閉じぬ瞳に映るモノ～覚悟と意地、本気と本気～
～さとりSide～
なんで！？どうして急に声が聞こえなく・・・！！まさか・・・今になって私の能力を！？考えてなかったわけじゃない・・・でも、まさかこのタイミングでなんて・・・！
「どうしました？さとりさん」
「能力を・・・奪われました・・・」
「ええ！？それってかなりまずいじゃないの！！」
「勇儀との戦闘もですが、あの男の実力、完全に未知数です。そんな相手に私の能力が使われるとなると、かなり危険です」
「あ～らら、これでさとりは戦えないわけだな。せっかく面白くなりそうだったのに・・・残念だねぇ・・・」
「おや、さとりさんの能力無しでは、私とは戦ってくれませんか？」
「さとりの分まで、私たちは戦ってやるってのに、もう勝ち宣言かしら？甘く見られたものね」
「おっと、悪い悪い・・・そんなつもりは無かったんだ。ただ、さとりとも戦いたかったなって思ってたからな。それが残念なんだよ」
勇儀・・・心が読めなくたって分かる。勇儀は・・・彼女だけは、そんな嘘は付かない・・・。だからこそ、歯がゆくて仕方が無い・・・！能力が使えないだけで、何も戦えないこの私自身が・・・！彼女の期待に応えられないことが・・・！
「さぁ、少し予定外ではあるが、そろそろ再開しようかい」
「えぇ、いつでも大丈夫ですからね」
「天人の力、見せてやるわよ！」
「あぁ・・・楽しませてもらうよ！！！」
「お二人とも！お気をつけて！！」
「「はい！（ええ！）」」
そして、2対1の戦闘が始まった。先手は勇儀。小手調べにと、足元にある拳より小さい程度の石を蹴り飛ばす。美鈴さんと天子さんはそれを軽々と避け、その直後に美鈴さんに迫ってきた勇儀の拳に向けて、美鈴さんが肘を突き出す。勇儀はそれに対して拳を止め、その場でしゃがんで足払いをかける。美鈴さんはそれを跳んでかわし、しゃがんだ勇儀に向けて、天子さんが上段から剣を振り下ろす。今度は避けずに手首の枷で受け止め、止まった剣の腹を掌底で打つ。
「ちょっ！！」
「隙あり！！」
「させませんよ！！！！」
「うおっ！っと・・・へぇ・・・急造にしちゃあいい連携だねぇ」
「そう言いながら、軽々としのぐどころか押してきてるアンタが言えたセリフじゃないわよ！」
「それでこそ、鬼の四天王です。倒しがいがありますよ！」
「いいねいいね！！それでこそだよ！！さぁ！もっと掛かってきな！！」
「「言われなくても！！」」
体勢を崩した天子さんに向け、勇儀がしゃがんだ前傾姿勢のまま頭突きの体勢を取る。でも、あと少しというところで、美鈴さんのかかと落としが割って入り、勇儀はそのままバク転で下がり、体勢を整える。そのまま向き合いお互いに距離を測りあう。数秒の睨み合いが続き、その距離が5メートルを切った頃合で一人が動いた。
「近接だけじゃないのよ！！」
「おっと！もちろん分かってるさ。こっちから追撃が来ることも・・・な！！」
「流石の反応ですね。まるで隙が無いじゃないですか」
「そりゃあかなり本気近くで戦ってるからな。普段は違うけど、お前たちにはそれだけの価値があると思ったんだ。今さらがっかりさせてくれるんじゃないよ？」
「アンタこそ！余裕ぶっこいてせいぜい足元すくわれないようにね！！」
「おお、怖い怖い。その意気で来て貰わないとな」
「その余裕・・・すぐに崩します！！」
「やってみな！！」
天子さんが剣を振り、その先から弾幕が放たれる。奇襲にも関わらず勇儀は軽々とそれを避け、その死角からの美鈴さん回し蹴りも腕で受け止めて見せる。問答をしながらも戦況はドンドン動き、勇儀は天子さんの剣を避け、美鈴さんの攻撃も受け止め、要所でカウンターを狙う。もちろん美鈴さんと天子さんも二人で協力しそれを上手くかわし、受け、庇い合っている。そんな平行線の戦いが3分は経った頃、美鈴さんに異変が起きた。
