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ログ・ホライズン  作者: 橙乃ままれ
夜明けの迷い子
52/134

052



 ミカカゲは小さくおにぎりにかぶりついた。

 「おにぎり屋えんむすび」から出前をされてくるこのお弁当は〈ロデ研〉では非常にポピュラーな食事である。きちんと統計をとったことはないが、このギルドにおけるランチの半分以上が「えんむすび」から供給されているともっぱらの噂だった。


 ミカカゲの後ろでは、三角巾をつけた愛想の良い〈大地人〉少女が注文札をつけたおにぎりをひとつづつ配っていた。艶のある黒髪が肩の上で切りそろえられ、ころころ変わる表情は可愛らしい。かえでという少女だったか。

 「おにぎり屋えんむすび」は二十数名の〈大地人〉で経営されているはずで、そのなかでも五人ほどの可愛らしい少女はアイドルのような扱いを受けている。〈ロデ研〉ではとくに人気が高くファンクラブも存在するのだ。その少女、かえではクゥデリャとともに人気トップを争っているはずの少女で、理科棟のポスターで見た覚えがあった。

(いや、そうじゃないだろう。いまはそうじゃないってば)

 ミカカゲは眉根を寄せておにぎりにかぶりついた。

 さすがに今日はのんきに可愛いお弁当娘ランキングに思いをはせる気にはならない。

 この騒ぎの片棒はミカカゲも一端をになっているのだ。もちろん、責任があるわけではない。ミカカゲはいま現在の調査でわかった部分と、その可能性を報告しただけで、事件そのものの責任は、まったくない。だがだからといって心の中のもやもやが晴れることはなかった。

 ミカカゲは、足下から膝の上によじ登ってきた相棒の植物精霊、アルラウネのアリーに小ぶりなおにぎりを渡した。アルラウネは両手でまん丸としたそれを持つと、はむっとかぶりつく。その姿に癒されながらも、ミカカゲは周囲を見回した。


 半円を描くすり鉢状のこの巨大なホールは通称“講義室”と呼ばれている。

 いまはおおよそ八分の入りだ。

 とりあえずランチと言うことになって大半の参加者は荷物から弁当を取り出したり、配達されてきたおにぎりの包みを開けたりしている。

 本来であれば、食堂や外部へ出かける人がもっと多くてもよいのだが、今日は内容面からもその種の動きは鈍い。

 会議は午前も午後もあるのだが、午前の部は会議と言うよりも、それぞれの研究科の発表会の様相を呈していた。午後もそうだろう。

 〈ロデ研〉は大学のような組織だとギルドメンバーは思っている。大学は行きすぎだとしても、技術研究と研鑽、そして集積のためにある組織であると確信している。だから、会議とはいえそれが技術がらみであれば、どうしても研究成果の報告といった様相を呈してしまう。

 階段教室のなかは曰く言い難い雰囲気であった。

 けして明るくはない。落ち込んでいるといってもよいだろう。しかし、ただ単純に失意しているというよりも、その底には同様と興奮を押し隠してざわめいている感じだ。げんにあちらでもこちらでも、同じ専攻のメンバー同士が集まって低い声で話し合っている。

 中には専攻を越えて低い声で議論を続けているグループもあった。

 午前中の発表の中にはそれほどにショッキングなモノもあったのだ。

「いいこともあるじゃんね」

 同じようにオニギリを頬張っている同僚のアオモリが隣から話しかけてきた。

「いいことっていうのかな」

「んー。たぶん?」

 アオモリの生返事を聞いて、すこし困ったミカカゲは曖昧に頷く。

 確かに、悪いことだとは断言できない。


 午前中、ミカカゲは発表を行った。

 〈ロデ研〉はその組織上、毎月多くの発表会を行う。それはミカカゲの所属する料理部会も例外ではない。しかし、美味しいモノを作り出すという料理部会では発表会は試食会という形式がほとんどだ。ミカカゲは、午前中の発表でエネルギーを使い果たしていた。

 普段資料を使った発表や、口頭での長い論述を行わない料理人であるミカカゲにとっては荷が重かったのだ。押しつけてくれた同僚にたいして恨み言が渦巻く。

 アオモリを蹴飛ばして、そのお弁当から唐揚げを奪ったミカカゲは、素早くアリーに与えた。

「なにすんだよっ?」

「アリー、おいしい?」

 内気なアリーは、その問いかけに答えず、ミカカゲに隠れるようにはむはむと唐揚げを食べている。その様子が可愛らしくてミカカゲはほっとする。


 サブ職〈料理人〉を持っていない〈冒険者〉でも、すこしずつ調理が可能になっていっている。

 ミカカゲが行った報告はそれだ。

 現在この世界における料理法は二種類ある。

 まずは「メニュー法」だ。自分が「記憶」しているレシピに記載された材料を所持し、キッチン設備の近辺で、操作メニューを開く。操作メニューから狙いの料理を選択すれば、料理は完成する。

