表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編:あずきバー殺人事件

作者: 裏技君

「おい!ミュージシャンになるのが僕の夢だったコトで有名な田中太郎が殺されてるぞ!」

飛んで日に入る夏の虫中学校2-4組の教室に、そんな怒号が響き渡った。何事だろう。

私は丁度隣のクラスで自習をしていた。サボりとも言う。

クラス合同の体育の時間に、教室にいるのは私くらいだろうと思っていたら、どうやらそうではないらしい。

廊下が騒がしいが、私は無視して昼寝・・・じゃなかった。自習を続けることにした。

すぐ後にクラスのみんなが帰ってきたので自習時間は終わりを告げた。


「隣のクラスのミュージシャン田中が殺された。これは一大事です。」

体育のボブ井先生が神妙な面持ちでそう呟いた。

隣のクラスの田中、みんなのアイドルミュージシャン田中。ソイツが殺された。

コトの経緯はこうだ。今日の昼の給食に、みんな大好きあずきバーのアイスが出てきた。

しかし、何かの手違いで、給食のフタを開けてみると、アイスが一本しか入っていなかったのだ。

クラスの中ではモメにもめて、結局即興でのジャンケン大会が繰り広げられたのだ。

優勝したのは田中で、一人むしゃむしゃとアイスを食べたそうだ。

その結果、アイスの摂取による腹痛で、一人地面に転がっていたらしい。

クラスのみんなはアイスの恨みで誰も手を貸さず、そのまま体育に出てしまったそうだ。


そう、この事件の顛末は―


―クラス全員によって田中が殺されたのだ―


事件はあっけなく終了し、私はまた机に突っ伏した。誰もこの時間を妨害するなんてことはないだろう。

ほどよく放課後になり、私は帰路についた。

夜、自室から空を眺めていると、綺麗な流れ星が瞬いていた。

田中、良い奴だったぜ―

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