「そぉら！」
「美鈴！左よ！！」
「はい！！ぐっ・・・！！」
「美鈴！！！」
「美鈴さん！！」
「なぁに、このくらい・・・全然平気ですよ・・・」
「ちょ！！何言ってるのよ！！左腕が明らかにおかしい色してるわよ！！」
「鬼であるアタシの攻撃をここまで受けて来たんだ・・・よく持った方だよ。でも、これ以上は無理だな」
「何言ってるんですか。まだまだ片腕が潰れただけですよ・・・このくらいでは・・・」
「右足も、そろそろ限界だろ」
「なっ！？美鈴さん！そうなんですか！？」
「あはは・・・何を根拠にそんな・・・」
「アンタが足で攻撃する時、こっちはガードしながら少しずつダメージを与えてた。その様子じゃあ後一回の蹴りでアウトってところだろうな」
「アンタ！！！なんでそんな無茶なこと！！！」
「えへへ・・・さっき自分で恐怖心を消しちゃいましたからね・・・身体が壊れるのが怖くないんですよ・・・ただただ、勇儀さんと戦うのが楽しいと、勝ちたいと、そんな感情ばっかりなんです」
「アンタ・・・」
「美鈴さん・・・」
気付かなかった・・・ここまでボロボロになっていたことも・・・恐怖心を消すというのがどれ程恐ろしいことなのかも・・・ずっと笑顔で戦っていた美鈴さんに甘えていたんだ・・・。自分は動けないから仕方ない。能力が消えたから仕方ない。そんな言い訳ばっかりで・・・こんなにも勇敢に戦う人を・・・もう少しで見殺しにしてしまうところだった・・・。今・・・私に出来ることは何？ただ見てることしか出来ない？違う。応援してあげること？違う。もう無理だと止めること？違う！！今の私が出来ること・・・私のすべきこと・・・そんなの簡単じゃない！！
「さぁ・・・続きをしましょう。私はまだ戦えます！」
「いいんだな・・・？下手をすればただじゃすまないよ？」
「もう止めなさいよ！！後は私がやってやるわ！！」
「お嬢様は、私に『勇儀を倒して来い』と命令されました・・・。ならば、私の取るべき行動は一つだけです」
「でも！！」
「天子さん、美鈴さんは言っても止まらないでしょう」
「だからって！！これ以上は危険すぎるわよ！！私がカバーしても、二人じゃ限度が・・・」
「三人で、ならどうですか？」
「え？もしかして、アンタも戦うっての？」
「はい。これ以上、お二人が苦しむのを見てるだけなんて、耐えられそうにありません」
「さとりさん、下がってください。貴女の身体能力では追いつけません」
「下がりません。もう、ただ見てるだけなんて嫌です」
「だからって！！アンタどうやって戦うってのよ！それに！コイツはアンタの仲間なんでしょ！？それを・・・」
「さとり・・・本気なんだな・・・？」
「えぇ、ここからは私も参加します。いいですね、勇儀？」
「もちろんだ。何人でも掛かって来い」
「何勝手に決めてんのよ！！」
「確かに私は身体能力では勇儀には何も出来ないかもしれません。それでも私には弾幕がある。普段は相手のトラウマとなる弾幕を見せてますが、私にだってオリジナルの弾幕があります」
「・・・まかせても、いいんですね？」
「美鈴！！！アンタまで何言い出すのよ！！アンタら二人は下がってなさいよ！！後は私がやるって・・・」
「「いやです！！！」」
もう決めたこと。あんなにボロボロになっても戦おうとする美鈴さん・・・そしてそれを助けようと一人でも戦おうとする天子さん・・・この二人のために私が出来ること・・・それは、私も一緒に戦うこと！二人の言うとおり、私は邪魔になってしまうのかもしれない・・・それでも、このままは嫌。このまま見てるだけだったら、私は一生後悔するだろうから・・・だから・・・！
「勇儀！！貴女を倒します！！」
「さぁ！今度こそ続きです！！」