 どんな料理であれ、製作時間は基本的に十秒だ。

 この手法には大きな利点がある。まずその時間は明らかな利点だろう。時間のかかる煮込み料理であろうが、発酵食品であろうが、十秒しかかからない。

 また、消費される素材の少なさも利点だ。レシピには最大でも五種類程度の素材しか記載されていない。それも調味料を含めてだ。たとえば「肉じゃが」を作る場合、必要なのは、ジャガイモx3 牛肉x1 濃口醤油x1の3種類だけである。タマネギもニンジンも必要ないし、みりんも必要ない。もちろん完成品においてそれらは使用されたように見える。無から材料が補給されたかのように。

 もちろん、巨大な――巨大すぎるデメリットもある。それは完成した食品の味が、たとえそれがどのような素材を使い、どのようなレシピであろうとも、ふすまのポリッジのような味になってしまう。味がしない味とでもいうか。食感ももそもそしたエネルギーバーのようで、とても食欲をそそるモノではない。

 もうひとつの方法は「手料理法」といわれているものだ。

 こちらは現実世界と同じように料理する必要がある。レシピという制限は存在せず、調理者がその料理の調理法を知っているかどうかに関わっている。材料はすべてそろえなければならず、無から沸いてくることもない。また、素材の鮮度や状態が完成度に影響する。つまりは現実世界の料理とほぼ同じだ。

 どちらの場合も、現実世界と圧倒的に違うのは、調理者がサブ職業〈料理人〉でなければならないことに尽きる。そして、メニュー法であれ手料理法であれ、〈料理人〉のレベルによって制限を受けることが特徴だ。

 メニュー法の場合はレシピに定められたレベルに〈料理人〉のレベルが達していない場合、調理成功の確率が下がっていく。

 手料理法の場合、具体的に必要な〈料理人〉のレベルを見ることは出来ないが、蒸したり揚げたりといった複雑な技法や、工程数の多い調理は、失敗してしまう確率が高い。

 どちらも失敗すればゲーム時代と同じく「焼け焦げた残骸」か「でろでろした残骸」が残るだけだ。

 サブ職〈料理人〉を持っていない〈冒険者〉は、あらゆる料理に失敗する。たとえ地球においてどんなに料理上手であったところで、サラダを作ることさえ出来なかった。それが〈大災害〉以降の常識であったはずだ。


 それが徐々に崩れてきている。

 サブ職〈料理人〉を持っていない〈冒険者〉であっても、いまは簡単な調味や、素材の切断加工が可能だ。いまは、サラダ程度なら作れる。


 なにが起きているのか? わからない。

 そもそも〈大災害〉すらわからないのだ。この変化の意味などわかるわけがない。

 だがその波及範囲は広大であろうことは予測に難くない。

 いつの間にこんな変化が起きたのか、ミカカゲたち〈料理人〉でさえも断言できない状況にあった。アキバと〈円卓会議〉では、早い時期にサブ職業によるアイテム作成制限に気がついていた。そもそも〈円卓会議〉成立のきっかけがそれだったのだ。

 〈ロデ研〉において同種のサブ職同士が部を結成しているのもその発見を基盤にしているといってもよい。つまり、ミカカゲの周囲には〈料理人〉しかいないのだ。それもミカカゲを含め全員が高レベルである。また、その常識が知れ渡ったアキバでは、食事というものはギルドの〈料理人〉につくってもらったり、あるいは〈料理人〉が販売している総菜を購入してくるものであるという認識がすっかり浸透していた。

 だから、この現象がいつ始まったか気がつかなかったのだ。

 ミカカゲたち〈ロデ研〉料理部の最近の調査によれば、ほぼ半数の〈冒険者〉がサラダ程度の調理に悪くない確率で成功をおさめられるようになっている。失敗した〈冒険者〉であっても、以前とは別の手応えを感じているようだ。

 現象の発生は確認できた。

 しかし、それが各人の意識していない努力の結果、つまり〈冒険者〉の能力が増大した結果なのか、それともゲーム的なプロテクトのほころびなのかはまだ不明だ。同様の現象が〈大地人〉に起きているのは確認した。なにせ、植物精霊のアリーですら可能だったのだ。


 さらに恐ろしいのは、このことは料理には限らないということである。

 たとえば建築であればサブ職業〈大工〉が、家具作成であればサブ職業〈木工職人〉がそれらのアイテム作成を占有していた。それがこの世界(エルダー・テイル)であったはずだ。

 しかし、午前中の報告会では、ミカカゲの行った〈料理人〉と同様の報告が散見された。

 建築や鍛冶などは料理ほど現代人にとってなじみのある技術ではないから、調査をするにしてもサンプル数が少なくてはっきりとした確証を持ててはいないようだが、いくつかの事例から、いままでの経験則が揺らいでいるというはっきりした報告がある。

