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▼どうやらこの世界は、バグってしまったようです。  作者: すみっこ
▼旅の途中で色んな物がバグっていました。
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▼旅の途中で色んな物がバグっていました。【Lv21】 ~修行~

それから三日後の事だった。

「もうすぐ着くから荷物まとめておけ。」

部屋でくつろいでいたら、レウスさんがヒョイと顔だけ出して淡々とそう言った。


「どうしたんですか、その頬に付いている真っ赤な紅葉マーク。」

「ああこれか。女子部屋にも連絡しに行ったら「神聖な場に勝手に入り込まないで下さい!」

って平手打ちされた。」

「その口調はエコだな。後でたっぷり叱っておこう。」

「まあガルの説教を素直に聞き入れるのってミワくらいしかいないけどね~!」

眉間に皺を寄せるガルさんとケラケラ笑うルフさん。


「結局サタニアは男子部屋こっちに居たね。」

「体は♀でも俺は♂だからな。それに、かく言うお前も周りから見れば 」

「楽になりたい?」

「ゴ、ゴメンナサイ…」

サタニアはリリさんの言うことを素直に聞く。…メモしておこう。


(まあなんやかんや言ってお世話になっちゃったな~)

食事は毎回 怒濤の大食い大会が繰り広げられ。海賊の方達にも修行に付き合ってもらったり。

特定の海域に現れるボス【シー・ドラゴン】を一人で片づけるハメになったり。

二回目の時は、サタニアが戦おうとするもルフに横取りされちゃたり(勿論ボコにされた)。


「うん、平和でしたね!」

「どこら辺がだよっ!!」

ガルさんに良いツッコミをして貰った。


ふいにガクン、と船が揺れる。どうやら目的地に着いたようだ。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


「「「「「「 有難うございましたっ!」」」」」」

「良いって事よ。こっちも相当世話になったしな。」

ニコリと笑うレウスさんの手にはカメラが。


「まさか…撮ったんですか!」

「おうよ!!」

「キリッとした顔で言わないで下さい!あと親指立てるのもダメ!!」

「なんだよ、いーじゃねぇか。別に着替えシーンとか風呂場は撮ってねぇしよ。」

なんだ、撮ってなかったのか…と胸を撫で下ろす。


「撮ろうとしたら、かかと落としされたからな。」

「やっぱり撮ろうとしたんですね?! 通報しますよ?!」

「それも もう言われた。」

「…そうですか。」


一周回って哀れみが目に宿った。

もう僕の中でレウスさんは単なる変態でしかない。


「まあそう言うなって。あ、そうだ坊主、ちょっとこっち来い。」

「へ?!」


恐らくミワさん(ガルさんも?)が中心にいるであろう海賊達の輪からクルリと背を向け、

足下に置いていた木箱をメキメキと音を立てながら開く。

中には海賊用のフル装備品と、見たこともないような剣と弓矢が入っていた。


「俺らからお前への贈呈品。こう見えて俺はお前の事も気に入っているからな…剣と弓矢は

特別だ。大事に使えよ。」

「え?! 良いんですか?!」

「ああ。この武器は俺らが貝から作った【海賊の毒剣】と【海賊の毒弓矢】って言うんだ。

刃と矢に魚の毒が塗ってある。たとえ掠っても、まず動けねぇな。あとコレは解毒剤。

一応 二瓶入れといたけど、矢も解毒剤も足りなくなったら即連絡しろ。すぐ届けてやっからよ」

「は、はい…!」


【助っ人】登録を終え、木箱をリュックに詰める。

海賊達のおかげで、今やレベルは100近くまで上がっていた。


「じゃ、元気でな。早くバグを直してくれよ?」

「「「「「「「「 有難うございまッス!! 」」」」」」」」


碇が上がり、海賊船が遠ざかっていった。

「みんなーっ!まーたねーっ!!」

「俺が教えた料理のコツ、ちゃんと応用しろよーっ!」

「海賊 調理師さんが作った料理も美味しかったですよーっ!!」

「【シー・ドラゴン】に困ったら連絡しろなーっ!」

「お、俺にも言えッ!今度こそ倒して見せるからな!!」

「多分…無理だと思うけど……」

「僕の事誰かにバラしたらコロすからねーっ!!」


皆が口々に別れの言葉を叫び、僕も何か言おうと迷いに迷って、


「あ、有難うございましたーっ!!」


一番単純な、けれど心の籠もった言葉を投げかけた。



船が見えなくなり、港から目を離し(【魔族】の国ってどんなのだろう。)と振り返ると、

そこには真っ暗な光景が広がっていた。思わず一瞬声を失う。


「?!」

「あー、ここはいつもそうなんだよ。カケルくん、上見て 上!」

「上…?」

ミワさんに言われた通りに頭を持ち上げると、そこにはデッカい“島”があった。


「くっ…空中都市?!」

「ピンポンピンポン♪大正解!あの島自体が魔力を持っているっていう説があるんだよ。

まあ行く前にやる事があるけど。」

「はあぁっ?!」


ようやく帰れる、と思っていたらしいサタニアが良い反応をしてくれた。

「ふざけるな!俺のバグはどうするつもりなんだ?!」

「じゃあ聞くけど、」


ルフさんが人指し指でニヤリと笑う。

「もし単独行動していてモンスターに襲われたらどうする?カケル君とサタニアちゃん、

少なくともこの二人は一瞬でゲームオーバーでしょ?」

「うっ…うるさい!爆速エルフ!!」

「あはは。痛い痛い。」


涙目になりながらポカポカと叩く。

なんかサタニアちゃんってルフさんにも敵わない感じがするなあ。攻撃も効いていないし。


「じゃ、修行のクリア条件を教えるよ。カケル君とサタニア、この二人は近くのダンジョンを余裕で

攻略できるようにする事。ああ、【天の刃】は使用禁止ね♪」

なるほど、確かに武器に頼っちゃ強くなれないからね。


「ミワさん、じゃあ…これ使ってもいいですか?」

「ん?あー【海賊の毒剣】と【海賊の毒弓矢】?それなら全然オッケイだよ。」

「有難うございます。」

「おっ、お前それ何処で手に入れたんだ?!」



もっと強くなるために、僕と悪魔の猛特訓が始まった。




レウスは通常は健全な人間です。健全なはずだったんです…


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