第三者によって暴かれる嘘と真……
sideセイル
「…………!……イ…………!セイ……ん!セイルさん!」
「…………あれ?ここは…………何処ですか?」
キラさんとタクミさんが変な霧に包まれそうになってたので私達も近づいたんですが…………霧が濃くなったと思うと意識が飛んでしまって…………気が付くとなんと言えば良いんでしょうか…………明らかにラスボスの居そうな場所で鉄檻の中に居ます。
因みに、さっき起こしてくれたのはディノさんです。
「僕にもさっぱり……でもキラ兄さんとタクミ君が居ないんです…………」
辺りを見渡すと確かに鉄檻の中には私、ディノさん、マフジーさん、パールさんの4人のみ…………そして檻から少し離れたとこに大きな液晶画面が数台ありました。
…………最も電源はついてませんが。
「どうなるんだよ…………ったく。こんなことしてきた野郎を一発……いや百発切り刻んでやろうか……!」
ちょっとマフジーさんが悪態をつき始めたんですが!?
しかも内容が怖いっ!?
と、その時数台あった液晶画面に電源が入ったかと思うと剣を持っているキラさんが映し出されました…………そして相対しているのは…………
タクミさん!?どうして!!??
「……なんかタクミの周りに黒いオーラが見えないか??」
マフジーさんの言う通り……モヤモヤっとですが…………黒いオーラらしきものが見えますね…………でもどうして……?
『どうしてなんだよっ!!タクミィ!!』
あ、キラさん…………どうやら音声も聞こえるんですね。
『それは貴方のついた嘘のせいなのでは?』
と、タクミさんでもキラさんでもない変な(ボイスチェンジャーで変えたのですかね……)第三者の声が聞こえてくる……嘘??
『なん…………だと…………?』
キラさんが唖然としていますね……
ホントどういうことなんでしょうか?
『…………キラ兄さん覚えてる?フミヤが死んじゃったあの日のこと…………』
『っ!?…………まさかてめぇが!?』
『ええ。私がタクミに教えてあげたんですよ。キラ君の発言に嘘があることを!そして……その嘘に埋もれた真実をねぇ!!』
『なっ!!??貴女は…………姉さん!?』
と、変な声ではなく女性の声になった…………かと思うとキラさんが愕然とした感じで相手を見詰めています…………ってお姉さん??確かキラさんは一人っ子だった筈…………
「もしかして保育所の??」
あ、確かそこで働いている人にキラさんが姉さんと言っていた人がいるんでしたね…………
「でも……確かフミヤ君って…………事故で亡くなったって言うキラ君のお弟子さんだっけぇ……。」
「ええ。でも…………何で……嘘を僕達にもついたんですか?キラ兄さん…………」
パールさんの疑問に頷きつつも腑に落ちない様子で画面を見続けるディノさん…………確かに、どうして私達に嘘をついたんですか?
『ええ…………久しぶり。でもスグにお別れね。』
『僕の目の前でフミヤをひいたあの車…………あれには』
『…………もういい。これ以上言うな。』
キラさんの制止を振りきりタクミさんが大声で叫んだ
『キラ兄さんのお父さんとお母さんが乗ってたんでしょ!!』
「「「「なっ!?」」」」
私達は言葉が出ませんでした…………まさかフミヤ君をひいたのがキラさんのご両親!!??
『僕は…………キラ兄さんを倒す!!それでフミヤの仇を取るんだああああああああっ!!』
そう言ってタクミさんが剣をキラさんに向かって突き立てようとするも…………
ガイイイン!
キラさんの盾に阻まれる…………と、スグに距離を取ったタクミさんの足元に魔法陣が……?
それをみたキラさんも剣を地面に刺す…………
『轟け雷光……貫け一閃……『ライジング・スピア』ッ!!』
『なんびとたりとも貫けぬ盾よ…………今ここに姿を現せっ!!『強靭な盾』ッ!!』
ほぼ同時に詠唱を終えたと思うとタクミさんの剣が電気を纏った槍へと変貌を遂げてキラさんの元へと放たれる…………しかし、キラさんの目の前に出た紫色の盾が行く末を阻む。
「なぁ……キラの奴……攻撃を一切してないよな?」
「元々攻撃型じゃなかったからじゃあないの~…………。」
「いえ……それとは別の意思があると思います。」
マフジーさんの疑問にパールさんが考えを話すも、ディノさんが首を振る。
…………お願い!!二人とも戦いを止めて下さいっ!!