 ミカカゲだけが動揺しているわけではない。

 アオモリだって、会場の仲間だって、〈ロデ研〉の全員がなにかの予兆を感じているのだ。


 ふと静かになってミカカゲは視線をあげた。

 周囲のメンバーも注目するその先に登壇したのはロデリックだった。まだ昼食時間の最中なので周辺でおにぎりやサンドイッチを頬張る仲間たちが、疑問符を浮かべてロデリックを見つめている。

 白衣を着崩した彼は、普段の穏やかでひょうひょうとした顔に疲れを浮かべて頭部を掻くと話し始めた。

「あー。メシくってるところなんだが、待ってた調査の知らせが入ったし、午後からはギアを変えていかなきゃならんっぽいので割り込ませてもらいたい。ランチの時間は1時間延長する。なお、ギアをかえるってのは対策への移行だ」

 対策への移行という言葉にざわめきが走った。

 対策が必要なレベルか、という驚きが半分。どちらかと言えば慎重なロデリック自らが積極的な関与を決定したというのが半分だ。

「食べながらでいいから聞いてもらいたい。報告しなければならない事案は三つだ。まず最初に、〈外観再決定ポーション〉およびゲーム時代との性差の件。少なからぬ事例により……というか、ほぼすべての事例により、人格が肉体に影響を受けているという報告は以前したが、どうも、声も影響を受けているようだ。声帯に機構的な役割があるのかないのか不明だけれど、現在女性の身体を持つ〈冒険者〉であれば、その声は、徐々に女性になっていく。たとえプレイしていたのが男性プレイヤーであっても、だ」

 いやに大きな音を立てて、ペンの転がる音がした。

 講義堂はもはやしわぶきひとつ聞こえない静寂の中にあったのだ。

「次は光学観測だ。……あー。この件は、じつは確証がない。改めて測量するがまだ不確定だ。とはいえ、わたしとしては事実だと考えている。アキバの街と富士の間の距離が、増大しているようだ。というか、任意の2地点の間の距離が僅かではあるが離れつつある」

 この報告は、会場の大勢にとって寝耳に水であったようだ。

「すいません……」

 気弱そうなひとりの〈鍛冶師〉が手を上げる。ロデリックの許可を得てした質問は、そのほか全員の疑問の代弁だった。

「それは、どこでも、でしょうか? つまりヤマトが広くなっている……ということですか?」

「そうだと考えている」

 ロデリックの答えに、会場は息をのむ。

「最後の件は、外部から持ち込まれた調査案件の結果だが共有すべきだと考える。……アイテムに設定されたフレーバーテキストについてなのだが、一部のアイテムについては、それが効果を持っていることが確認された」

 ミカカゲは目を丸くした。

 フレーバーテキストが効果を持つ? どういう意味だろう?

 たとえば、ある魔法の武器があるとする。「ダメージ+5%、追加火炎ダメージ180~216ポイント、【STR】増強+15」。これが武器の魔法の力だ。通常の武器の性能に加えて、特殊な効果が付随し武器を強化している。

 それと比べて、フレーバーテキストはこのような文章を指す。「この武器、〈烈火の豪槍〉は古代ウェストランド正規軍が優秀な騎士に与えた槍である。火竜の牙で飾られ炎の力を秘めている。古のロガ=ザリはこの槍で部下の勇気を鼓舞したという」といった具合だ。つまりは、アイテムの説明文であり、出自や特徴の解説だ。アイテム鑑定の結果読むことが出来る情報ではあるが、ゲーム的にはなんの意味もない。雰囲気を盛り上げるためのテキストだ。

 そもそもフレーバーテキストのフレーバーとは香り付けという程度の意味だ。

 効果はない。効果がないからこそフレーバーだ。そのはずだ。

 それに、効果がある?

 ミカカゲは、瞬間的に、それにどういう意味があるかよくわからなかった。

 わからないので、アオモリを見た。

 アオモリもわからないで、不安そうにミカカゲを見返してくる。

 そしてそれは、多くの仲間達も同じようだった。

 ロデリックは一旦目をつぶって深く息を吐き出した。その様子に、いよいよこれは面倒事なのだと、メンバーは覚悟を決める。


「これらは個別の現象だと思わない。この時期こんな現象が無関係に偶然重なるなんて思えないな。つまり一連の事案であると考える。現在、この世界は、継続中の大規模な変化の途中にあると考える。〈大災害〉は終わっていない(、、、、、、、)。この件に関して、最大規模の情報収拾をすべきだと提案したい」

