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▼どうやらこの世界は、バグってしまったようです。  作者: すみっこ
▼そもそもの始まりは、バグでした。
41/81

▼そもそもの始まりは、バグでした。【Lv2】

「だっ、大丈夫ですか?!」

「ッ…!馬鹿、来るな!!」



茂みに倒れている傷だらけの青年が威圧を発する。

でも、そんなので怯む私じゃない。


「此処まで来ちゃったんで、後には戻れませんよ。一体どうし…」

「あぶねぇっ!」


反射的に身を屈めると、背中を掠めて針が木の幹に突き刺さった。

後ろを振り返ると、大きな蜂が敵意の籠もった目でこっちを見ている。


「チッ、だから来るなっつってんだろ。これだから村娘は…」

やれやれと言うように頭を振る。ちょっとムッとした。


「村娘のカテゴリでまとめないで下さい!もうこうなったら私が倒します!」

「はぁぁっ?! あのな、町民は戦う事を禁じられてるんだぞ!それにお前は【ノーマr】…」


「そんな法律より貴方の命の方が大事でしょう?!」



ぐっと、怯んだ。



「罰なら慣れてるんで、いくらでも受けてやりますよ。こう見えても私、結構スキルは

高いんです。」


立ちふさがるように前へ進むと、「待て」と声が止めた。

「お前、そもそもの武器装備してねーだろ。これ使え。どうなっても知らねーからな。」


ポイッと投げられた【銀の短剣】を慌てて受け取る。

「ありがとうございます!」

「フンッ。」

拗ねた子供みたいにそっぽを向いた。



敵は恐らく【フラワー・ビー】。そんぐらいの知識は持っている。

確か…


(この花に惹かれるモンスターなはずっ!)


もう一発、と飛ばされた針を避けて茂みに転がり込む。

大丈夫、あの花籠は反対側に設置したから、注意はそっちに向くはずだ。


あとは音を立てないように、そぅっと木を登って、顔の前に短剣を持ってくる。

そして、



大きく飛び上がり、刃を刺した。



-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


「なかなか悪くない戦法だったぜ。」

いつのまにか傷を皮膚から消して、青年はニヤリと笑った。


「そりゃどうも。家事をしていると嫌でもスキルは上がるのでね。そんな事より、この世界に

警察なんているのでしょうか?」

「は?」

「いやだって、私戦っちゃいましたし。あ、でもとりあえず捕まる前に、キルカさん達に

一言報告しなきゃ。」


通信画面を開こうとする前に、「ぶはっ!」と青年が吹いた。


「いやそれは、ぐふ、大丈夫だ。お前が戦ってる最中に免除しといたからな。」

「免除?貴方実はそんなに偉いんですか?」


偉いも何も、とまだ笑いながら言った。




「俺、一応【魔王】だし。」




………………は?



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