表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/18

第十五話 「愛美ちゃんの誕生日」

 

 2006年5月22日。


 本日は、愛美ちゃんの誕生日。


 俺とは、一ヶ月と半月の差だ。

 そのため、この短い期間は、俺がお兄ちゃんとして振る舞える。

 お兄ちゃん、良い響きだ(うっとり)。



 しかし、そのお兄ちゃん期間も、今日で終わりを告げる。


 愛美ちゃんが、俺と同じく2歳になるからだ。


 嬉しくもあり、悲しくもある。


 まあ、断然嬉しみの方が上ではあるが。



 プレゼント選びには、だいぶ苦悩したが、選りすぐりの中から俺の独断と偏見で、愛美ちゃんが好きそうな物を選んだ。


 このプレゼントに、俺の全てが、かかっていると言っても過言ではない。


 今日は、俺の運命が決まる日。

 今日が俺の命日になるのか否か。


 いざ、尋常に勝負!


 



 誕生日パーティーの流れは、大体俺の時と同じだった。


 まず、見取家のリビングに愛美ちゃんと新たで行き、クラッカー。


 そして、贅沢で激うまな綾香さんと母さんの料理。

 母さんも、綾香さんと料理していたお陰か、料理が上手くなってきた。


 母さんの作ったポトフは、最高だった。

 ポトフは、ざく切り野菜とソーセージ、コンソメを入れて、ぐつぐつ煮込むスープのことだ。

 以前の母さんのポトフは、こま切れになった野菜と謎の形に切られたソーセージ、そして真っ黒のスープが煮込まれた闇スープだった。

 そこから、よくここまで……としみじみ思ってしまう。


 もちろん、綾香さんのスペアリブも最高だった。

 

 二人の料理を食べた後は、誕生日ケーキが出てきた。


 本日のケーキは「チョコレートケーキ」だ。


 愛美ちゃんはチョコが大好きなため、よくケーキ屋さんに行っては、チョコケーキをねだった。


 舌が大人なのだ。


 綾香さんと母さんの手作りチョコケーキに刺さっているロウソクに火をつけ、綾香さんがキッチンから持ってきてくれた。


 その間は、もちろんHappy birthday to you を歌った。


 チョコケーキが視界に入った瞬間、愛美ちゃんは大興奮。

 食べる前から、大喜びだった。


 まあ、わからんでもない。

 今まで拳程度の大きさだったケーキが、自身の手では覆いきれないほどの大きさになって出て来たのだ。

 しかも、自身が大好きなケーキとなれば、喜ばない方がおかしい。


 食べる前から大喜びな愛美ちゃんが、ケーキのろうそくに灯る火を吹き消し、みんなで切り分け、食べた。


 手作りチョコレートケーキは、とても美味しかった。

 無表情な愛美ちゃんの顔も思わず、ほころんでいた。

 

 ケーキは、ビターな生クリームとココアっぽい味のスポンジが段々になっており、上に生クリームと細かいチョコがまぶしてあった。


 カカオの香ばしい香りがする。

 

 ケーキを口に入れると、口に生クリームの甘い味が広がる。

 しかし甘いだけじゃなく、ほのかな苦味、そして細かいチョコがパリパリと口の中で音を立てるほどの食感がある。


 俺と愛美ちゃんは、香りと苦味、甘み、そしてチョコの食感を堪能する。


 とても素人のそれとは、思えないケーキだった。

 綾香さんの前職は、パティシエなのだろうか。


 そんな事を考え、ケーキを食していると、

 前回同様、ケーキがいつの間にか消えていた。


 そして、愛美ちゃんの口の周りには、チョコケーキの生クリームがついていた。

 

 そんな姿に、笑を隠せない俺だった。



 こうしている間にも、

 その時は着実に、足音を忍ばせ、近づいてきていた。



 そう、それは――




 ――誕生日プレゼントタァーイム。



 俺の運命の別れ道。

 俺が、天に召されるのか、地獄に堕とされるのか。


『結局、どっちでも死んでるじゃないか』


 アリシアからツッコミが入るが、ド緊張している俺の耳には届かない。


 

 まずは、綾香さんが行くようだ。


 ご武運を! 綾香さん!


 俺は、綾香さんの無事を願い、プレゼントを渡しにいく綾香さんを見つめる。


 よく見ると、背中でプレゼントを隠している。


 な、何を渡す気なんだ……!