 ロデリックの言葉はあっけにとられた講堂のなかで反応もないままに転がった。

 アキバの街のほとんどすべての住民は、まだこの変化を知らなかった。








 アカツキとレイネシアは慌ただしい執務室のなかでそろって正座をしていた。

 目の前にはリーゼとヘンリエッタ。周辺では多くのメイドたちがばたばたと動き回り、なぜかナズナが苺大福を食べながらくつろいでいる。

 大神殿から直接連行されてきたアカツキはとりあえずという言葉と共に朝食兼昼食を食べさせられたあと、詳しい事情を聞くという流れになったのだった。

 詳しい事情といわれても困ると思ったアカツキが、レイネシアにチラチラ視線を向けていると、ヘンリエッタに促されたレイネシアもアカツキの隣にちょこんと座ったのだ。

 豪華なカーペットの毛足は長くふわふわしているために足が痛いなどということはないし、アカツキは普段から和室暮らしなので正座にはまったく抵抗がない。しかし、レイネシアはどうだろう? 正座にはまったくなれていないようで、ただ生真面目な表情をしてアカツキを真似ただけのようだった。


「大まかな部分はすでに聞きました。殺人鬼の正体は〈大地人〉。しかも供贄一族。あの戦闘能力は〈動力甲冑〉(ムーバブル・アーマー)によるものだということですね。都市防衛用魔方陣が魔力供給を行い、小規模レイドボス並みの戦闘能力を得ている」

 リーゼの言葉に、レイネシアは頭を垂れている。

 どうやら、レイネシアは茶会に集まっている女性冒険者に事情を説明したらしい。

 アカツキはそれにびっくりした。

 〈大地人〉が〈冒険者〉を殺す。

 その事態の発覚を恐れたレイネシアはあれほど怯え悩んでいたはずなのに。しかし、アカツキの隣で正座をしながらリーゼとヘンリエッタを見るレイネシアは、決意の表情ではありしょぼくれてはいなかった。

 しかしそれも当然かもしれない。アカツキが応援したいと思った〈大地人〉の姫は、考えてみれば、ザントリーフ包囲戦の勇士を募るためにグリフォンの背に乗り大空を駆けたのだ。

「――この事件が発覚すれば、アキバの街の〈冒険者〉と〈大地人〉の関係は悪化する。供贄一族への疑念が高まれば都市生活そのものにひびが入るかもしれない。おふたりはそう考えた。アカツキさんはその事態に憂慮して、殺人鬼の殺害ではなく事件解決を行おうとした。そうですね?」

 アカツキは座ったまますこし考え、こくりと頷いた。

 たぶん、言葉にすればそうなるのだろう。

 深く考えることもなく夜の街に飛び出してしまったのだとアカツキは自分の行動を自覚している。アカツキはただ、レイネシアは間違っていないと誰かに伝えたかっただけだ。殺人鬼を止めれば、それが伝わると感じた。いや、後から考えてるからそのように理解出来るだけで、あのときのことを正直に思い出せばただの八つ当たりだったのかもしれない。自分やレイネシアのことを理解しようとしない世界に苛立ちをぶちまけただけのようにも思える。

 でも、それを言葉にするのははばかられて、アカツキは黙ったままリーゼを見つめた。

「その考えは理解出来ます。隠しおおせる事件だとは思いませんが、それでも速やかな解決は騒ぎを鎮める大きな要素になりますから」

「こんだけ被害者でちゃってるしねえ」

 荷物から甘酒を取り出したナズナが、講師然としたリーゼの言葉を混ぜっ返す。

「……〈西風の旅団〉はこの件を公開すると?」

「いんや。ソウジロウは手を引くっていった。うちらは公開も復讐もしない。ギルド内部でいいたいことはあるだろうけど、それはソウジロウがなんとかするよ。うちらはそういうギルドだ。あたしはその尻ぬぐいさ。それもこれも、ふたり次第だけどね」

「それは……」

「回りくどい確認をせずにとっとと説教すればいいのさ」

 ナズナの言葉に、リーゼとヘンリエッタがため息をついた。

 相手をしていられないと言うよりは、もう少し手順を踏めとでも言いたげな雰囲気だが、ナズナは一向に気にしていないようだった。見ようによってはだらしなくも見える放埒な和装の胸元から鎖帷子に包まれた白い肌をはみ出させ、ソファーに寝そべる姿は、きつねと言うよりも、大きな猫を彷彿とさせる。

 戦闘中の厳しく張り詰めた雰囲気とは一致しない姿だった。だがアカツキから見て、自然な様子にみえる。こちらの姿が、本当なのかもしれない。

(でも、本当は“本当の姿”なんてないのかも……)

