戦闘開始~永遠と終焉、天と地と紅~
~永琳Side~
私たちの前には死神、小野塚小町が立っている。
「アタイの相手はあんたたちかい?やだね~・・・遠距離攻撃するやつばっかりじゃないかい」
「あら、そのために私たちが来たのよ?それに、死神を相手にするには不死じゃないとね?」
「あの、私不死じゃないんですけど・・・」
「大丈夫よ、どうせ死にはしないわ。こいつが本当に誰かを殺すなんて思わないもの」
「そ、それはそうかもですけど~」
「全然大丈夫じゃなさそうだけど、本当にいいのかい?」
「はぁ・・・うどんげ、そろそろ覚悟決めなさい」
「で、でも・・・」
「あぁもう!!大丈夫だって言ってんでしょ!!こいつは天性のめんどくさがりなのよ!!だからこんな時だって・・・」
「だって・・・なんだい?」
「っ!!」
「姫様!!」
話の最中に小町が鎌を投げ、それが突如姫様の左肩に突き刺さる。くっ!距離を操る能力で一気に飛ばしたのね・・・!
「アンタたち、アタイが今は敵だってことを忘れてないかい?呑気に話してると、今度は頭が吹き飛ぶよ」
「な、何よこのくらい!!っ・・・!こんなもの、すぐにリザレクションで!」
「使えるのなら・・・ね?」
「え・・・な、なんで・・・身体が再生しない・・・!」
「姫様!?ど、どういうことなのよ!?」
「アタイは死神だよ?殺そうと思えば誰だって殺せる。人間だろうと、妖怪だろうと、幽霊だろうと、もちろん・・・不死の薬を飲んだやつだろうとね」
「油断した・・・まさかこんな力を持ってるだなんてね・・・」
「ひ、姫様・・・!小町さん!もう止めましょう!!こんなことするなんて、おかしいですよ!」
「そうかい?アタイはそうは思わないね。それに、さっきもアイツが言ってたじゃないか。止めたければ・・・」
「力づくで、行かせてもらうわよ!」
「おっと!怖いねぇ」
隙を突いて放った矢も、さっき姫様が投げ捨てた鎌がいつの間にか小町の手元に戻っており、それに弾かれた。でも、ここまでは計算どおり・・・頼みましたよ、姫様!
「神宝『ブリリアントドラゴンバレッタ』!」
目線による合図も何もなく、姫様からスペカが放たれる。この波状攻撃なら・・・!
「これは綺麗な弾幕だねぇ・・・アンタ達にも見せてあげるよ、後ろを向いてみな」
「何を・・・」
「姫様!!お師匠様!!後ろです!!逃げて!!」
「「!!??」」
な!?なんで姫様の弾幕が私たちの後ろに!?まさか・・・!!
「距離を近づけることだけが能力じゃない。アタイの能力は『距離を操る程度の能力』だよ?」
「くっ!!」
「キャッ!!」
「うどんげ!!そこを左よ!!」
「は、はい!!」
「流石、自分たちの使うスペカだけあって、よくかわし方とかを知ってるねぇ」
この弾幕は法則性がある。その通りに動きさえすれば。
「でも、いいのかい?敵であるアタイに背を向けたままで」
「っ!!」
直後、背後で小町の声が聞こえた。
「まずは・・・一人だよ・・・」
「お師匠様!!!!!」
~さとりSide~
今、私たちは勇儀と相対している。地霊殿のメンバー、そして・・・あの場にいた天子さんも・・・
「本当に来るとは思わなかったぜ?さとり。それに・・・」
「ハッ!この私が!アンタみたいなのにびびらされて逃げたなんてあったら、天人として示しがつかないのよ!」
「アタシは言ったよな・・・?戦いの時になれば殺すかもしれない。次は無いって・・・今ならまだ見かけなかったことにしてやるぜ?」
「ふん、ごたくはいいのよ。アンタこそびびってんじゃないの?そりゃそうよね、地底の妖怪ごときが、この天人の領主の娘である私に勝てるわけが無いもの」
「今ので2回目だ。覚悟はしてきたってことだな」
「勇儀・・・」
本気・・・なのね・・・本気で私たちを倒そうと・・・天子さんに対してはここまで・・・
「さとり様・・・やっぱり・・・」
「大丈夫よ、お燐・・・私は勇儀を止めに来たんですもの・・・」
「止める?甘いわね、殺すつもりで行かなきゃ無理よ、あんなやつ」
「パルスィ!!貴女何を!!」
「そうだパルスィ、それでいい。さとり、お前の覚悟はそんなもんだったのか?そんなつもりで来てるなら」
突如、勇儀の姿がブレて消える。ど、どこに・・・っ!!
