メイドさんと力の塔6
次の階層に進んだ私とレイナミナは迷子になっている。
いや迷子じゃないと思う。次の階層は迷路だったのだ。
迷路といえば壁を破壊するとか壁の上を歩くとか思いつくがなんとこの壁天井まで伸びていて登るということが出来ない。
破壊は傷一つつかなかった。
そんな訳で真面目に迷路を攻略していたのだが、今私たちは入口にすら戻れずにいた。
「もー!なんなの!」
「これはキツいな、入口にすら戻れないと帰ることも出来んのじゃ」
こんな迷路の中で迷子になったら最後、普通の人達は食料が足りずにそのまま力尽きてしまう。
「レイナミナは食料どれくらいある?」
「妾はあと2日分くらいじゃな」
「私はあと1週間分はあるけど2人で分けても3日伸びるくらいかな」
水は魔法で作れるからいいとしても食料に関してはどうしようもない。ここに進むまでモンスターに遭遇してないから迷路内にはいないのかもしれない。
止まってても進まないことはハッキリしているからひたすら進む。
何回か行き止まりにぶつかった所でレイナミナが言った。
「なにか目安になるものでも置けばどうじゃ?」
はっ!
レイナミナので気づいた。そうだそれだ。行き止まりや通った道が分かれば攻略できる!
ミヤビはレイナミナに言われなければずっと出られなかったかもしれない。ミヤビはこの世界に来てから考えるより攻撃という脳筋思考になってしまったらしい。
「よし、パンをちぎりながら置いていく!」
「貴重な食料をこんな所で使っていいのか?」
「じゃあお金?」
「ダンジョン内では確かに要らないものじゃが流石にダメじゃろ」
「ならパンだね!」
「好きにせい」
ミヤビはパンをちぎりながら進んでいく。行き止まりにぶつかり前の道に戻る。
だが曲がり角を曲がって戻った所から先────パンが無くなってた。
「目印がーっ!!」
残念なことにパンを無駄に消費しただけで何の成果もなかった。
ミヤビはそれに対して落ち込んでいたが一方でレイナミナはその現象について考えていた。このパーティーではもうレイナミナが参謀的な役割を担っていた。
「仕方ない、次はお金にしてみよう」
ミヤビがそう言って今度はお金を置きながら進んでいく。
今度も行き止まりにぶつかった。そしてまた元の道に戻る。そしたら今度はお金が消えていた。
「なんなんだぁー!!」
今度はお金が消えていた。レイナミナは途中で何回か振り返ってお金があるか見ながら付いて行ったので曲がり角を曲がるまではあった。つまり角を曲がった後何かが起きてるということだ。
「今度は角に行ったら少し止まって戻ってみない?」
「え?わかった」
流石に目印が役に立たない状態じゃ仕方ないのでレイナミナの案を試す。
少し進み角を曲がる。そこで止まって振り返った。
そこにはなんとカボチャの頭から手足が生えたモンスターがお金を拾って肩にかけてある袋に入れている。
「あーっ!」
「【水刃】」
レイナミナがすぐに飛び出てそのモンスターを倒す。
そうすると壁が変化して一本道が出来る。
「どうやらさっきの奴が変化させていたみたいじゃな」
ミヤビが1人だったら気づくことは無かっただろう。レイナミナがいてくれたおかげだ。
「ありがとう!レイナミナのお陰!」
「気にするな」
レイナミナはミヤビの頭を撫で一本道を進んでいく。レイナミナに撫でられポカーンとしていたがすぐに笑顔になりミヤビはその後ろについて行く。