 アカツキの頭を撫でてくれるシロエが本当の主君だと思う。

 でも、書類に頭を抱えているのも主君だし、戦場で増援の差配をするのも本当の主君だ。

 わずかな痛みが胸に走るけれど、ミノリを褒めるのだって、マリエールに微笑むのだって本当の主君なのだ。

 隣にいるレイネシアが、いつもの優雅で儚い様子でもなく、疲れてぐったりした様子でもなく、決意を秘めて真剣な表情でいるように。

 どれが嘘ということも本来はないのだろう。

 すこしだけ広くて鮮やかになった世界の中でアカツキは、はじめてそのことに気がついた。

 本当とは、たくさんあるのだ。

「つまりこういうことですか?」

 ヘンリエッタはアカツキとレイネシアの前で腕を組むと静かに声をかけた。

「自分たちだけでやれると思って見栄を張ったと。本当は相談すべきだとわかってたんじゃありませんか? アカツキちゃんもレイネシア様も、少しのぼせていませんか? 周囲を、馬鹿にはしてはいませんか?」

 ヘンリエッタの瞳はいつものように茶目っ気で輝いてはいなかった。

 本当に真剣な表情をしていた。

 アカツキは返す言葉もなかった。そのとおりだったのだ。

 今回の件はまだいい。頭に血が上って飛び出したと言い訳も出来る。

 でもいままでずっとシロエの影に隠れていたのは、言い訳のしようがない。

 結局面倒くさがったり、必要ないと切り捨てて、他人と関わろうとしなかった。にゃん太老師や直継はともかく、ミノリやトウヤたちといった同じギルドの年少組にすら、言葉を惜しんではこなかったか?

 もちろんその活動をサポートはした。ひっそりとした護衛や、素材の提供。偵察して狩り場を選定するなどだ。しかし直接話し合ったり、一緒に行動するのは避けてきた。別にたいした理由があるわけでもなくだ。

 それは自分の役割ではないから、という逃げの言葉を使って。

 うすうすはわかっていた気づきがアカツキを苦しめた。

「いつまでひとりでいるつもりですか? シロエ様さえいればいいなんて甘えだとは思いませんか?」

 責めるようなヘンリエッタの声に、アカツキはうなだれる。

 言葉もない。そのとおりなのだから。

 主君に頼り切っていたから、主君がいなくなったとたんに、なにも出来なくなってしまったのだ。主君の頼みくらいはこなしたかったがそれさえも出来なかったのだ。シロエが、アカツキにだけ託してくれた使命だったのに。

「この館に通っていたのは、警護のつもりだったんですか?」

 自分の考えていたことに返事を返されたような気がして、アカツキは視線をあげる。

「水楓の館に通って、警備体制の一助となるのは、アカツキちゃんだけに与えられた仕事じゃないんですよ。わたしもそうですし、リーゼさんもそうですわ」

 今度こそアカツキは羞恥心と苦しさで真っ赤になる。

 考えてみれば当たり前だ。レイネシアという、いまやアキバの街でも一二を争うほど重要になった少女にたいして、アカツキひとりを護衛に残すわけがない。レイネシアのお茶会はシロエの指示だったのだ。そんなものすこし考えれば判るはずだろうに。

 シロエに頼られていたというのさえ思い上がりだった。

 それが悲しくて悔しくてじわりと涙がにじむ。

 でもいまは泣くべき時ではない。アカツキは確かにレイネシアを守ろうと思った。しかしそれは護衛としてその命だけを守ろうと思ったわけではない。あの日、あの時、〈大地人〉の代表者として重い責任を担っているこの少女の、その願いと高潔さを守ろうと思ったのだ。

「アカツキさんは、その……。と、とっ」

 なんとも言いづらそうな口調でレイネシアが割り込んでくる。

 しかしそれはリーゼに止められてしまう。

「でも力を借りたい。借りなきゃいけない」

 アカツキは必死に言葉を繋いだ。

「ええ、もちろんです。わたしも、リーゼさんも助力します。さっき約束したように。でも、それは、誰にいう言葉ですか?」

 それはアカツキにはあまりにも難しい質問だった。

 誰に? ヘンリエッタやリーゼに。ナズナに? ここにはいないミカカゲたちに?

 でもそれは誰なのだろうか。誰に頼ればいいのだろうか。誰かに頼るべき権利など自分にあるのだろうか?