 綾香さんが、手に持つプレゼントは――




 ――お人形だ!!

 


 フリフリのついたドレスを着る人形、が綾香さんの手に持たれていた。

 

 あっ綾香さんッ! そりゃぁダメだッ!


 そいつぁ、おもちゃ売り場で、愛美ちゃんは全く興味を示さなかった、ヤツだ!!



 綾香さんが、愛美ちゃんに、ソレを渡してしまう。


 くっ、綾香さん……骨は拾います……。


 俺は綾香さんの死を予期し、涙を流す。


『プレゼント渡すだけだろ? 何この茶番?』


 

 もう……愛美ちゃんの反応は分かりきっている……せめて、せめて……一思いにやってあげてくれ……。


 綾香さんが、興奮ではなく、ショックから鼻血を噴き出す姿が、未来が、見える。


 綾香さ――


「ありがとうっ! お母さんっ!!」


 俺が、散り行く綾香さんの名を呼ぼうとすると、

 愛美ちゃんが、綾香さんに抱きついた。


 !? 


 な、何が起こったんだッッ!?


 自身の予想と全く異なる光景が、そこにはあった。


『アラタくんッ! よく見ろ! あ、あの人形は……!』


 そう言われ、俺も宙に浮かんでいるアリシアの視線の先に目を向ける。


 信じがたい光景と共に、脳みそへと衝撃が叩き込まれる。


 抱きついている愛美ちゃんの手に持たれている人形の顔面には――


 

 

 ――女装した俺の顔写真が貼られていた……。




「気持ち悪ッッるぅううううううう、オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ、ゲボロロロロロロロロロロロロロロロロッ!!」


 宙に浮くアリシアは、ゲラゲラと大笑いしている、一方で、俺はモザイクのかかったゲロをぶち撒ける。


 しばらく吐いていると、落ち着いた。


 トラウマが呼び起こされ、思わず吐いてしまった。

 なんてもの見せてくれるんだ。


 愛美ちゃんの喜ぶ顔が、委員長の顔に見えてくる。 

 

 うっぷ、また思い出したら……。


 俺が吐いている様子を見て、アリシアは爆笑していた。


 このやろぉぉ、と思う反面、アリシアには感謝せねばならなかった。


 俺がぶち撒けたと思っていた吐瀉物は、アリシアが生み出した幻影であり、実際のところ、ゲロは外に出ていなかった。

 アリシアが吐瀉物が外に出ないようにしてくれていたみたいだ。


 感謝せねば、と思った瞬間、アラタは気づく。


 封印していた記憶(トラウマ)を呼び起こしたのは、紛れもなく、アリシアだったことに。

 


「アリシアァア! ありがとぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!(怒りの拳)」

 

 

 感謝の正拳突きを、アリシアの鳩尾に叩き込む。


 その威力は、凄まじくアリシアは、ぐぼぁ、と声を上げ吹き飛ぶ。

 その勢いで、家の壁に突き刺さっていた。


 どうだ!! 

 俺の怒りの正拳突きの味はッ!?

 本当は、一万回正拳突きしたいが、時間がないからこれで勘弁してやるッ!!


 壁に突き刺さったまま動かなくなったアリシアを見て、満足した俺は、再び現実と向き合う。


 愛美ちゃんが、持つ人形に、目を向ける。


 そのアラタ人形(仮称)は、絵本に出てくるお姫様のようなフリルの付いたドレスを着、顔は俺の女装した時の写真がコピーされた布でできていた。


 もちろん、写真の中の俺の目は、死んでいる。


 そんな、一見ホラーな写真が貼られている人形をもらって喜ぶなんて……。

 愛美ちゃんは、ついに壊れてしまったようだ。


 俺は、愛美ちゃんに寄り「大丈夫!? 気持ち悪くない?」と心配するが「大丈夫」と一言返されてしまった。


 (*≧∀≦*)ギュッ


 アラタ人形を抱きしめ、嬉しそうにしている愛美ちゃん。


 そんな姿を見て、

 愛美ちゃんが嬉しいならそれでいっか、と思ってしまうアラタであった。



 次鋒戦は、愛美ちゃんのパパこと利憲(としのり)さんだ。


 利憲さんのプレゼントは、綾香さんと同じく人形だった。


 しかし、


 綾香さんとは少し違い、スーツ人形だ。


 綾香さんが、女の子の人形なら、と言うことなのだろうか?


