メイドさんと力の塔4
体の痛みにより意識を取り戻す。
場所はさっきのボス前の広場だ。
自分の傷の具合を確かめていると隣から声が聞こえてきた。
「目覚めたか、自己紹介をしとこう、妾はレイナミナ、もう見えてしまってると思うが妾は竜人だ」
竜人か。まさかこんな所で会えるとは思わなかったよ。
「私はミヤビ、よろしくお願いします」
「そう言えばお前さんは何かそれなりに強い思いを抱いていたな、何だったか?」
「後悔したくないから力をつけるためかな?」
「何があった?いや⋯⋯話したくないなら話さなくていいただの興味だ」
「じゃあ答えますよ」
私はレイナミナにここまでの経緯を説明する。
レイナミナはそれを頷きながら聞いていた。
「なるほど、ミヤビも大変だな、どれせっかくこんなに強い人間に出会えたのだ。お前の旅についてってやろう」
「え?レイナミナ⋯さんにも目的があったんじゃないの?」
「⋯⋯もう呼び捨てでよい。目的は確かにあったが、別に一緒に登ってもよかろう?妾は力を付けたくて登ってただけだ。ミヤビに付いてっても面白そうじゃし」
「じゃあ一緒に行こうか」
「よろしく頼む」
こうして私は竜人レイナミナを新たな仲間に加えた。
ジェネリウス王国までまだまだ遠いけど度の仲間が増えたの嬉しいものだ。
「それじゃあ登り始めましょうか」
「そうだな、行こうか」
体が良くなってきたので立ち上がり体を伸ばす。ここのボスはレイナミナでも楽には勝てない。ここから先のボスは一筋縄では行かないかもしれない。それなら強くなれる。私には強くなる必要があるから。
ミヤビは両開き扉を押して開ける。
中に入ると扉が閉まり敵が姿を見せる。
スケルトン・ソードマスター
ソードマスター⋯⋯剣聖に相応しい着流しを来ている。腰には一本の剣が差してある。
スケルトンだがまとう雰囲気が普通のスケルトンではない。
そしてやはりほかのボスとは明らかに違う。こいつには技術がある。ソードマスターなんて言うものが付いているのだ、剣の腕は高いだろう。
スケルトン・ソードマスターは剣を抜き、走り込んできた。
ミヤビはすぐさま斧を振りかぶる。
「ミヤビ、それはダメ!」
レイナミナが忠告を出す。だが1歩遅かった。スケルトンの速度急激に上がり振り上げた状態、つまり胴ががら空きだ。そこを切り裂かれる。
幸い私のメイド服はレイナミナの攻撃を凌いでいた。だからスケルトンの攻撃は私に重症を負わせることは出来なかった。これが刺突だったら全く違う結果になっただろう。
スケルトンはミヤビではなくレイナミナに方向転換した。レイナミナは落ち着いて来た攻撃に合わせて迎撃していた。
剣と剣のぶつかり合い。負けることは無いが押し切ることも出来ない。そんな強さを持ったスケルトンに私達は苦戦する。
「レイナミナはどうやって倒したの?」
「【水の世界】でゴリ押し」
「だからここで止まってたんだ」
「そういうこと」
ゴリ押しなら倒せる。それは当たり前だ。でもそれじゃあどこかで限界が来る。だったら普通に勝てるまで強くなる努力をした方がいい。
ミヤビは新たなスキルを覚えることにする。思い出せ。私が持ってた斧スキルを、この状況を打開できるスキルを!
そして思い出したスキル。
ミヤビは肩幅に足を広げた所に斧左右に振るう。地面に出来た傷。そして真正面に魔力の込めた一撃を振り下ろす。
魔力は傷つけた地面に伸びそこから浮き出てくる。
それがスケルトンに飛んでいく。
【トライデントアックス】
3つの魔力刃が飛んでいく。それをスケルトンは跳ね返そうとするが攻撃が全て通る。これは貫通攻撃。防御しても跳ね返そうとしても無意味に終わる。
1度使えば後は体が思い出す。【トライデントアックス】を連発して無事にスケルトン・ソードマスターを倒した。




