反撃開始~チカラの在り処~
諏訪子Side~
「聞こえた・・・?妙な言い方をするねぇ・・・」
「文字通り、いや、言葉通り・・・か?とにかく、その通り聞こえたんだよ」
そんなことがあるわけが・・・
「そんなことあるわけが、か?」
「!?」
「諏訪子?」
いや、今のはまぐれだ・・・最初は誰だってそんな反応をする・・・。さぁ、聞こえるかな?
「いや、今のはまぐれだ、最初は誰だってそんな反応をする。さぁ、聞こえるかな?」
「な・・・!?」
「本当・・・ってわけだね・・・」
「敵の言葉が信用できないのは分かるが、事態をしっかり受け止めないと、取り返しが効かなくなるぞ?」
「さとりの能力か・・・」
「ご明察。あっちはまだ戦ってる最中みたいだが、まぁ敵の事情を考えたって仕方ないからな」
「ずいぶん酷いことをするもんだね」
「少数相手によってたかって攻撃してきたそっちが言えるのか?」
「その少数の方がとんでもない奴ばっかりだからね。こうでもしなきゃ、流石にきついよ」
さて、理由は分かったはいいけど、これは正直かなりヤバイ・・・。あの動きにさとりの能力まで合わさったんじゃ、攻撃を当てるのは相当手こずりそうだ・・・。これはフェイントなんて狙わずに、全部本気で行かなきゃね・・・。
「そんなに深く考えるなよ。どうせやることは変わらないんだ、神様二人と戦うんだ。この位ハンデをもらってもいいだろう?」
「言うじゃないか、先にこっちの能力を封じてるくせにね」
「そうそう。最初っからハンデだらけなんだけど?」
「そう堅いこと言うなよ。神様は懐が深くないとな」
「相手が信者なら、いくらでも深くしてやるんだがね」
「そりゃあ残念だ。ところで、俺の後ろの鉄の輪はどのタイミングで使うんだ?」
「最初からばれてるなら、そっちに指摘されたタイミングでしょ!!」
会話の最中、さっきの鉄の輪を再度アイツに向ける。今度は連携なんか考えずに本気で狙いに行く。一本目、足。二本目、背中。同時に2箇所を狙う。もちろん、神奈子もすでに走り出してる。さぁ、ここからだよ!
「足に背中、食らったらまずいところや避けにくいところばかりを狙う。ほんと恐ろしいな」
「それを軽々避けるアンタが言えた事じゃ無いけどね!!」
「おっと、いくら神様でも女性なんだ、回し蹴りとかは控えた方がいいんじゃないか?」
「見られたアンタの記憶が飛べば何も問題ないんだよ!」
「それは!恐ろしい!な!っと・・・そっちの神様も、ほんと容赦なくなって来たな」
「アンタ相手に容赦?冗談言わないでよ。神様二人を相手取ってここまで出来るやつなんざ数えるくらいしかいないよ」
鉄の輪を避けたところに神奈子が走りこんで回し蹴りを放つも、それを軽く身体を逸らして避ける。そのまま回し蹴りの勢いのまま後ろ回し蹴り、そこから顔に向けての正拳に、それに合わせての肩を狙った鉄の輪。それらの連撃も、全てかわされる。そこに神奈子が思い切りかかと落としを放ちに向かう。
「おっと!そいつは危なそうだな」
「チッ!それなら・・・せぇい!!」
「っ!?やるな・・・今のをその一瞬で考えつくとは・・・」
「まだまだ行くよ!!」
「そう来ないとな」
「私を忘れてもらっても困るよ!」
渾身のかかと落としは空振りに終わったものの、その勢いは凄まじく、地表を砕いた。その威力を悟ったのか、事前に後退して避けたミクスだったけど、神奈子はそのままその衝撃で飛んだ地表の欠片をミクスに向けて蹴り飛ばす。完全に意表を突かれたのか、その欠片はミクスの腕に当たる。大ダメージとは行かなかったけど、当てることは出来た・・・。そうとなれば・・・その場で考えて一気に攻めるのみ!!
「来る行動が分かっても、それに反応できるかどうかが問題だな」
「運動は苦手かい!」
「そうでもないさ、だが、こうまで速いと、な!」
「そう言いながらも反撃とは・・・恐ろしいやつだねぇ・・・」
「避けるだけは怖いんでね・・・っと!後ろから飛ばすのが好きだねぇこっちの神様は」
「神奈子!避けて!!」
「そんな必要は無い・・・よ!」
「ぐっ・・・!やってくれるな・・・」
神奈子とミクスが一進一退の攻防をする中、こちらは隙を見て鉄の輪や弾幕を飛ばすけど、中々当たらない。そして、後ろから狙った鉄の輪を避けられ、逆に直線上にいる神奈子が危険になるけど、神奈子はそれを『坤を操る程度の能力』で鉄の輪と同じ性質を足に集めて、あろうことか避けたミクスに対して蹴り返した。流石に反応出来なかったようだけど、今度は太ももを掠めて行く。致命傷には至らないけど、ドンドン当てられるようになってきた・・・これなら・・・!
