▼旅の途中で色んな物がバグっていました。【Lv5】 ~ネズミ~
[▼【いにしえの洞窟】に到着しました。]
「うわ~、見るからに洞窟だね~…」
「懐かしいな~、此処。カケル君は来た事ある?」
「一回行って、逃げ帰ってきましたけど。」
「うん、もう何も言わなくて良いよ。」
カツン、と最初にガルさんが足を踏み入れる。鼻をクンクンさせた後、「大丈夫だ」と
手招きした。
「カケルくん、先行きなよ」
「はっハイ!じゃあ…」
[▼【ホワイトゴースト】が現れた!!]
「全っっ然 大丈夫じゃないんですが!?」
「だって普通に出てくるのは倒しちまえば良いだけだろ。」
「うわ強者の発言ムカつくぅっ!」
【天の刃】を構え、距離を詰めた後「はっ!」と振る。ゴーストが倒れた。
「つっ、強くなった…?!」
「いや多分 普通に武器の力だと思うけど。」
「馬子にも衣装だねぇ~」
「 。」
精神的なHPは0になった。
「ほらほらカケルくん、とっとと片づけないとドンドンくるよ」
「うわっ?!ちょっ、もうそのネズミ解放して早く先行きましょうよ!」
「修行だって事…分かってない……。」
「はいすみませんね理解してはいるんですよ!!」
まあ、でもこの武器なら結構いけるかもしれない。
進んでいくとゴーストとは違う新しいモンスターが出てきた。
見るからに禍々しい色合いの花だ。茎にはトゲが、根っこは足の変わりだろうか。
[▼【ハンターフラワー】 Lv8]
悔しいが今の自分の【鑑定】では此処までが限界だ。
早く強くなりたい。_________……そう思った。
シュワァァァァァァァァァァァァァァァァァ
「!?」
突然、昆虫のような口から紫の霧が噴射された。瞬間 くらりと意識が遠のく。
「!マズいカケルが毒にやられた!」
「あちゃー、毒持ちでしたか」
「ミワ、頼んだぞ!」
「おっけー!」
後ろからザワザワと声が聞こえる。
毒…?これが……?ああ、なんかHPも減っていっている。駄目だ、このままじゃ…
ぱしゃっ
「わあ?!」
瞬間、重かった体がシャキン!と引き締まった。ポタポタと前髪から水滴が垂れる。
…水……?!
「ジャジャーン!これが噂の【聖水】の威力だ!」
ミワさんの手にあるのは朝 部屋でなんとなく目にしただけの“水が入っている瓶”だった。
ミワさんはデコピンだけで【ハンターフラワー】を倒し、僕に向き直る。
「さて、少年くん。確かに毒は厄介だし、既に何人もの初心者がここでゲームオーバーと
なっている。でも、君は普通の初心者とは違う。
私からのヒントはね____『モンスターにも七癖あり』だよ。」
人差し指を唇にあて、悪戯っぽくウィンクしてみせる。
どういう意味だろうか。ゆっくりと近付いてくる次の【ハンターフラワー】を見ながら考える。
ん?“ゆっくり”?
そういえば、【ゴースト】はすばしっこくて刃が届かない時があった。
…けれど、行動のパターンは一定なので見極めてしまえば楽だった。
【キングバニィ】は止まったり動いたりで空振りも何度か起きた。
…でも、止まる直前に耳を下げる合図を見つけた時には倒せてしまった。
(つまり、この【ハンターフラワー】は…)
まだ誰も前にいないというのに毒を吐く姿の見てピンとくる。
このモンスターは“ノロい”。それと、毒を吐き出す前に体を後ろに反らす。
…つまり、コレを上手く利用すれば、倒せるってこと……?!
「ミワさん!僕、行って来ます!!」
動きが遅い奴には速さで勝負だ。【天の刃】を体ごと振り回し次々と倒していく。
毒を出すサインも見逃さず、一歩退いて霧をかわした。
楽しい。
いつも強くなる事に必死で、目の前の敵を倒す事以外 何も考えていなかった。
顔に出た笑みは、ミワさんの唇にも浮かんでいた。
「カケルさ~ん!もうすぐ此処のボスですよ~!!」
エコさんが声を張り上げた。そういえば、前はゴーストの時点で引き返したんだっけ。
【天の刃】をきゅっと握る。
強くなっているんだ。少しずつ。
ネズミの事なんかすっかり忘れて、いよいよボスへ勝負を挑んだ。
ネズミ「あの花、たまに実らせる実が美味いんだよな。」




