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▼このプロローグにバグの可能性はありません。安心して読んでください。
ここは現実から切り離された、何よりも平べったい【新世界】。
そこでは架空の物と諦められていた【モンスター】と呼ばれる獣たちが、
プログラムされた“本能”に従って居るべき場所で駆け回っている。
それらへ馬鹿みたいに斬りかかる者達は【勇者】などと呼ばれ、
種族と言う名のグループに自ら加わり、その魅惑の力にこれでもかと酔いしれる。
そして勇者を支える者達は【ノーマル】と言う何の特典もない体を選び、
与えられた狭い世界で笑顔を振りまく。
どっちもどっちだ。阿呆らしい。
だけれど後ろ指を指された私には、もうそこしか居場所が無い。
『大丈夫、きっと良い場所だから。色々試してごらん?』
いい迷惑だ。出来る限り目立ちたくないのに。
そう愚痴りながら後者の方を押す。
眩しい光が私だけを包み、ホッとしたような両親の顔が見えた。
それから数年。
[▼ てってれれ~♪
【ミワ】のレベルが最高になった!!]
その文を見たのは、まあまあ昔の話。
これは体感RPGを極めに極めまくった最強プレイヤー達が遭遇した、
よくあるバグの話である。