 いやっ! 

 よく見ると違う!!


 あ、アレはッ!!



 ――利憲(としのり)人形だッッ!!



 アラタ人形に、対抗して自分の顔写真を、人形に貼り付けてやがる!!


 なんて大人気ないんだ!! 


 そこには、

 俺のアラタ人形に対抗して、自身の顔写真付き人形を渡している利憲さんがいた。

 利憲さんは、自信があるような顔つきをしている。


 な、なんて無謀さ!!


 こ、怖くないのかっ!

 

 俺なら確実に恐怖と不安でドゲボを吐いているぞ……!


 ――愛美ちゃんの手に利憲人形が渡る……。


 愛美ちゃんの反応は……っ!










 ………………………………………無反応。



「グハッッッッッッッッッッッッッッ!!」


 


 利憲……………………撃沈。


 


 利憲さんの勇気と無謀さに敬礼ッッ!!


 ビシッ、


 膝から崩れ落ちた哀れな利憲さんに、俺は敬礼した。


 俺が、これをやられたら、クソ漏らすな。


『幼児退行しすぎだろ』


 

 次は、母さんだ。


 母さんは、プレゼント選びのセンスが九条家の中ではピカイチなので、愛美ちゃんも喜んでくらるだろ――

 


 ッて、かあさん!!


 辞書は、ダメだぁ!!


 誕プレで辞書もらって喜ぶのは、IQ150以上の奴しかいない!!


 あ、喜ぶのね。


 俺の予想をまたもや裏切る喜び。

 そして、この瞬間、愛美ちゃんのIQが150以上なことが確定した。


 このまま、予想が裏切られると、俺のプレゼントで喜ばない可能が高まる気がする!

 それに、プレゼントは最後に渡す者のハードルは、良いプレゼントが出れば、出るほど上がっていく!!


 今のうちに出――


「はい、愛美ちゃん」


 父さんがプレゼントを渡していた。


「ん、ありがと、おいちゃん」


 くっそ、先を越された!

 そっけない、ありがと、は無反応の次に傷つくヤツ!

 あと、愛美ちゃん!お() ちゃんが、お()ちゃんになってるよ! 可愛い!最高! ありがとう!


 緊張によって、テンションがおかしくなるアラタ。


 と、父さん!

 何を渡したと言うんだ!!


「ん? ああ、絵本を渡したんだよ、愛美ちゃん、絵本好きそうだったからね……」


 絵本を渡していました。


 安易ッ!


 まあ父さんは、そんなに愛美ちゃんと一緒にいるわけじゃないから、好みとかがわからなかったんだろう。


「じゃあ、次は――」

「わしと婆さんが行こうか」


 愛美ちゃんのお爺ちゃんが、俺の言葉を遮り、自身とお婆さんが行くことを宣言する。


 また先を(略)!!


 おじちゃん、おばあちゃんのプレゼントは、お洋服とオシャレなショルダーバッグだった。

 

「ジージ、バーバ、ありがと」


 どうだ、と言わんばかりの二人の顔。


 ドヤってる……。


 しかし、愛美ちゃんは、服やバックには興味が無かった……愛美ちゃんに効果はイマイチだ。


 愛美ちゃんのジジババ…………撃沈。




 最後は、俺だ。


 高まる期待。


 高まる鼓動。


 みんなの視線が、痛い。


 でも、俺は今日、この日のために、一ヶ月以上前から準備してきた!!


 行くぜッ!!



 ガチャ、


 キィー、バタンッ、



 そう言って、アラタはリビングから退出した。




「「「「………………………」」」」


 (((((え?)))))


 全員の心が、今日一揃った。



 








 しばらくした後。


 ドタドタ、


 ガチャ、


 バンッ!!


 アラタが、リビングのドアを勢いよく開け、入室してくる。

 全員、急なアラタの退出によって、冷めた目つきになっていた。


「はぁはぁはぁ、待たせたなぁ!!」


 そんな冷めた空気を、一転させるために部屋中に響くほどの大声を出す。


 しかし、アラタがそんな事をする必要は無かったようだ。


 毎度の如く、母さんは「うひょー」、綾香さんは「鼻血ブシャー」と大騒ぎになった。


 愛美ちゃんは、と言うと、


 もじもじ、していた。



 その反応を見て、俺は、


 あ、あんまり嬉しそうじゃなぁい!!