「あぁもう！！どうなっても知らないからね！！さとりはしっかり戦況を見て行動しなさい！美鈴は無理そうになったらすぐに下がりなさい！！」
「「はい！！」」
「ふふ・・・いいチームじゃないか・・・それでこそ・・・倒し甲斐があるってもんだ！！さぁ！！かかってきな！！」
「言われなくても！覚醒『閉じぬ瞳の終着点』！！」
私が生み出した唯一に近い完全にオリジナルのスペカ。今までの『想起』のスペカと違い、他の人の弾幕をそのままコピーするのではなく、かつて見てきたたくさんのスペカの一部ずつを組み合わせ、波状攻撃を行う耐久型のスペカ。これなら少しは動きを制限出来るはず・・・もちろん隙を見つければ通常の弾幕も打ち込む。後は前衛の二人に合わせる・・・！
「へっ！これがお前の想起以外のスペカか！！いいぜ！！全部避けきってやるよ！」
「アタシ達がいることも！」
「忘れないでくださいね！」
「安心しなよ！忘れてって言われたって忘れてやんねぇから、覚悟しときな！」
「それは光栄です・・・ね！！」
「余裕そうにしてんじゃないわ・・・よ！！」
「うおっと・・・！へへっ、そうこないとねぇ！！」
閉じぬ瞳の終着点の弾幕が様々形へと姿を変えながら勇儀を狙う。もちろん勇儀も簡単には当たらない。さらにはその合間を縫っての前衛二人の攻撃をも凌いでいる。やっぱり勇儀は強い・・・。美鈴さんの事を考えれば長期戦は避けたいけど、決定打が足りない・・・。ただ弾幕を増やすだけじゃあ意味が無い・・・どうすれば・・・。
「さぁどうする！もうすぐこのスペカも切れるんじゃないか？」
「えぇ・・・もって後2分ってとこかしら」
「ちょ！相手に手の内をばらしてどうすんのよ！」
「どうせごまかしたって時間がくれば分かることです。それよりも、この現状を打破する手段を考えるのが先ですよ」
「そ、そうかもだけど！！」
「おいおい、今は戦闘中なんだ！そう簡単に作戦会議なんてさせると思うか！？」
「ちっ！流石にそう何回も時間をくれたりしないわよね！分かってたわよ！」
「・・・」
「美鈴さん・・・？」
「お二人にお願いがあります」
「何よ！？言っとくけど、自分が犠牲になるから～なんて言ったらぶっ飛ばすわよ！？」
「少し違いますかね・・・後のことをお願いしてもいいですか？」
「それは・・・どういう意味ですか・・・？」
なおも続く激しい攻防の最中、いやに冷静な美鈴さんの声が響く。後のことをお願いするって・・・。
「30秒です・・・」
「？」
「天子さん、さとりさん、30秒だけでいいですから。勇儀さんを足止めしてください。後は、私がやります」
「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ！！アンタはもうボロボロなのよ！？これ以上は本当に！！」
「そうですよ！！何か他に方法を探しますから！！だからこれ以上の無茶は・・・」
「甘えたことを言わないでください！！」
「「っ！？」」
「この人はそんな悠長なことを言ってて勝てる相手なんですか！？もうスペカの時間もわずかで！三人掛かりでもろくなダメージが与えられてない現状！！手段を選んでなんてられません！」
「よく分かってるじゃないか・・・。先に宣言しておく。このスペカの効果が終わり次第、さとりを全力で倒す。そして、美鈴、天子の順に戦闘不能にさせる」
「聞きましたか？もう時間はありません。お願いですから、私の指示に従ってください」
「で、でも・・・！そしたらアンタが！！」
「大丈夫です、別に死んだりするわけじゃありませんよ」
「・・・天子さん、やりましょう」
「アンタまで！！！分かってんの！？もしコイツが失敗したら、アタシ達の勝ち目は完全に０なのよ！？」
「それでも・・・今見える勝ち目は、美鈴さんに賭けるのが一番高いはずです」
「さとりさん・・・」