 でも、確かに、そこにはなにかがあるのだ。

 アカツキにはぴったりとした言葉を見つけられないだけで、ギフトがあるのだ。

 アカツキは、あの無くしてしまった夢の中でそれに気がついたはずなのだ。

 夜明けの薄明の中でこぼれてしまったそれがアカツキを苦しめる。

 シロエのコートと一緒に握りしめていたはずなのに、目が醒めれば手の中は空だった。

 夢から持ち帰ることが出来なかった。

 胸の中に溜まらないもどかしさがあった。

 本当は持っていたはずの言葉が出てこなかった。

 胸の中にしっかりとあるはずのそれをみんなに示せなかった。

 アカツキが大事だと、本当に大事だと思っているその想いや願いを皆に示せるのならば、アカツキは自分の胸を裂いてもかまわないと本気で思った。

 でも胸を裂いてもそれが見えることなんてない。

 不器用な自分の不甲斐なさに、アカツキの表情は歪み、涙がこぼれそうになった。


「アカツキさんは、友だちですっ」

 リーゼの拘束を振り切ったレイネシアが怒ったような表情で言い切るのを、アカツキはきょとんとした表情で見つめた。

 アカツキの中で、なにかが埋まる。

 それは握りしめ損なった言葉であり、アカツキが気がつかないふりをしていた扉であり、その扉の鍵だった。

 その言葉が、絶対にそれを口にしないだろう銀色の姫からもたらされて、アカツキを暖めて、強くした。

「レイネシアは、がんばってる。から、助けたい。みんなを……みんなで。その……友だちだから……」

 うまく言葉にならなかった。

 恥ずかしさと、無力感と、沈鬱な気持ちが身体中にあふれている。

 それでもやらなければならないという強い意志もまた、ある。

 そのもどかしさを打ち破るように、アカツキは半歩を踏み出した。

 一歩とはとても言えないような小さな前進をした。

 “友だち”という言葉は、口の中で躊躇いと共にかすれそうだった。

 アカツキの中で緩やかな理解が繋がった。

 穏やかな笑みを浮かべてどこか遠いところにいるようなレイネシアも本物だが、アカツキの隣で怒っているレイネシアも本物なのだ。いつもアカツキをオモチャにするヘンリエッタも本物だが、アカツキをしかりつけているヘンリエッタも本物なのだ。〈大地人〉の着るドレスを念入りに見聞しているリーゼも、戦闘指揮官の横顔を見せるリーゼも本物なのだ。

 ちゃんと正面から見れば、アカツキの周りには、アカツキを気にかけてくれる人が沢山いるではないか。

 アカツキが格好悪くなってもニセモノにはならない。アカツキが許せないアカツキも、やはり本物のアカツキなのだ。

 失敗して凶刃に倒れたアカツキを、心配してくれた人がこんなにいる。

 リーゼが中学生といったのもわかる気がする。まさに中学生レベルだ。こんなことを今更学ぶなんて、ミノリ以下だとアカツキは思う。でも、そこに肺腑をこがすような焦りはない。ミノリ以下なのはおそらく本当だ。それに、いまは目の前に心配してくれた人がいる。


「わかりました。では、策があります。この事件を終わらせるための。〈円卓会議〉に要請して夜間外出禁止を取り付けました。三日後、あの殺人鬼を、仕留めましょう」

 リーゼの言葉でアカツキは胸が緩むのを感じた。今度こそ、間違わない。







 ヘンリエッタは階段の踊り場からアキバの街を眺めた。

 街の木々の多くは落葉樹だが中には常緑樹もある。灰色の廃墟に緑のアクセントが目に優しい。〈三日月同盟〉の本拠地はこのギルド会館の中にあるので、景色そのものは見慣れたものだ。しかし、いまはその高度が違う。

 〈三日月同盟〉(ギルドホーム)は会館の五階にある。この踊り場は十階。同じビルの上層部、つまり〈円卓〉を目指しているのだ。

 ヘンリエッタはそのまま歩を進めた。エレベーターの死に絶えた高層ビルを毎回昇り降りするなんて現実世界で考えれば苦行そのものだが、〈冒険者〉の肉体は高性能だ。木箱を抱えたままでも、苦もなくその往復をこなす。

 コンクリートがむき出しになった階段の寒々しさもたいした問題にはならないままに、目的のフロアまでたどり着いた。

 ヘンリエッタは顔見知りの〈大地人〉の娘に挨拶をして〈事務局〉に入る。ここは〈円卓会議〉の中枢だ。真の〈円卓会議〉は、アキバを代表する十一のギルドの長による会議を指すが、そこで決定された計画を管理するのはこの〈事務局〉である。

 一応曲がりなりにもアキバの方針決定を預かる十一のギルドにそのためのスペースも与えないのはまずいだろうという声が大きく、〈事務局〉のなかには、十一ギルドのそれぞれにひとつづつの執務室も与えられている。もっとも、十一ギルドのほとんどはアキバを代表してもおかしくないほどの大型ギルドだ。ほとんどのギルドマスターは自分たちの本拠地内部に執務室を持っているし、そこでさまざまな作業を行っているはずである。それは中堅ギルド〈三日月同盟〉も同じで、マリエールの趣味を反映したファンシーな執務室を持っている。

 そのため〈事務局〉にしつらえられた方の執務室には留守番をおいて連絡係にするといった使用方法が通常だ。が、あいにく〈三日月同盟〉にそこまでの人員はいない。そこでヘンリエッタが定期的に訪れ、溜まった資料や信書を整理しているというわけだ。