「いやはや・・・流石神様だ・・・ここまでやられるなんて初めてかもな・・・」
「神様舐めんじゃないよ。今ならまだ許してやるけど、どうする?」
「まさか。ようやく本気を出せそうだってのに、ここで終わるつもりか?」
「どこまでも冗談が過ぎるね。今までので本気じゃないなんて、冗談にしちゃあ笑えないよ」
「冗談じゃないとしたら、どうする?」
「それを冗談のまま終わらせるだけだよ!!」
まだ奥の手を隠してるのはさっきの会話で分かってる。でも、要はそれを使わせなければそれでいい!このまま押し切れば・・・
「押し切らせると、思ってるのか?」
「なっ!?チィッ!!」
「考え事をするのは勝手だが、俺は別にアンタを狙わないなんて言ってないんだぜ?」
「そうだったね、忘れてたよ」
「諏訪子!今のでへばったりしてないだろうね!」
「馬鹿言わないでよ!こんなんまだまだ平気だよ!」
ほんの一瞬、それこそ瞬きほどの時間考えてると、次の瞬間にはミクスが目の前にいた。驚く間もなく拳が飛んできて、それを腕で受け、逆にこちらはサマーソルトで反撃するも、そのまま距離を空けて避けられる。あんな一瞬でここまで・・・速いなんてもんじゃないよ・・・
「その速さが、アンタの奥の手かな・・・?」
「だったら、どうする?」
「その速さに着いてくだけだよ!」
確かに目では追えなかったけど、それは予想してなかったから、しっかりと捕らえれば、まだ追えるはず・・・。
「諏訪子だけが相手じゃないのを忘れないようにね!」
「もちろん分かってるさ。むしろ、アンタの方が厄介だ。しっかり対応させてもらおう」
「分かってるじゃないか。アンタ見る目はあるね」
「神奈子、それはどういう意味かな?」
「そのままの意味だよ。悔しかったらコイツに攻撃を当ててみな」
「俺に擦り付けるのは止めてもらいたいな」
「そんだけ冗談言ってながらしっかり反撃までしてくる奴なんだ、そんくらいでちょうどいいだろう・・・よ!」
「それもそうだな・・・さて、そろそろしっかりと反撃してもいいか?」
「させないって言ったら、止めてくれるのかな?」
「レディの頼みは断りにくいが、今回は断るしかなさそうだな」
一気に近づいた神奈子を相手に、その場で攻防を繰り返すミクス。さっきの速さを警戒しながらも、こちらから援護を飛ばすけど、それをしっかりとかわしてくる。でも、不思議なのがさっきの速さが攻撃に現れてないこと・・・あれは移動する時だけの早さなのかな・・・?それに、しっかりと反撃って・・・。
「レディに対して拳振っといて、今さらよく言うよ!」
「威力は加減してやる。痺れるのは、加減できんがな」
「何を・・・」
「神奈子!離れて!!」
「遅い」
「ぐぁっ!!な、何をした!!」
「なぁに、奥の手、だよ」
神奈子の振りかぶった拳を、腕で受け止めたミクスが加減はすると言った時、確かにあいつの周りに電気がほとばしったのが見えた・・・。一体どうやって・・・。
「答えは簡単、俺が能力を使ったからだ」
「チッ!コロコロと能力を変えて・・・!」
「まだ軽く身体が痺れるねぇ・・・やってくれるじゃないのさ」
「不思議に思わないか?」
「何がさ」
「俺はさっき、さとりの能力を使ったと言った。そして実際に今、あの子は能力を使えていない、なのに、何故俺が能力を変えられるのか」
「何故って・・・そんなんアンタの能力が『能力を入れ替える程度の能力』だからじゃあ・・・」
「それなら、さとりと入れ替えたはずの俺のその『能力』はどこに行ったんだ?」
「それはさとりに・・・待ちな・・・」
「神奈子・・・?」
「アンタその力を使う前、アタシ達の前で無意識の能力を使ってたね・・・」
「あぁ、そうだな」
待って・・・だったらあの時点で『能力を入れ替える程度の能力』は違う誰かの下に行ってたはずなんじゃ・・・。
「そして、諏訪子の下に一気に移動した。さらに、アタシには電撃を浴びせて見せた・・・しかも、さとりの能力を残したままで・・・だ」
「ちょ、ちょっと待ってよ神奈子!!それじゃあコイツは今4つも能力を持ってるってこと!?」
「アタシの仮説が正しければ・・・ね・・・」
「言ってみな、その仮説」
私だって、ここまで来たらその結論にたどり着くよ・・・。
「アンタの能力は・・・『能力を奪い与える程度の能力』かい?」