「・・・あああああああもう！！！！どうなっても知らないわよ！！！？？それに！！まず条件でアタシ達がアイツを30秒も止めなくちゃなんだから！！絶対に失敗は許さないわ！！いいわね！？」
「天子さん・・・はい！もちろんです！！」
「こっちの攻撃を捌きながらよく作戦を立て切ったな。誉めてやるよ。でも、そう安々とその通りにさせると思うか？」
「ハッ！アタシを誰だと思ってるのかしら！？天界に住む天人様よ！！たとえ相手が鬼だろうと、足止めくらい出来なきゃ名が廃るってもんよ！！」
「私のスペカもまだ終わってませんよ！！」
「いいねぇ・・・最高だよ！！さぁ！最後の攻防と行こうか！！」
「お二人とも、お願いしますね！！」
その言葉と共に、美鈴さんは目を閉じる。その直後、勇儀が一気に距離を詰める。もちろんスペカの弾幕も襲うけど、それをものともせずに近づいて来る。そんな勇儀さんに向け、天子さんが前に出て応戦を開始した。残り28秒・・・。
「はぁ！！」
「甘い！！」
「それはこっちのセリフよ！！」
「なっ！？」
走り寄る勇儀に向け剣を薙ぐ天子さん。もちろんこれを察知していた勇儀もそれを腕の枷で受ける・・・が、その枷が甲高い音を立てて砕け散った。残り26秒。
「アタシの枷を壊すとはね！」
「あんだけ何度も受けてて、ダメージが無いわけ無いでしょ！」
「そりゃそうだ・・・な！！」
「まだまだ！！」
「ちっ！急に太刀筋が鋭く・・・！」
驚く勇儀に対し、天子さんが連撃を仕掛ける。袈裟切り、横一文字、下段突き、切り上げ・・・さっきまでと明らかに違う・・・まるで達人のように流れるような剣戟を振るう。残り22秒・・・。
「さっきまでのは手加減だったってことかい！」
「違うわよ！なんでか知らないけど！勝手に動いてくれんのよ！」
「ってことは・・・あの庭師の『剣術を扱う程度の能力』か！こんなタイミングで開花するとはねぇ！」
「美鈴に合わせてたから出なかったのね！今は好都合よ！」
勇儀が攻めあぐね、天子さんが攻撃を続ける。このままの流れなら・・・後15秒！！
「はぁぁ！！」
「ぐっ！！捕まえたぜ！！」
「なっ！？剣が！！？」
天子さんの振った剣が勇儀を捕らえた・・・と思いきや、自らの掌でその剣を止め、それを握って動きを封じてしまった。このままじゃ・・・！させない！！後12秒！！
「まだ私のスペカは終わってないですよ！！」
「分かってるよそんなこと！！ハッ！！」
「ガッ！？」
「さぁ、形勢逆転だ！！」
「さとり！！」
勇儀はスペカの弾幕を身体をずらしてかわし、そのまま天子さんを蹴り飛ばす。吹き飛んだ衝撃で剣は離れ、勇儀はそのままこちらに向かってくる・・・！お願い！間に合って！！後7秒！
「悪く思うなよさとり！」
「今！！」
「っ！？この位置に弾幕！？」
「私のスペカを侮りましたね！！」
「やってくれるじゃないか・・・」
勇儀が目の前に迫った直後、私の声を合図に勇儀の四方に一気に弾幕が現れる。突然の弾幕に対処できず、数発受けながら距離を取る勇儀。これが私のスペカの最後の攻撃。敵の動きにあわせて姿を変え、敵の行動を読み、先の先に罠を張る。全ては最後の攻撃へとたどり着かせるためにある。だからこそ『閉じぬ瞳の終着点』という名前なのだから。さぁ・・・後は任せましたよ。
「お二人とも、ありがとうございました。もう大丈夫です」
「ちっ・・・まんまと足止めされちまったねぇ・・・」
「遅いのよ・・・この馬鹿」
「すみません。何分慣れない能力を使ったもので」
「今度は何を破壊したんですか・・・？」
「それは見てのお楽しみですよ。さぁ、勇儀さん・・・これが本当に最後です」
「いい顔だ・・・絶対に負けないって自信と、絶対に倒すっつう覚悟の混ざった・・・迷いの無い顔をしてる・・・。でもなぁ・・・アタシだって、負けるわけにはいかないねぇ！！！」