 〈事務局〉には多数の〈大地人〉スタッフが働いている。

 単純な事務作業を委託するという目的もあるし、一緒の職場で働けるかどうかの運用試験という目的もあった。彼らに連絡役も頼めばいいのかもしれないが、現在は見送られている。そんな仕事を振らなくても、アキバに存在する数百のギルドへ対する連絡や交渉など、〈大地人〉スタッフにも仕事はいくらでもあるのだ。

 彼らに挨拶をしたヘンリエッタは執務室にたどり着いて、うめき声を上げる。書き付けがまたもや執務机からあふれていた。いつものことだが、見ただけで滅入ってしまう。十一ギルドの中でも比較的楽をさせてもらっている〈三日月同盟〉でさえこれなのだ。他のギルドのことは考えたくない。


 ヘンリエッタは手早く書類を分類しながら運んできた木箱に流し込んでゆく。莫大な分量に見えるが、ほとんどは報告と確認書類だ。ギルドハウスに持ち帰るまでもないようなことは、確認済みのサインだけをして備え付けの決済箱に放り込む。

 そんな単純作業をしながらここ数日を振り返った。

 あの日からの動きは早かった。

 めざましかったのはリーゼの指揮ぶりだったが、他の参加者も負けてはいなかった。考えてみれば、ナズナやキョウコ、小豆子といった女性たちは、女性ながらも少なくとも〈大災害〉以前は大規模戦闘(レイド)に参加してきているのだ。組織的な行動はお手の物だったろう。

 レイネシアの居間は臨時の作戦本部となり、リーゼがギルドから持ち込んだ執務机が設置された。あちらだって、ここに劣らない修羅場になっている。膨大な書き付けのメモが修正、清書される過程であふれだすのだ。現代地球のペーパーレス環境で育ったヘンリエッタをはじめとする〈冒険者〉には頭の痛い光景だった。

 対殺人鬼の作戦は参加者たちによって「捕縛作戦」「奪還作戦」などと呼ばれている。

 レイネシアの館を作戦本部とする性質上、参加人員はレイネシアの茶会に招かれた女性だけであった。ヘンリエッタやマリエールももちろん参加している。


 中心人物はふたり。アカツキとレイネシアだ。そしてその中心人物はふたりがふたりとも、こういう運動には不慣れであるばかりか向いてもいないようだった。初めての出来事ばかりに目を丸くして右往左往している。発起人として中心であるふたりだが、集団行動という意味では頼ることが出来ない。そこで実際の管理実務は、リーゼとヘンリエッタが取り仕切っている。

 そうせねばならなかったのだ。

 整理に嫌気が差したヘンリエッタは革張りのひとり掛けに座ると天井を見上げた。執務室には呼ばない限り〈三日月同盟〉以外のスタッフは入ってこない。普段の彼女からすれば気の抜けた姿勢になるのも仕方がないだろう。

 ギルドにいてはマリエールをはじめとした明るくも騒々しいメンバーに囲まれて考え事も満足に出来ない。ヘンリエッタは眼鏡をそっと押し上げると、静かにため息をついて、愛用の小型パスケースから一枚のカードを取り出した。

 飾り気のない書体で数行の文字が書かれただけの素っ気ないカード。

 このカードは口座だ。

 ギルド会館にも併設されている〈エルダー・テイル〉唯一の銀行組織の口座を示すカード。いままでは存在しなかったアクセスカードである。

 〈大災害〉以前〈エルダー・テイル〉はゲームだった。そこで言う「銀行」とは地球世界のそれとは違う、プレイヤーの現金やアイテムを預かるための非営利組織である。いや、非営利組織ですらない。それは「ゲームの機能のひとつ」だった。

 ゲームのキャラクターは、キャラクターとして生まれた瞬間、つまりゲームを始めた瞬間に自動的に「銀行」の口座を持つ。開設手続きなどは不要だ。ギルドも同じく、結成された瞬間にひとつの口座を持つ。それは自動的なプロセスであり、開設に手間がかかることもない代わりに拒否することも出来ない。それはそういうものなのだ。当然カードも通帳も有りはしない。ゲームシステムはそんなものの必要無しに個人を絶対の精度で識別し、管理を行えるのだから。

 しかし目の前にあるカードは違う。

 〈円卓会議〉に存在する三つの委員会が所持権を持つ予定の三枚のカード。そのうちの一枚。それは個人でもギルドでもない口座を表している。おそらくこのヤマトにおいて〈冒険者〉が考えもしなかった可能性である。

「……これのために静かにしていたい時期なんですけれどね」

 ヘンリエッタはカードをくるくると指先で回し、目を瞑った。

 シロエがアキバに居ないことを、ヘンリエッタはうすうす感づいていた。はっきり告げられたわけではないが、彼女がシロエから頼まれた依頼――このカードの管理を考えれば予想はつく。