私はそう願うしか出来なかった…………
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noside
(『』内はセイル、ディノ、マフジー、パールの発言です。あくまでもタクミやキラには聞こえていません。)
キイイイン!
「倒す……倒す倒すっ!!」
「くっ……話を聞いてくれっ!」
今キラとタクミが剣を使い交戦中である……理由は先程タクミの発した言葉にある。
「何でキラの両親がフミヤを殺さないといけないのっ!?」
それにたいしてキラはただタクミの攻撃を受け流しては……
「だから話を聞けって!!」
これの繰り返しである……
『でも……何でタクミさんはキラさんの言うことを聞かないんでしょうか…………』
『確かにな。普通なら話を聞くために攻撃を中断するはず…………何かがおかしい!』
と、セイルとマフジーが話している…………
勿論、タクミやキラに聞こえる筈もないので…………
「(くそっ…………どうしてこんなに話を聞かないんだよっ!!)」
キラはタクミの言動の疑問を拭えないでいた…………
『あの……タクミさんってアイテムは何をつけてましたっけ??』
と、ディノがふと疑問に思ったことを述べた。
『どうしてなんだい?ディノ君……』
パールが何故か問うと、ディノは自分の記憶を頼りに自分の中で生まれた説を話した。
『前にとても優しいはずの人が突然人が変わったように暴れだした事件があったの覚えてる?』
『あぁ……』
『ええ。作者さんがゲームのし過ぎで執筆してませんでしたが……キラさんが安静にしていたときですよね。』
これ、セイルさんや。そこで裏情報を流すな。
そしてその時キラに付き添っていて三人に同行してなかったたマフジーは頭の上で?マークを浮かべていた…………
『その時の原因って……悪魔力石の填まっている装備を使用した為に起こったあれだよなぁ。』
『……まさか!?』
『はい。もしかしたら悪魔力石による洗脳かも知れないんです!!変な装備品は無いですか!?』
ここで説明すると…………
悪魔力石とは、吸い込まれそうな漆黒色をした負の魔力が練り込んである魔力石の事で……普通の市場では売買は禁止されているのだが、闇市売場とかでは1つ5円~取引をされている危険な代物である。
この悪魔力石を使用したアイテムを装備すると大きさや光沢等で違いはあるが……小さく良光沢の物(5円位の安物)なら心に微量な悪の心が入り、窃盗などの悪事を働く程度で済むのだが…………大きさが大きいほど、光沢が鈍い程その悪い心が大きくなり、最悪の場合は意識を奪われ、殺人・誘拐等の大罪を犯す程になってしまう。
更に、この悪魔力石には特徴がもうひとつあり……「別人の魔力を練り混む事で装備した人の意識や記憶……五感等を支配・及び洗脳出来る」と言うものである。
尚、魔力を練り混む場合は悪い心に支配されることは無くなるが……完全に思うがままに操れるので主に奴隷等に使われる場合があるのだ。
又、暗殺の時にも使用されるのである。
ディノが言っているのは後者の方で女性の魔力の練り混まれている悪魔力石の使われている装備品があるのでは無いかと言うことで
『変な装備品は無いの!?』
と聞いた訳ですな。
『…………あ、イヤリングと剣!!』
セイルがハッとした表情になり画面を指差す。
そこには漆黒の石が埋め込まれていた黒いオーラを纏う剣……そして左耳にはやはり漆黒の石の填まってるイヤリングがつけられていた…………
『キラァ!!イヤリングを壊して剣を弾けぇ!!』
『キラさんっ!!』
『キラ兄さんっ!!』
『キラ君っ!!』
しかし……この言葉は生憎届いてほしい本人には届かないのだった…………
「クソッ……どうすりゃいいんだよ…………あれ?確か……あの時…………」
果たしてキラは何に気付いたのか?
そしてこのあとにどうなるのか!?




