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色狂いの転生狒々領主  作者: ばさない
4/4

顔合わせ

「ふぅ…しかし、スキルが転生後に確定となると武術もどう合わせて良いかわからんな」

俺は目の前に積み重なった訓練用のゴーレムの山を見て一息つく。


なんだかんだで約3か月だ。

あの神(名をディアヒリスと言うらしい)とはそこそこ打ち解けてしまった。

神というより中小企業にありがちな、

距離感の近い重役のおっさんに近い雰囲気があるのだ。

スキルが未だに手元に来ないのは本来の目的であるカギとしての役目で、

スキルに悪影響が出る恐れがあるからとのことらしい。


ちなみに、今の戦闘スタイルは短弓コンポジットボウ

クロースドコンバットに無理矢理適応させた邪道オブ邪道な戦い方だ。

もちろん、最悪は素手で矢を投げつけることや、矢を刃物として扱う手法も取り入れている。


(専門家が見たらブチ切れるか鼻で笑われるだろうな)


前職で多少非正規戦闘に巻き込まれた時のための訓練があるとはいえ、

本職の軍人ではない以上きちんとした武術の心得なんかありはしないのだ。


(戦闘っつっても積み荷にちょっかい出してきた賊だかテロリストだかとの、

軍が来るまでの銃撃戦だしなぁ。実際に戦わされたのも一度、その時すら当局が来るまで、

訳も分からずサブマシンガンを乱射しただけだし、

実際に当たってはないだろうし、仮に当てていたとしても実感もないからなぁ)


俺は一息ついて再度弓を構える。

再度ゴーレムがわらわらとたかり始める、



「トモベよ、彼が来るぞ」

一通りボロボロにされた俺の下にディアヒリスが現れる。

「おお、もうそんな頃か…もう少し修練したかったんだがな」

「まったく、其方は真面目じゃの」

「説明を聞いた限りでは封建社会なんだろ?

んなもん、理不尽に立ち向かうには権力か武力しかない。

いくら貴族になるとしても権力なんて水物だ。

訳のわからんいちゃもんで取り潰しだったり、

敵対勢力の突然の叙爵だってありえる。なら一番確実なのは武力だ」

「なるほど、歴史を知るからこその観点じゃの。

まぁよい、とにかく其方の弟を迎える準備を使用ではないか」

「あぁ、折角の顔合わせだ。兄貴としていいとこ見せてやんねぇとな」

俺は神の後に続いた。



花が咲き乱れるガゼボに俺達は腰を下ろしている。

茶菓子、紅茶、整えられた椅子に円卓。

顔合わせにはこれ以上ないセッティングが整った。

後は主賓の到着を待つばかり、といったところだ。


俺の隣には悠然とディアヒリスがくつろいでいる。

俺はと言えば、異世界初めての家族との顔合わせに緊張している。

思わず煙草はないかと尋ね、出されたそれから紫煙を吸い込む。


「緊張しておるようじゃの」

「そりゃな」

煙を吐き出しながら答える。

「なかなか素直で良い心根を持つ少年じゃぞ」

「人柄よりは顔合わせっていう事実にビビってるんだよ」

「クク、神にすら傲岸不遜を貫く貴様がビビる…か」

「うるせぇ」


そうこうしているうちに光の陣が現れる。


「うむ、主賓の来場じゃ」

「しゃあねぇ、腹括るか」

「うむ、もとより他に道はなし、じゃ」


光の中からまだ幼い少年が現れる。

彼は恐る恐る眼を開く。


「あの、ここは?」

「うむ、よく来たの。

其方の名を教えてくれるか?」

「えっと…僕はギバムントと言います」

少年は戸惑いながら名を名乗る。

「天恵の維持者…か。ムット、まぁ、座りなよ。

この神様はちょっとやそっとのことじゃ気を害さん。

ところで、どこまで聞いている?」

俺は少年の緊張をほぐすようにフランクに接する。

「…失礼します。あの、ここは神様のお庭ですよね?

使徒様はともかく、僕…私如きが座るのは不敬なのでは?」

彼はカチカチになりながら席に着く。

「むぅ、敬意を持つのは良いがそう距離をとられては悲しいのう」

「いや、これが普通の距離感だぞ?。あぁ、因みに俺は使徒でも何でもないよ」

「え?」

「そういう貴様は馴染みすぎじゃ」

「まあ、無神論者に近いからな」

「こやつ言いよるわ!神たる朕を前に何たる言い様ぞ!!

…若人よ、これから其方は朕の下暮らすのじゃ。

こやつほどではないが、もう少し力を抜くとよい」

少年は俺と神とのやり取りに終始唖然としていた。

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