メイドさんと力の塔3
「じゃあ、行くよ!」
「来るがいい」
斧を取り出して振りかぶりながら突進する。
そいつはそれを後ろに下がり避ける。
避けたところに斧が振り下ろされ地面が壊れる。
「ほう、凄いな」
私はそのまま斧を横に振る。振り下ろし振り上げと連続で攻撃をする。
そいつは全て避ける。
カウンターでパンチをしてくる。
思わず攻撃で避けきれず攻撃を受ける。
攻撃が重く腕でガードしたが吹き飛ばされた。
「【ヒーリング】」
腕を回復魔法で治しながらどうするか考える。
あいつは普通に強い。
対人に慣れている。カウンターまで使われるとは思わなかった。
やっぱり技術があり知恵があるからその分動きが読みづらい。
「強いね、久しぶりだ、妾の攻撃を受けてその程度なのはもう少し本気で行くよ?」
背中から1本の剣を取り出す。
その武器は随分綺麗な形をしている。
意識が剣に持ってかれる。
「行くぞ、【アクアティア】」
剣に水が纒わり付く。
その剣の周辺には水球が浮かんでいる。
その剣を持ち今度はそいつが攻撃してくる。
それを斧で受け止める。でも斧の方が取り回しが悪く剣の方がいい。
剣の軌道上に置いても途中で攻撃が変わり傷を受ける。
剣で切られれば場合によっては重症だ。私も袈裟斬りにされている。それでも傷程度で済むのはこのメイド服のおかげだろう。
「そのメイド服固くない?」
「私の一張羅ですから」
「汚!」
「汚くない!」
【アースインパクト】を使いながら否定する。
これでも自動修復や清潔になる効果が付与されている。
汚いなんてことは無い。
「このままやってても埒が明かないな、奥の手を見せてやろう」
アクアティアに魔力が集まる。剣に魔力が見える程纒わり付いているアクアティアを地面に突刺す。突き刺したところから水が湧き出てくる。
その水が地面1面を全て水で埋まった時、足元に激痛が走った。
足元を見れば水の剣が足を刺している。それに動揺している間に周りには水の剣が複数出てくる。
「これが奥の手だ。【水の剣舞】」
水の剣が舞い踊る。それが私に傷をつけていく。片足には水の剣が刺さりっぱなし。傷から流れる血に自分の下にある水は赤く染まる。
【ヒーリング】で回復するが治らない。傷は塞がるが、刺さった場所は治らない。治したそばから傷が付くから治癒もあまり意味が無い。
「きつい!」
私は切り札を使うことにした。ここに来るまでの間に少しでも強い技を得るために頑張った結果だ。
「【氷の武装】」
諸刃の剣。自分で編み出しといてなんだけどこの技により私は死にかけた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
氷の魔法を自分に使う。ダメージは自分に全部来る代わりに一時的に攻撃を通さない。氷によって腕が増えて攻撃回数が増える。
4本の手を出し1本は聖戦戦斧、残り3本は氷の斧だ。
これは長い間使えない。自分自身にダメージを与えるから長くなれば死んでしまう。速攻で決める。
私が走ったところは凍っていく。そしてそいつに近づき斧4本の非常識な攻撃の嵐をお見舞する。
「はは、なんだいそれは、相性最悪」
そいつは諦めずに攻撃をしてくるが水の剣が当たる瞬間に凍るので意味が無い。
そして私の斧がそいつを捉えた。
4本の斧がそいつを斬る。
私はすぐに武装を解いた。そしてそのまま倒れ込む。そいつも私の横に倒れ込む。
お互いギリギリ生きている。でも回復してくれる奴はいない。
私は何とか自分に【ヒーリング】をかけてそいつにもかけてやる。
これで一命は取り留めた。私の意識はそこで途絶えた。




