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タイトル未定!  作者: ゆらぎ二等兵
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その日の馬鹿話

どうも、こんにちは。余裕があったので連続投稿です。

「ったく、てめぇも男か? 男に混じって戦場きやがって、犯されたい買女婦か? このガキはよぉ?」

 無精ひげを生やしたこの男――リーゼンが現在進行形で戦地へ向かう私に話しかけてくる。

 この色の濃い金髪、というよりも黄髪の短髪の男とは同じ日、同じ時間に入隊志願書を出したところから接点が出来た。

 自我を持つ頃にはすでに昼間から酒を飲む怠惰な農家としてこいつを知っている。こうやって、怠惰な野郎と思っていた彼と共に罵り合ってバカやって歩いていうと変な気分になる。

 しかし、その足取りが向かうさきはピクニックではなく戦場である。その中にいる背の小さな兵士が自分だ。

 共和国区域では珍しい銀髪の赤目。

 近代文明に後れをとり、急いで軍事化を進めた軍国国家の名には相応しく当然、女性も志願や徴兵の対象になる。

 ちなみに、なぜ徴兵ではなく志願になったかというと、そのほうが楽だからである。

 志願であれば徴兵者よりも先に銃を持てる(一緒だった)。志願であれば普通は二等兵で始める階級を上等兵から始められる(二等兵からだった)。結局、意味がなかったという汚点。

 しかも、軍人中の軍役に比例しお金すら貰えるという。その甘い蜜に見事にヒットし運よく釣られたわけだ。真偽は不明だ。

「馬鹿、そんなわけなねぇよ。お前らみたいなやつに犯されるくらいだったら犯罪して豚小屋にぶち込まれた方がましだ」

 皮肉気味にそう言って見せる。

 その、思いを込めた罵声は近くで歩く兵士たちの笑いを生んだ。

 個人的にはそういうジョークは好きではない。

 ライフルと軍服をきてなければまるで、教育のなってない男たちと少女によるごく普通の会話だ。向かう先が戦場でなければ私も本気で笑うことができたのだろうか? 

「なってみせるぜ英雄! 英雄に俺はなるッ!」

 そう豪語して見せるのは私の一つ前を歩く少年――マーリンだ。

 私と同じような年齢でありつつも体格に反した精神年齢の幼さがうかがえる。街では、よく悪ガキのマーリンの名で呼ばれていたものだ。

「よ! 英雄志望のマーリン」

「本当は、階級上げて金をもらって女に囲まれたいだけだろ」

「そうだ、そうだ。本当は怖いんだろ。へっぽこ!」

「てめぇんとこの母ちゃんは戦場では助けにこないぜ」

 近くを歩く同じく兵士からヤジが飛ぶ。そのヤジの数々は図星だったようで正確に、マーリンの体を貫ていき徐々にマーリンの肩が沈んでいく。

「やっぱ、俺。英雄辞めるわ」

 ついには、しょんぼりとした表情になり歩き始めた。それを糧に再び爆笑。

「わ……………笑うなぁぁ」

 半泣きになりながらポコポコと私やらリーゼンを殴るマーリン。それにまた大爆笑。正直どこに笑いの導火線があるかはわからない。

 が、馬鹿が引き起こす広範囲の強制爆笑をさせる攻撃があるらしい。

「んでも、俺はやってやるぜ。敵兵をバッタバッタなぎ倒して………首都の銅像の英雄アプリスカスと共に銅像になってやるぜ」

 ライフルの照準に顔を近づけているのは後方を歩くオスフィンだ。

 彼の話しているアプリスカスと言えば王国政権時代に国民を立ち上がらせ反乱を起こし今の共和国を完成させた英雄だ。

 しかし、共和国首都にあるのはアプリスカスではなく共和国政治の父であり一代目大統領のエーンクーリだったような。

「ちょっとまて、オスフィン。お前の言っている銅像はアプリスカスではなくエーベルハルムだ。銅像になりたいんだったら、そんくらい覚えておけよ」

 そこで、「なにぃ」と声を漏らしたオスフィン。

 そして、そこからテンプレートとしてそれをマーリンが茶化しそれで私とマーリンが殴られるのが定例。

「オスフィン君、そんな知能じゃ英雄なんてなれませんよ」

「てめぇ……ぶち殺すぞ」

 予想通り、マーリンが茶化オスフィンが拳に力をためて私とマーリンの頭を殴られる。相変わらず痛い。というか、私は茶化したわけじゃなくて、正論を言っただけだが。

「私……………正論……言っただけ」

 再び笑いの渦が――。

まだ、塹壕はなれないと思います。

ああ、そこの死体は踏まないで。あとで、遺品を拾うので。

確か名前は………エーベルハルトでしたっけ?

まあ、いいや。

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