■どうやら雑魚がバグったようです。【 Lv1】 ~出会い~
空は青く青く青く…今立っている商店街は明るく賑わっていた。
客を呼び込むために商人が声を張り上げ、その度に数人がそちらを向く。
その者達は、耳が尖っていたり、頭から角が生えていたり、獣の耳を持っていたり、
水かきの付いた手を振ったり、ふわふわ浮いたり、電子だったり、
とにかく様々な特徴を持っていた。
_____そう、此処は人の手で造られた、もう一つの新世界なのだ。
そんな町の武器屋の前ではまだ初心者らしき少年がかなり高値の武器を
うっとりと見つめていた。
尖った耳から、RPGでよく出てくる“あいつら”を思い出す。
「はぁ…いいなぁこの剣。軽いし格好いいんだよなぁ。でもまだ僕お金無いし、
クエストとかクリアしたらタダなんだけど、雲の上の上だしなぁ…」
諦めよう、とクルリと背を向けた。
なんてったって此処は初心者の町で、こんなレベルの高い武器を置いておくなんて
ただの嫌がらせにしか思えない。
と後ろに立っていた人物にぶつかる。
「わわっ!すいません、あの、気付かなくて…っ!!」
「……私は別に平気だけど、君は平気?」
「え、あ、はい。」
そっか、と頷くとぶつかった少女は自分の鞄をゴソゴソし始めた。
そして……
「はいコレ、あげる。」
さっき見ていた【天の刃】を差し出した。
「ちょ、ええええええええええ?!いや別に今日僕の誕生日じゃ無いですし、
こんなの勿体なくてもらえないですよ!!」
「え、いやだって欲しいんでしょ?」
「まっ…まあ欲を言えば欲しいですけど!でも貴方はどうするんですか?
確かコレ、伝説級じゃ…」
「平気だよ、自分の武器は別にあるし、それにコレ私3個持ってるもん」
「3個ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ?!」
絶叫する少年を華麗にスルーして、少女は【天の刃】を押しつけた。
「とりあえずコレね!あと恩返しとかいらないから。じゃあね!」
「え、ちょ、待って下さい!!貴方の名前は?!」
伝説級の武器を3個も持っているなんて何者なのだろう。
少女は振り返ってニッと笑った。
「ハンドルネーム【ミワ】!!それ使って、ガンバレよーーーーーっ!」
ミワ…?
え、えっとミワって確か武器屋のおっちゃんが何か言ってたような…
『そういやぁ、そこの遺跡で若い女がうろついてるって聞いて行って
みたんだけどよー、ただのヨボヨボおばあちゃんですっげー無駄足だったぜ。』
あ、これ違う。いやクエストには必要な情報だけど今は違う。
そうじゃなくて、【ミワ】っていうのは…
『…そうそう、最近じゃ常識ネタだけどよー、【ミワ】って知ってるか?』
『【ミワ】?何かのアイテムですか?』
『違―よ!超すご腕のプレイヤーだよ!!唯一の最高レベルの!!!
いいか、【ミワ】ってぇのは、それぞれの種族の最強者を束ねる女だ。
幸いな事に、遺跡荒そうとかそんなアホな事は考えずに皆のために力を使う
天使系レディーちゃんだがな、うかつに近付かない方がいい。
前にちょっとレベルが上がったからって調子にのってる奴らが集って【ミワ】を
倒そうとした。どうなったか分かるか?』
『い、いえ…』
『瞬殺だよ!!そこが砂漠だったもんでバァァッと砂埃が舞ってな、
3秒も経たない内に過ぎたんだが、その時にはもう全員やられてリターン
ポイントへ飛んで行ってた。』
『は、はあ…あの、そろそろ……』
『驚くのは早ぇぞ!!【ミワ】の何が凄いかってな、彼女の種族が村民共と同じ【ノーマル】って事だ!!!』
『……え?』
そうだ、これだ。間違いようがないこの話だ。
押しつけられた【天の刃】をぎゅっと握る。
彼女こそが、【ミワ】______________!!
ちなみに武器屋のおっちゃんは情報屋でもある設定です。
この人のしゃべり方なんか好き(笑)。
注)編集しました。