「行きます！！」
「来い！！」
準備を終えた美鈴さんが勇儀に向かって走り寄る。それに対し勇儀は構えを取って迎え撃つ。
「はぁぁ！！」
「アンタ！！もう右足は！！」
「ぐっ・・・弱ってるとは思えない一撃だな・・・だけど・・・これで右足は終わりだ！」
「美鈴さん！」
距離を詰めた美鈴さんはその勢いのまま、今日何度も見た回し蹴りを放つ。勇儀も同じくそれを腕で受け止め、逆の腕でその足に手刀を振る。聞いたことの無いような音と共に、美鈴さんの足があらぬ方向を向く・・・美鈴さん・・・！！
「これで・・・決まりだ！！」
「避けなさい！！」
「勇儀！！もう！！」
「っ！！」
足の折れた美鈴さんは体勢を崩し、そこに勇儀は容赦の無い追い討ちの拳を振るう。ほぼ真正面に打ち出される拳に対し、美鈴さんは身体を少しだけずらし、左腕に拳が直撃する・・・これではもう・・・。そして美鈴さんの身体がその場で一回転する・・・。
「終わりだね」
「はぁぁぁぁぁぁ！！！」
「ごふっ！？な・・・お前・・・なんでまだ・・・！？」
一回転した美鈴さんを見て、ほんの一瞬だけ勇儀に隙が生まれた・・・そのほんの一瞬を、美鈴さんは見逃さなかった。その一回転した勢いのまま、右腕で全力の掌底を放った。それは見事に勇儀に直撃し、勇儀はそのまま倒れた。そして、そこで残りの体力も尽きたのか、美鈴さんも倒れこむ。
「アンタ！？そんな傷でなんで！！！？」
「まさか・・・お前がさっき破壊したのは・・・」
「えぇ・・・推察の通り、痛覚を破壊しました。そして、普段は能力で補っていますが、気を扱うことは元から可能だったってわけです」
「ははは・・・こりゃあまいった・・・鬼であるアタシが・・・たった一撃でダウンとはね・・・しかも、満身創痍の相手にだ・・・」
「普段の私ならまず無理でしたでしょうね・・・。何より、今のも本来なら痛みで動けませんから、この能力じゃないと出来なかったでしょう・・・」
「恐怖心が無くて、痛みも感じない・・・へへっ・・・こりゃあとんでもない相手だな・・・次は・・・負けねぇからな・・・？」
「こっちはもう戦いたくないですよ・・・」
「言ったろ・・・？忘れてって言ったって・・・忘れてやんねぇってな・・・」
「あらら・・・これは・・・しっかり準備しなきゃですね・・・」
「天人サマよお・・・アンタの剣も中々だったぜ・・・能力無しでもそのくらい出来れば、いい勝負するかもな・・・」
「馬鹿言ってんじゃないわよ・・・そんなもん無くったって勝ってやるわよ！！そっちこそ首洗って待ってなさい！！」
「へっ・・・元気なこった・・・。さて・・・さとり・・・」
「勇儀・・・」
「最後の攻撃・・・あれは本当にすごかった・・・本気で来てくれたんだな・・・」
「当たり前でしょ・・・？だって、私たち、仲間じゃないの」
「そ・・・っか・・・。ははっ・・・アタシがこっちに付いた意味なんて・・・はなっから無かったってことか・・・」
「・・・？それってどういう・・・」
「詳しくは、アイツに聞いてみな・・・教えてくれるかもしれねぇぜ・・・アタシは・・・もう寝させてもらうとするよ・・・」
「あはは・・・私も、痛くはなくても身体は限界みたいですね・・・。さっきも言いましたけど・・・後はお願いしますね・・・？」
「無茶しすぎなのよ・・・アンタは・・・。良いわ！アンタの代わりにあの変な男を止めて来てあげるわよ！」
「二人とも、しっかり休んでくださいね？」
「「はいよ（はーい）・・・」
その言葉の後、糸が切れたかのように二人とも眠ってしまった。本当に無茶ばっかりして・・・。でも・・・勇儀が敵に付いた理由・・・私の能力のことも含めて、聞き出さないとですね・・・。
「さぁ、行きましょう天子さん」
「えぇ、アイツをぶっ飛ばしにね」