 え、えぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!?


 ショッピングモールでは、

 あんな欲しそうにしてたのにぃぃぃぃぃぃ!?

 人形は、嬉しそうだったのにぃぃぃぃぃぃ!?


『アラタ……撃沈……ぷぷぷ、貴殿の勇気と無謀さに敬礼! ぷ、ぷぷ……ご、ごめんよ……思わずね……くくっ』


 笑いながら、俺に向かって敬礼してくるアリシア。


 元々、軍服を着ていることも相まってその姿はかなり似合っている。

 まあ、笑っていなけばの話だが。


 ぐっ、と俺は歯を食いしばる。


 俺の予想と全ッ然、違うッッ!!


 俺の予想していた愛美ちゃんの反応は、こうだ。


「あらたっ!」ちゅっ、と頬にキス。


 あまりの嬉しさに、愛美ちゃんが頬にフレンチなキスをしてくれる、ぐへへ、と思っていた。


 しかし、アラタの予想とは反して、愛美ちゃんはもじもじしているだけで、何もアクションは起こさない。


 あれ、絶対「あっ、なんか変な格好してる……どうやって反応しようかな、もじもじ」のもじもじだよぉぉぉぉ。


 も、もうダメだぁ、


 こんな……生き恥をかいてこれから生きていけねぇよぉ……お、おぇ……も、もう……じ、自決するしか……。


『そんなくだらないことで、命を捨てるな、馬鹿か君は。

 自虐に理性が働かないって、自分の命に無頓着すぎるだろ、バク人間すぎるだろ。

 てか、まだ死なないとか君、自分で言ってたのにこんなくだらないことで、死ぬのかい?』


 アリシアの言う通りなのだが、俺はせめてもの誠意を表すために、白装束を用意する。


 おえ、おぇ、と嗚咽を漏らしながら、俺は服を脱ぎ、白装束に着替える。





 そんな事をしている間、母さんと愛美ちゃんの間で会話が行われていた。

 

「愛美ちゃん? どうしたの?

 アラタのお洋服、あんまり好きじゃなかった?」


 フルフル、と母さんの問いかけに、愛美ちゃんが首を振る。


「なら、好き?」


 ん、と頷く愛美ちゃんを見た母さんは、嬉しそうに笑う。


「じゃあ、アラタにお礼言わなきゃね」


 そう言うと、愛美ちゃんは首を縦に振るものの、微妙な反応をする。


 こういう時だけ、勘の良い母さんは察する。

 はは〜ん、と意味ありげな表情をし、愛美ちゃんに質問を投げかける。


「愛美ちゃん、アラタにお礼するのは恥ずかしい?」


 うん、と照れながら愛美ちゃんが頷く。


 ニパ〜〜、と母さんの口角が上がる。


 もじもじ、としている愛美ちゃんの耳に顔を近づけ、

 ごにょごにょ、と耳打ちする。


 愛美ちゃんの顔が、真っ赤になる。


「愛美ちゃん、ファイトだよ!!」


 母さんが、尻込んでいる愛美ちゃんを応援する。

 

 そして、


 愛美ちゃんが、動き出す。


 

 

 

 その頃、俺は白装束を着たまま、愛美ちゃんの方を見ていた。


 土下座の上位互換である、逆立ち土下座をするべく正座で待つ。


『いや、ソレはもう土下座じゃなく煽ってるだけだろ

 その姿勢からは、謝罪の意思が1ミリも見受けられないよ、首吊られても文句いえないぞ』


 じゃあ、やっぱり自決か……。


『脳死で死のうとするな』


 そんな重要(くだらない)話をしていると、

 愛美ちゃんがトテトテ、と近づいてきて、


 


「あらたっ!」むちゅっ、


 と、頬にフレンチ・キスをしてくれた。


 まだキスに慣れていないため、唇全体がむにゅっ、と頬につく。



 

 あ、あぁ、ぁ………………………………………………………。


 パァァァァァァァァァ(昇天)


 ( ˘ω˘ )



 うひょー、うひょーとやかましい下界から俺は解放され、天に召される。

 









 

 目が覚める。


 見知らぬ天井……でもないな、見取家の天井だな。


 どうやら、気を失っていたようだ。


 愛美ちゃんにフレンチなキスをされた俺は、天を仰いで気絶していた。


 たぶん、アリシアが天から俺を強制送還したんだろう。


 とりあえず、お礼を言っておこう。


 ありがとう、アリシア。


『君の世界では、感謝イコール拳なのかい?

