表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「死んで国宝を返せ」と求められた少女。生き延びるため、国をひれ伏させる英雄を目指す  作者: 好きな言葉はタナボタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/11

第11話 私を捕まえたいんでしょう? 捕まえるといいわ

「やむを得ん」


ヒョウゴノスケがクルチアをかばうように前に進み出て、長剣をスラリと鞘から抜き放つ。 美しい銀色の刀身が月の光を反射して冴え冴えと輝く。 ヒョウゴノスケの剣は、イロハより下賜かしされた剣。 戦闘貴金属ミスリルで出来ており、鋼鉄の鎧など簡単に切り裂く。 捕縛部隊はミスリルの剣とヒョウゴノスケの剣の腕前を恐れて、間合いの外で近づきあぐねる。


「ううっ、クズキリと戦うだと...?」「ちっ、厄介な」


「何をしとる。 後ろに回らんか!」


マサムネは隊員を怒鳴りつけながら率先してヒョウゴノスケとクルチアの背後に回り、その後に半数の隊員が続いた。


そのマサムネの前に、イロハが立ちふさがる。 手にはミスリル製の長剣が握られている。


「兄上、お考え直しください。 アーティファクト1つを巡って国を分裂させるなど愚劣の極み」


「それはこちらのセリフだ!」


叫び返しながら、マサムネも剣を抜いた。 刀身の色は金色。 戦闘貴金属エテルニウムを素材とする剣だ。 ノシメハナ王家に代々受け継がれる宝剣であり、今は長子であるマサムネが所有する。 エテルニウムは至高の金属。 ミスリルよりも硬くて希少。 エテルニウムの刃は大岩を豆腐のように貫く。


イロハは覚悟を決めて、剣を握り直す。


「くっ、もはや戦うしかない」


剣の腕前でも佩剣はいけんの格でもマサムネに劣る。 勝ち目は薄いが、せめて相打ちに持ち込みたい。 そうすればヒョウゴノスケがクルチアを落ち延びさせてくれよう。


             ✩˖°⌖.꙳✩˖°⌖.꙳✩


今にも骨肉こつにくの斬り合いを始めようとする異母兄弟マサムネとイロハ。 その2人の間に、クルチアの声が割って入る。


「待って! 待ってください」


クルチアが声に込めた意志に無視できないものを感じて、マサムネもイロハもクルチアに目を向けた。 クルチアは凛々(りり)しい目で2人を見返しながら、思うところを述べる。


「お二人が戦う必要はありません」


マサムネもイロハも怪訝けげんな表情。


「どういうことだ?」「何を言っている?」


「イロハ殿下は ―クズキリ殿も― 退いてください。 私が原因でノシメハナ王国が分裂するなどあってはなりません」


自分が原因となった内紛のせいで母国がベンガラ帝国に敗北するなど耐えられない。


「わかっているのか? 私が戦わねば君は捕まり―」


イロハの言葉をクルチアは一際ひときわ大きな声で(さえぎ)り、捕縛部隊に語りかける。


「私を捕まえたいんでしょう? 捕まえるといいわ。 ただし―」


クルチアは言葉を止め、凛々(りり)しい眼差しで捕縛部隊の面々を眺め回す。


「ただし、ただでは捕まらない。 私は熊殺しイナギリ・クルチア。 私を捕まえたければ、死ぬ気でかかってきなさい!」


そう言い放って、胸の前で竜鱗の篭手をガシンと打ち合わせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