 このカードはまだなんの意味も持ってはいない。その口座には現金は入っていないし、どのようなアクションとも紐づけられていないからだ。現在は設定されたひとつのアカウントに過ぎない。

 しかしその将来における可能性は目もくらむばかりである。

 そのことがヘンリエッタにはわかる。どのように使うのかを考えただけでうっすらと寒気さえ覚えるほどだ。

 この口座の件がおおっぴらになっていないのは、このカードが現在のところはまだ無意味だからである。つまりは可能性の検証中であり発表時期ではないということだ。少なくとも、ヘンリエッタはそう説明を受けている。その一方で説明されていない事情もヘンリエッタは察していた。

 シロエはおそらく情報漏洩を念頭に置いて発表を避けた。

 彼がアキバにいないということを隠していたアカツキの行動もそれを裏付ける。

 クラスティやシロエ、ミチタカは「今後発生する可能性がある問題」を考えている。そしてその問題の中にはおそらく「敵の存在」がある。悪いことにそれは〈円卓会議〉の内側をも想定しなければならないと、彼らは考えているのだ。

 〈Plant Hwyaden〉が西にあってアキバを観察しているのをヘンリエッタは感じている。少数派ではあるけれどその名を耳にするようになってきた「望郷派」(オデッセイア)も不気味だ。

(十分なだけ死ねば地球に戻れるだなんて……)

 彼らの訳のわからない主張にヘンリエッタはため息をつく。中小ギルドの会計係には重すぎる悩みだ。背負えるわけがない。しかし、では誰が背負えるというのだろう? シロエなら背負える、と任せるのは簡単だ。しかしそれでいいのだろうか? ヘンリエッタから見れば、シロエは年下なのだ。

(そう。年下なのですわ。あの真っ黒様は。まったく)

 シロエは別にヘンリエッタに個人的な興味はないだろう。彼がなにをしているにせよ、それはヘンリエッタのためにやっていることではない。でも、いまそれを「シロエなら背負えるから」と他人事のように切り離してはいけない気がする。それはシロエを諦めることに他ならないと感じるのだ。

 そう考えてる自分は、やはり殺人鬼の件にも関わる必要があるのだとヘンリエッタは納得した。

 リーゼが戦闘面でアカツキを補佐するのならば、ヘンリエッタは別の角度からこの件に関わるべきなのだろう。強情なシロエに援護射撃を送る。そのために一肌脱ぐのは悪くないとヘンリエッタは思った。

 氷の宮廷でシロエと踊ったあの舞踏会から、自分はシロエの援護をするのが嫌いではないのだなあ、そうヘンリエッタは思う。それは自分に似合っている。アカツキやシロエを影から応援することが。

 リーゼはアカツキの鍛錬とメンバーの連携訓練を行っている。

 夕暮れまでは“口伝”の修練。アカツキではなく数名の希望者も一緒だから、“口伝”に関する情報も少しは広まるだろう。

 そのあと夕食をとってから合流して打ち合わせ後、アカツキやリーゼたち戦闘組はアキバの街に散る。広域を監視して殺人鬼を捕捉するためだ。

 アカツキとナズナから詳しい状況を聞いたリーゼは「殺人鬼は数日の間は出ない」と判断したようだ。ヘンリエッタもそれは同意だったし、その時間はありがたいことだった。ソウジロウとアカツキによる猛攻を受けた殺人鬼はいままでにないダメージを受けているとのことだった。その怪我を癒すためには多少の時間がかかるだろう。〈冒険者〉でない以上、その時間は一晩というわけにはいかないはずだ。

 ヘンリエッタは〈円卓会議〉へかけあって、アキバの街の夜間外出禁止令をとりつけた。

 被害を遮断し、犯人を釣り上げるため――リーゼと話して決めた策略だ。警戒をするアカツキたちは明け方までのパトロールを続け、日の出と共に短い眠りにつく生活を送っている。

 ヘンリエッタも仕事をするべき時期なのだろう。

 説得しなければならない人物のリストを頭で組み立てながらヘンリエッタは立ち上がった。執務机の上の書類は分別もせずにざっくりと木箱に流し込み、念話で飛燕を呼び出す。

 まずはミチタカ。カラシン、次いで十一ギルドの面々。この説得作業はシロエの作戦に対する煙幕にさえなるだろう。どこまでシロエが予想しているか判らないが、ヘンリエッタは少しだけいじわるな気持ちになって微笑んだ。


「シロエ様の予想通りに行くとは限りませんものね。とくに――女の子たちの決心は」




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[一言] 誤字報告 〜その底には同様と興奮を押し隠してざわめいている感じだ。 「同様」→「動揺」では?
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