「こいし!!!」
「え?」
「遅い!」
鈍い音が響いたと思うと、こいしがいた場所には勇儀が腕を振った体勢で立っていて、こいしは遠くに吹き飛ばされていた。
「お前もすぐにこうなるぞ?」
「こいし様!!」
「ちっ!いきなりこいしを狙ってくるとはね・・・やってくれるわね、勇儀」
「こいしの弾幕は厄介だからな・・・さて、妹を吹っ飛ばされたお姉ちゃんは、そろそろ本気になれたか?まだなら今度は・・・」
「待ちなさい・・・勇儀」
自分でもどこからこんな冷たい声が出たのかわからない・・・でも、勇儀・・・貴女はやってはいけないことをした・・・。
「なんだ・・・そんな顔も出来るんじゃないか」
「さ、さとり様・・・?」
「ふん、怖気づいて動けないならいらなかったけど、少しはマシそうじゃないの」
「勇儀、貴女を止めます。そのためなら貴女を傷つけることになろうと、私は一切躊躇はしません。そして、こいしに謝罪をしてもらいます」
「出来るか?優しい優しいさとり様に」
「やらなきゃいけないんです。それが、姉としての務め・・・私の愛する妹を傷つけた貴女を、私はすぐには許せそうにありませんよ」
「そうこなくっちゃな。さぁ、いつまでもくっちゃべってたって仕方ない。さっさとやろうじゃないか」
「えぇ。ですがその前に・・・」
さっきの声・・・まったく・・・お人よしなんですから・・・
「お燐、パルスィ。彼方たちは別の場所の応援に向かいなさい」
「ほう・・・?」
「な、何言ってんのよ!!こいつがどれだけの奴か!!地底の主であるアンタが知らないはず無いでしょ!?」
「そ、そうですよさとり様!ここは皆で・・・」
「何よ、ハッキリ言ってあげればいいじゃない。足手まといだって」
「「なっ!!」」
「別に、そういうわけでは無いですよ。天子さん、誤解を招く言い方は止めてくださいよ」
「あら?私は本当にそう思ってるわよ?」
「じゃ、じゃあなんで!!」
「いいから、言うとおりにしなさい。勇儀だっていつまでも待っててくれるわけじゃないのよ?」
「そうだな。いい加減待ちくたびれてる。5秒やる。行くなら行きな。止めないよ」
「さぁ!早く!」
「くっ・・・これでしくじったら許さないわよ!」
「さとり様、お気をつけを!!」
ようやく行きましたか・・・。まったく・・・私のことをそんなに信頼出来ないのかしら・・・。
「さて、そろそろ本当に始めようか。さとりは少し痛い目見てもらうくらいだが、天人・・・お前はただで済むとは思うなよ?」
「はん!御託はいいからかかってらっしゃい!地底に住む妖怪と天人の差・・・嫌ってほど分からせてあげるから!」
「いいぜ、見せてもらおうじゃねぇか・・・まずはコイツを防げたらなぁ!!」
瞬間、また勇儀の身体がブレたかと思えば姿が消える。狙いは天子さんだと分かっても、どこから攻撃が来るのか分からない・・・でも・・・
「っ!後ろ!?」
「遅い!!」
天子さんの後ろに突如現れた勇儀。そのまま天子さんの防御も間に合わず、一気に拳が振られる・・・
「えっ?」
「なるほど・・・お燐やパルスィを行かせたのはこのためか・・・面白いじゃないか」
「貴女のご主人様からすでに連絡はいただいてます。お待ちしておりましたよ」
天子さんにその拳が当たる直前、一迅の風と共に現れた人物がその拳を受け止める。本当に、いいタイミングですね・・・。緑のチャイナドレスをはためかせ、その女性は名乗りをあげた。
「紅魔館が門番、紅美鈴!我が主の命により、星熊勇儀、貴女を倒します!」