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▼どうやらこの世界は、バグってしまったようです。  作者: すみっこ
▼そもそもの始まりは、バグでした。
43/81

▼そもそもの始まりは、バグでした。【Lv4】


「んー、んー!」

「無理しなくたって、言ったら移動するのに…」

バスタオルを干そうと必死になっているカルカ…を抱えている私はちょいと横にずれる。


「ミワの手なんて借りたくないモーン!」

「今思いっきり借りてるけどね。そろそろ下ろすよ。」


よいしょ、と小さい体を下ろすと「ワーッ」と走っていってしまった。

元気がいいな、あの子は。


「有難うねミワ。悪いけど、買い物行って来るから店番は宜しく頼んだよ。」

「あ、はい。」


キルカさんに一礼すると洗濯籠をしまい、カウンターに移動する。

家と店を区切る一線を越えると、顔は笑顔で塗り潰された。


「あ、ミワちゃんじゃーん!これどういうアイテムなの?」

「いらっしゃいませ!ええと、【神芝居】ですか?これは自動的に紙面に文字が浮かんで、

主に通信用なんかに使われますね____ 」


店番は好きだ。苦もなく笑顔でいられる。

「普段も笑っていてほしいんだけどねぇ」とキルカさんは愚痴をこぼすけれど、何を隠そう

『店と家は別物』と言ったのは本人なのだからしょうがない。


「はー、疲れた…」

混雑した店内がようやく誰もいなくなると、カウンターにもたれて溜息をつく。

「あ、そういえば仕入れた商品あったんだっけ。用途とか確認して並べといた方が良いよね。

よいしょっと。」



[▼てってれれ~♪

【ミワ】の力量スキルが11upした!]


「あらら。」

こういう作業をしてから、いつも以上にスキルが上がっていった。

意外と近道な特訓法なのかもしれない。



チリンッ


「あ、いらっしゃいまs……」

振り返って目を見開く。



「よお♪」

「ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああっ!」



視界いっぱいの笑顔に思わず飛び退き、壁にへばり付いた。

「ななななななっ!何で貴方がいるんですか幻覚なんですか不良なんですか!」

「俺は魔王で不良じゃねーよ?」

ポケットに手を突っ込み、ガムをモグモグさせながら呆れたように呟く。


「えっと、魔王さんですよね…?」

「さっき言っただろーが。なんで不審者を見るような目なんだ?」

「『不審者を』じゃなくて『幽霊を』です。」

「死んでねーし、ゲームなんだから探せば幽霊なんてゴロゴロいるだろ。」


ああ、【オバケ族】の事か…と安堵の溜息を付く。

「で。また何か注意報が出たんですか?」

「ぶっぶー。今日は違いまぁす。」

子供っぽく頬を膨らましながら効果音を鳴らす。なんか第一印象と離れてるぞ…。


「じゃあ何なんですか?ちゃっちゃと言って、ちゃっちゃと帰ってください。」

「んー、まあお前の返事次第では一分も掛からず出ていくぜ?」

………返事?





「お前、プレイヤーにならねぇ?」





ニヤリと笑って言う彼に、私はニッコリ微笑んで「イヤです。」と言い切った。




「………え?」

「え?」


「いやお前、今Noって言った?俺 魔王だぞ?ついでに言うとコレほぼ命令だからな?」

「私まだ名前も知らない貴方を【魔王】だなんて信じていませんし。」

「本当に疑り深いなお前…。」

まあソコを見込んだんだけど、と苦笑する。



「【あかつき】だよ、正真正銘の魔王だ。これでもまだ信じないか?」



当たり前だ。そんなに私のシールドは甘くない。

「しょーがねぇなあ、じゃ特別だぞ。」

腰らへんに手を当ててから【暁】さんは手招きした。なんだろう、『特別』って。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


「そんじゃ、この辺で良いか。」

【小さな大草原】の丁度中心らへんに来ると、暁さんは意味深にそう言った。



「…あの、何なんですかいきなり店の外に連れ出して。」

「お前がまだ信じられないって言ってるからだろ、【ミワ】。_____脅えんなよ?」




ゆっくりと、剣を引き抜く。




その声も出せないような威圧に思わず足が震えた。鳥肌も立つ。光る刃から目が離せない。

背中をゾクゾクしたものが這い上り、口の中が一気にカラカラに乾いた。


【魔王】の体を炎のような妖気が飲み込み、空に立ち上っていく。

その姿が言葉では言い表せないくらいに美しくて、それと同時に哀しさが込み上げてきて、

やっと剣を鞘に収めた時にはヘナヘナと座り込んでしまった。



「ってな感じだ。どうだ?これでやっと認めたか?」

「……は。」

「何だ、声も出せねーのか?まあ、レベルの低い奴らは皆そうなるか…おい、大丈夫だぞ、

ちっともお前を斬ろうとは思ってないからな~」


しゃがみ込んで必死に宥める暁さんに、私はやっと声を絞り出した。

「_____し、」

「ん?」

「死にたく、なった。……見ていて、凄く泣きたくなって、走馬燈みたいに色々思い出して…

凄く、恐くなった____。」


顔を涙でグシャグシャに汚した。

閉まっていた思い出が洪水みたいに溢れかえって、私は子供みたいに懸命に喚き続けた。






_____そして、打ち明けたんだ。

悲しそうな顔をした魔王に、私の過去の事を。








この後 泣いているミワに必死に「べろべろばあ」をする魔王。

……………カオスだ。


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