▼旅の途中で色んな物がバグっていました。【Lv1】 ~出発~
「さて、ここで問題。」
「へ?」
ミワさんのアジトで朝食を食べていたら、
暇になったのかいきなりミワさんが切り出した。
「え、いや、あの、何でいきなり」
「だって君これから何処へ行こうとして何をするか、知らないでしょ」
「まあそうですけど…あ、この肉美味しい!」
「ああそれ、この前倒した【キングバニィ】から採れてさ、
やっぱバグみたいで量は変わらなかった。
ガルが調理したから味は最高だよ。それはそうと、クイズに自信はある?」
「せっかく話題そらしたのに…まあ、ありますけど。」
「ようし、じゃあ始めよう」
トンッ、と紙芝居のように取り出したの画用紙には、いつのまにか大きく
『問題!』と書かれていた。準備してたのか。
『Q,このパーティーは全ての種族最強者が登録されています。
今の時点で一つだけ欠けている種族を答えよっ!』
『答えよっ!』なんて地味に可愛いな、と思いながらも手を止めて考える。
【ノーマル】に【電脳族】、【水面族】や出現率も低くA級クエストを
クリアしないと選択できない【オバケ族】まで此処には揃っている。
これだけ品揃えならぬ“種族揃え”が良いと欠けてるものなんて
無いんじゃないかなんて思えてくるけど…
ふいにこのゲームを始めてアクセスした日を思い出す。
『どうしよっかなー、魔法とか使ってみたいんだよなー』
『___【蘇生せよ】___』
「分かったあああああああああああああああああああ!!」
「うわっ?!」
ガタッと立ち上がると同時にミワさんが椅子から転げ落ちる。
「わ、分かった?良かったね、でも答えを理解するたびこうなるのは
出来るだけ避けてもらえないかな…?」
「あ、すみません。別に癖では無いので…。
えと、さっきの問題。答えは【魔族】ですよね?」
ミワさんは転んだ体勢のままニッと笑うと立ち上がり『紙芝居風 画用紙』を
切り替えた。
『正解!』
ホッと胸を撫で下ろす。さっきから段々と、このクイズは自分を試す
“テスト”なんじゃないかと思えてきているのだ。
『Q,じゃあコレは分かるでしょう!
魔族のトップに立つ者は何と呼ばれているでしょーか!』
「簡単!【魔王】っ!!」『大正解!』
よし、調子が出てきたぞ。
ミワさんがニコニコ笑いながら画用紙を後ろへ移す。
『ちなみに魔王がこのゲームの最高責任者で今回の目的人物だよ♪
それでは次の問題!』
「えっちょっと待って大切な事がサラッと出ちゃってる!」
叫ぶも構わず問題が目の前に立ちはだかった。
『Q,カケル君はエルフ族だけど、【エルフ族】のトップは何て呼ばれる?』
「何かもう筆話みたいになってる…えと、確か【精霊王】ですよね?」
『そうそう、それがルフだよ。』
「え?」
隣を見るとニコニコしながら紙を見ているルフさんが居た。
カタン…と椅子を立ち二人との距離を広げる。
「精霊王は引きこもって誰ともお会いにならないって…」
「ああ、それは今みたくパーティー活動していて留守だったから☆」
「精霊王は高貴な方で初対面だと顔をも見せないと…」
「ああ、それ噂。めっちゃ顔面公開だよ俺。」
何か最初から色々情報が入ってきて対応できない。
とりあえず今言うべき事は____
「……ごちそうさまでした。」
「はいよー、じゃあ荷造り手伝ってね~」
紙芝居をしまい立ち上がるミワさんが「そうそう」と思い出したように切り出す。
「全問正解のご褒美は後ほどと言うことで♪お楽しみに~!」
「あ、はは…ハイ……」
とりあえずクイズで分かった事を整理してみよう。
[1,今回の目的人物は魔王。彼はこのゲームの最高責任者である。
(何かもうこの辺りで駄目そう)]
[2,ちなみにエルフ族をまとめる“誰にも会わない”“とても高貴な”
精霊王とは【ルフ】の事である。(こんなの反則だ)]
頭を抱えワナワナ震えていると、ふいに視線の端でキラッと光るものがあった。
「ミワさん、その首から下げている小瓶、何ですか?」
「これ?これはエルフ族の【精守瓶】。中に妖精が入ってんの。」
「妖精?!」
中を見ると、ただポワポワと光る球体があるだけだ。
確か妖精はプレイヤーを回復する力があって、ピンチの時に一度だけ
助けてくれるとか。(その後 消滅する)
「じゃ、じゃあそのチョーカーに付いている赤い石は?」
「【賢者の石】。」
「ワースゴイ。イイナー。」
そんなの人目に晒して良い物なのか。
確か売ったら一生遊んで暮らせる位の値打ちじゃなかったっけ?!
…ああ、でもミワさんの事だから「そうだったの?」で済まされるんだろうな。
ちなみに紙芝居もアイテムの一種と考えて書きました。
名前が出てくるか…繊細したい……