだけで飛んでくじゃん。1日に沢山依頼やらないと1日生きるのだけでも大変そうだ。


「ネフル君、君、こんなに報酬少ないのに半年どうやって生活してたの?一日生活するのだって大変だよね?」

「僕はそれとお店でお手伝いもしててそれで何とか・・・」

「なるほどね、じゃあ今日はFランクの2つ残ってるやつをやりましょう」


 エリンさんに依頼書を2枚提出する。


「ミヤビさん、2つ一気にですか?」

「はい、どうせ町の外に出て討伐に行くならついでに採取もやってきますよ」

「はぁ⋯⋯パーティーメンバーはどなたでしょうか」

「この子ね」


 私は少し後ろにいるネフル君を指して言う。


「お二人ですか?」

「そうよ、問題は無いから手続きお願い」

「かしこまりました」


 私はエリンさんから依頼書を貰いそのままギルドから出る。その後ろにはネフル君がついてくる。

 そのまま歩いていき町の外に出て⋯⋯。


「ネフル君、ネムネム草はどこにあるかしら」

「あっちの森だよ」

「じゃあ行きましょ」


 ネフル君を連れてそのまま森にはいる。

 森は薄暗く、お天道様も見えないくらい木々が多い。

 ここにネムネム草があるのか。どんな見た目なんだろ。


「ネフル君はネムネム草の判別ってつく?」

「え?何言ってるの?ひと目でわかるじゃん」


 あれ?常識だった?ちょっとまずったかも、ひと目でわかるって相当だよね。

 そう思い森を歩き回っていると⋯⋯⋯⋯見つけた。

 確かにひと目でわかるな。そしてネムネム草と名付けたやつ出てこい。あれはネムネム草なんて言う可愛いものじゃないだろ。

 蔦みたいなやつが人型になっていて花の部分に顔がある。それが寝ているから、これのことだろう。

 採取と言うより討伐な気がするけどね。


「あれをぶった切れば良いんだね」

「それでもいいけど、他にもやり方ありますよ?」

「え?どういう事?」

「まずネムネム草採取で必要なのは花びらで大丈夫。しかも1枚で薬が10本は出来るからわざわざ倒す必要は無いんだよ、それにネムネム草を倒すにはDランクの実力がないとダメだよ」

「へぇー、じゃあ倒してくるね。ネフル君はそこで見てて」

「ちょっと!ミヤビさん!」


 ネフル君が止めてきたけど無視してネムネム草の前に行く。

 私の手には聖戦戦斧が握られている。花びらが必要だから、それ以外の顔から下を切ればいいってことだね。まだ寝てるから今のうちに頭と体を切り離して終わらせようか。

 私は斧をそのまま真横に振る。それだけでネムネム草の頭と体は分離した。

 終わった⋯⋯そう思ったらネムネム草の頭が目を覚ました。自分の状態を理解して切り離した部分から小さな足を4本蜘蛛みたいな感じに逃げ出した。


「待て!」


 ネムネム草は結構足が早く、このままでは追いつけない。私は斧を地面スレスレに持ち直しアースインパクトの用量で斧を振り上げる。すると地面を抉りながら斬撃が飛んでいく。それがネムネム草にあたり頭を二分割して倒し切った。


 今のってアースインパクトだよね⋯⋯どうなってるの?


「ミヤビさん!大丈夫ですか」

「うん、余裕余裕、ほらあれでいい?」


 死んだネムネム草に向けて指を指す。


「はい、大丈夫です。花びらさえ無事なら大丈夫なんで」

「じゃあこれでネムネム草の依頼は終わりでいいね」

「はい、次はボア討伐ですね」

「これも余裕ね」

「じゃあ行きましょうか」


 私達は森を抜けて、町が見える平原まで来た。見渡すだけで5匹のボアがいるのが見える。

 大きさからしてウリ坊サイズだ。余裕だな。


「さて、さっさと狩って帰りましょうか」

「はい!」


 私は近くにいるウリ坊⋯⋯ボアに近づいて斧を振り下ろす。それだけで武器が武器だしレベルも高いので両断される。

 半分に切れたボアが離れて中身が飛び出す。グロっ!これ切断するのは目の毒すぎる。2匹目は斧の側面で叩き下ろしてみた。こっちは頭が少し潰れるだけで酷いことにはならなかった。うん、叩いて倒せるなら叩いた方が目には優しいな。

