季節殺し
「春は綺麗ですか」季節は産まれ 季節は循環し 季節は時に殺される
季節は巡る。
《夏》には燃えるような日差しに勢いよく緑を繁らせて、赤や黄に錦をなす《秋》が終わると雪が舞い、《冬》が終わるまで大地は静かに眠りにつく。そうして待ちこがれた《春》になれば、若葉が芽生え、美しい花が咲き群れて、大地を埋めつくすのだ。
季節は循環する。それが、理である。
だが、時にその循環が妨げられ、季節が滞ることがある。
季節のとまった地域を訪れて、季節の循環を修正するものがいた。
季環師 KIKANSHI
季環師は季節と人を結ぶ調停者である。
季節とは生きものである。それらは生物のかたちを取り、それぞれの地域に生息している。ある地方では冬は氷に覆われた狼で、他の地域では美しい女の姿をしているという。地域ごとに異なるかたちをした季節がおり、そうした季節はみずからの出番が巡ってくるまでは眠りに就いている。
季節は生きている。
故に季節は死に、時に人の手で殺されることもある。
季節は基本、人とは係わらない。
だからこそ季環師が季節を観測し、意志の疎通をはかって、循環を修復するのだ。
ある山峡の町には長きに渡って、春が訪れていなかった。
雪に孤絶された町に ひとりの《季環師》が相棒たる《美しき少女》と共にたどり着いたところから、物語は幕をあげる。
季節は巡る。
《夏》には燃えるような日差しに勢いよく緑を繁らせて、赤や黄に錦をなす《秋》が終わると雪が舞い、《冬》が終わるまで大地は静かに眠りにつく。そうして待ちこがれた《春》になれば、若葉が芽生え、美しい花が咲き群れて、大地を埋めつくすのだ。
季節は循環する。それが、理である。
だが、時にその循環が妨げられ、季節が滞ることがある。
季節のとまった地域を訪れて、季節の循環を修正するものがいた。
季環師 KIKANSHI
季環師は季節と人を結ぶ調停者である。
季節とは生きものである。それらは生物のかたちを取り、それぞれの地域に生息している。ある地方では冬は氷に覆われた狼で、他の地域では美しい女の姿をしているという。地域ごとに異なるかたちをした季節がおり、そうした季節はみずからの出番が巡ってくるまでは眠りに就いている。
季節は生きている。
故に季節は死に、時に人の手で殺されることもある。
季節は基本、人とは係わらない。
だからこそ季環師が季節を観測し、意志の疎通をはかって、循環を修復するのだ。
ある山峡の町には長きに渡って、春が訪れていなかった。
雪に孤絶された町に ひとりの《季環師》が相棒たる《美しき少女》と共にたどり着いたところから、物語は幕をあげる。
序章 《季節》は産まれる
序 美しき幻想譚は《季節》から紡がれる
2024/11/09 16:23
第一章 終わらない《冬》の町
第一譚 《雪》の山脈と羅針盤の旅人
2024/11/09 16:23
第二譚 《冬》の砦に《常冬の町》
2024/11/09 16:50
第三譚 《春》の名を持つ娘
2024/11/09 17:01
第四譚 《冬》ではない《季節》の話を
2024/11/09 19:38
第五譚 《冬》の町の食卓は暖かく
2024/11/09 20:26
第六譚 ここは《春》のはずだと旅人は語る
2024/11/10 17:37
第七譚 《春》は綺麗ですか
2024/11/10 19:11
第二章 この地に《春》は巡らない
第八譚 白い朝と《冬》の町
2024/11/10 20:22
第九譚 旅人は《冬》の町をゆく
2024/11/10 21:09
第十譚 《冬》が終わらずとも町は平穏に巡る
2024/11/11 21:21
第十一譚 《冬》患い
2024/11/11 22:48
第十二譚 この町に《春》はこない
2024/11/12 18:52
第十三譚 《季節》殺し
2024/11/13 19:13
第十四譚 《冬》の長と《春》望む娘
2024/11/14 16:39
第十五譚 季節は《生》きている
2024/11/15 16:57
第十六譚 だから季節は《殺》される
2024/11/16 13:58
第三章 《季節》祟り
第十七譚 黄金の焔と《春》のなきがら
2024/11/16 17:07
第十八譚 《春》を葬る雪の棺
2024/11/16 18:25
第十九譚 娘は誰も望まぬ《春》に憧れた
2024/11/16 19:08
第二十譚 無辜の娘は《春》を望む
2024/11/16 20:16
第二十一譚 《春》の祟り
2024/11/17 05:15
第二十二譚 彼は《春》には憧れない
2024/11/17 18:00
第四章 《冬》はかく語る
第二十三譚 青い雪と《冬》の町の急襲
2024/11/17 19:01
第二十四譚 《冬》の氷狼は吼える
2024/11/17 21:01
第二十五譚 彼の者は《冬》である
2024/11/18 19:50
第二十六譚 町は《冬》を終わらせない
2024/11/20 18:28
間章 彼は如何にして季環師となったのか
第二十七譚 季環師は斯くして《季節》を愛した
2024/11/21 19:03
第五章 季節を知らぬ町に《春》を
第二十八譚 僕だけの《季節》
2024/11/21 23:52
第二十九譚 《春》は祟らない
2024/11/22 20:00
第三十譚 《春》を望んだ罪
2024/11/24 19:13
第三十一譚 《春》をご覧にいれましょう
2024/11/24 19:39
第三十二譚 そうして《冬》の真実は語られる
2024/11/25 14:45
第六章 斯くして《春殺し》
第三十三譚 悪政の《冬》
2024/11/25 21:13
第三十四譚 それは《冬》を終わらせる戦だった
2024/11/25 21:45
第三十五譚 戦の勝利と《春》の跫
2024/11/25 23:41
第三十六譚 斯くして《季節殺し》
2024/11/26 22:09
最終章 麗らかなる《春》の誕生
第三十七譚 《季節》懸かり
2024/11/27 20:45
第三十八譚 彼は《季環師》
2024/11/27 21:38
第三十九譚 《春》よ 巡れ と娘は愛を捧ぐ
2024/11/28 20:19
第四十譚 麗らかに《春》は産まれる
2024/11/28 20:48
第四十一譚 《季節》の姫君は彼を愛す
2024/11/29 17:06
終 《季節》は循環する
2024/11/30 07:32
(改)