 顔にめり込んでいる拳をどけたまえ、さもなくば、身体操作で、う〇こ捻り出すぞ』


 こんな奴に感謝するなんて、俺が間違ってたな。

 

『うん、全面的に君が間違ってるねぇ。 

 逆に、君の発言で間違ってないところ教えて欲しいよ』


 なぜ、アリシアにお礼なんぞしたかって言うと、まだ俺は愛美ちゃんにプレゼントを渡せていないから、だ。


 さっきまでの女装は、プレゼントを渡す前段階。


 要するに、オードブルってことだ。


 じゃあ、なんであんなにショックを受けてたかって?


 それは、料理での美味しさの大半がオードブルで決まるからだ。


 前菜の受けが良くない場合、その後に出てくるメインも受けが良くない可能性大。


 そして、俺は愛美ちゃんから頬にベェゼをもらった。


 つまり、勝利だ。


 勝ちが、確定してしまった。


 ふっ、俺も罪な男だ(意味不明)。


 では、愛美ちゃんに渡そうか。


 俺の渾身のプレェゼントゥォォを!!


『めっちゃビブラートがかかってる……キモ……』


 

 俺は、キスして照れている愛美ちゃんに、プレゼント箱を渡す。


 プレゼント箱の中身は――




 ――俺のオリジナル絵本と小説だっ!! 


 

 俺作の絵本は、愛美ちゃんが生まれてから今、そして未来までを描いた物語となっている。

 そして、小説の方は、愛美ちゃんが好んで読んでいる絵本の内容をパロった(パクった)ものとなっている。

 

 自信のある物たちだ。


 いやー、作るのに約二週間必要としたからな〜。


 さぁーて、愛美ちゃんの反応はっ!?


 

 ――真顔。



 ああああああ!!!(ブリブリブリブリブリュリュリュリュリュリュリュリュリュ! ブッチチブブブチチチチブリリィリブブブゥゥゥゥッッッッ!)


 脳死でクソを捻り出す音。


 じんわりと、尻の部分があったかくなってくる。

 ベチャッとした不快な感触がケツに広がる。


 糞の独特な臭い。

 

 そして、

 宣言通り、クソを漏らしてしまうアラタ。


『…………………それはダメだろ、アラタくん(ドン引き)』


 そして無言になるアリシア。

 その顔は、引き攣っている。


 絶望による脱糞を果たした俺。


 愛美ちゃんの素っ気ない反応によって、

 俺は、そのまま天国から地獄に叩き落とされた。







 後日談。


 クソを漏らしたと思った俺だったが、

 アリシアがゲロった時同様、身体操作でどうにかしてくれたようだった。


 なので、実際は、俺はクソを漏らしていない。


 パンツを確認したが、何もついていなかった。


「いやー、実際には漏らしてないけど、漏らしかけるとは、思いもよらなかったな」

『僕が内肛と外肛門括約筋を締めなきゃどうなっていたことか……。 あと、初めて知ったよ。

 人って、絶望するとクソを捻り出すんだね』



 アリシアが、擬人的に漏らしているような感じを出していただけで、本当のところは、何も出ていない。


 それと、


 あの後は、愛美ちゃんが取り繕ったようにまた頬にベェゼをくれた。


 なんて冷め切ったキスなんだ、とアリシアがうるさかったが、俺の落ち込んだ気持ちもフル回復した。


 愛美ちゃんをプレゼントで喜ばすことはできなかったが、俺の黒歴史を増やすこと(女装)で、喜ばすことは出来たので、大成功といかなくても、成功とは言えるだろう。


 うん、そうだ、そうに違いない、と俺は絶望(う◯こ)が出て来ないように、自身に言い聞かせる。

 けつ穴を絞めながら。



『糞オチほど汚いものは、ないね

 ケツの穴が、ガバガバなんじゃないのかい?』


 嬉ションがあるんだから、絶クソもあるだろ!!(逆ギレ)

 あと、お前の発言が一番きしょいし、汚ねぇ。


 アリシアの発言のキモさに、吐き気を覚えるアラタだった。


 まだまだ、アラタの新たな物語は始まったばっかりだ。


 序盤で、この汚さ、これからどれだけ汚くなるのだろうか。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