 それから5匹のボアを討伐してネフル君に討伐の証の角を切り取って貰う。全部私がやってしまったから流石になにかしてもらわないとと思いお願いした。


「終わりましたー」

「じゃあ帰ろっか」

「はい!」


 私達は町に戻った。

 冒険者ギルドに戻りエリンさんに討伐の証を渡す。その中にはネムネム草の頭が半分に切られた状態のものもある。それを見たエリンさんが目を開く。


「あの〜このネムネム草は⋯⋯」

「倒した」

「倒した?Gランクの冒険者がですか?」

「なにか問題がある?」


 エリンさんは私が倒したのが信じられないのかギルドの奥に入っていってしまった。なにこれ待ってればいいの?私の後ろでは暇でも潰しているのか、うるさい連中が驚いているのが分かる。


 それからしばらく待ってたらエリンさんとメガネかけた男の人が出てきた。薄目で開いてるのか閉じてるのかわからない目が気持ち悪い。


  「初めまして僕はルンベル、一応ギルマスをやらせてもらってます」


 ギルマスキター!やっぱり大物か。


「これですか⋯⋯失礼ですがミヤビさんの武器はなんですか?」

「斧ですけど?」

「見させてもらっても?」


 斧はアイテムボックスに閉まっている。ここでそれを出してもいいのか気になる。まぁいいか。


「わかりました」


 アイテムボックスから斧を取り出す。周りから見れば虚空に斧の柄が出てきてる様に見えてるはずだ。それを抜き出す。


 ギルマスは武器を見て目を見開いた。


「これが⋯⋯確かにこの斧なら倒せるでしょう、切断も可能ですし、わかりました。今回の依頼をもってあなたのランクをDに上げます、あなたならいきなり上げてしまっても問題ないでしょう」


 なんか知らないけどいきなりランクDに上がってしまった。それを聞いてた後ろの観客達がどよめく、そのうちの1人が出てきた。


「おい、こんなビギナーがいきなりDだとふざけんな!俺はまだEなんだぞそれをこのアマは越えるってのかよ!」


 うわっ、いつか絡まれると思ってたけどこのタイミングか⋯⋯


「ミヤビさんの実力なら大丈夫だと判断したので、グルシスさんよりは期待できます」


 え、ギルマス随分煽ってるけど大丈夫?


「そこまで気になるのからギルド裏の広場で決闘でもしてください、もちろんランクアップポイントは付きますよ」


 ちょっといきなり何いってんの?私の了承なしで話を進めないで!


「いいだろう!それなら決闘で決めてやるよ」

「じゃあ裏庭に⋯⋯」


 わたしは空気だ。もう諦めた、決闘を早く終わらせて帰ろう。

 

 ギルド裏に集まって決闘の準備が始まった。

 ルールは相手をダウンさせるか、降参させるかどちらか、殺しはダメ。魔法はありらしい。

 ギルド内にいた暇な冒険者達もほとんど見に来たようだ。

 私とグルシスとかいう冒険者は裏庭の真ん中に立ち試合開始を待つ。


「それではこれよりミヤビVSグルシスの決闘を始める⋯⋯始め!」


 最初に動いたのはグルシスだ。グルシスの武器は鍵爪みたいなやつだ。足は結構早くすぐに私の前に現れた。そのまま鍵爪を横に振り縦に振りと交互に攻撃を繰り返してくる。私はそれをバックステップで全て避ける。

 それから距離を開け私は腰の後ろからナイフを取り出し投げる。それと同時に走り出してナイフと並走して相手に向かう。相手が武器と私を同時に弾くため右と左をそれぞれの飛んでくる位置に振る。

 そのナイフを途中で持ちさらに加速してナイフをグルシスの首元に突きつける。


「こ、降参だ」

「勝者、ミヤビ!」


 ナイフをしまってギルド内に戻る。


「ミヤビさんごめんね、これで君はDランクだ。それと決闘ポイントは+1しとくね」

「ありがとう」


今日はやることがないのでネフル君に報酬を分けて解散にしよう。


「ネフル君、今日の分け前ね、またどこかで縁があったらよろしくね」

「はい、ありがとうございます」


ミヤビは分け前分配が終わりギルドをでる。

金はあるし今日は別の宿を探すかな。そんなことを思い夕焼けの空の下を歩き出す。





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