▼バグを直しに出掛けましょう。~獣人族編~ 【Lv7】
「うわぁ~!すごい!ホントにつるつるだね~」
「ははっ…」
翌日、すでに僕は“ヤスリ係”と化していた。
どうしよう昨日の事思い出してなんかスッゴイ時間削ってた気がする。
『気にしないでいいよ。』
昨日、確かにミワさんはそう言った。
「気になるの?」
「えっ」
顔を上げると、茜さんは察したような顔で笑っている。
「えっと…何をですか?」
なんとなく誤魔化してみた。
「ふふっ言いたくないなら言わなくていいよ?」
…駄目だ、隠し切れない。
「………う、だって。」
「ミワちゃんはもともと、あんまり自分の事は語りたくないタイプだからね~。」
「ですよね~。」
そう苦笑いする。
なんとなくは知っていたけど、なんとなく知らないふりをしていた。
なんとなく知りたいけど、なんとなく知っちゃいけない気はしていた。
「大丈夫だよ、時が来ればきっと教えてくれるから。」
「……くるんでしょうか。」
「くるくる!だってミワちゃん一回なつくと離れないから!」
向こうでミワさんが一つくしゃみをした。
ドォォォォォォォォォォォォォンッ!
「?!」
振り返ると、竹林の一部が爆発で吹き飛んでるところだった。
悲鳴と恐怖がピリピリと肌を突き刺す。【奴隷時代】の単語が脳裏に浮かんだ。
「皆落ち着いて!作業中断して避難!!」
「おいどういう事だよ!何が起こったんだ茜さん!」
「あいつらだ…僕ら奴隷にされちゃうんだ!」
「助けて助けて助けて助けて助けて!」
「おい誰か!バリア張れる奴はいねえのか!」
ごちゃごちゃと声が渦になる。
その中でもひたすら大きく、無責任に叫ぶ言葉。
「皆を救って!【ミワ】!!」
…………何言ってんだよ。
自分も危険なのに、本当はミワさんもその言葉が大嫌いなのに。
「カケル君!カケル君は皆と一緒に避難してて!あとは何とかするから!」
「えっ、でも!」
「大丈夫!! チャチャッと片づけてくるからさ!」
そう言ってニッと笑う。
違うでしょ?もっと選択肢はあるじゃないか。
どうして、なんでミワさんは
自分を、傷つけるような事を。
「カケルさん!バリア張りますから早く!」
エコさんに叫ばれてハッとする。
「すっすみません!今行きます!」
_____踵を返して、僕だけ安全な場所へ、走った。
いよいよ奴隷商人がやってきました。
直接的な描写がなくてすみません…まだモクモクしてるんです、煙で。




