第十四話 「やっとプレゼント選び」
女装したまま、お洋服店を出て、ケーキ屋にて愛美ちゃんの好みのケーキのリサーチを行ったアラタ一行。
そして、ショッピングモールからの帰宅後。
俺の女装写真が、場に出されたことで、宴が召喚された。
そして、赤ちゃんムービー視聴会も開催された。
俺が、糞しているビデオを無限再生され、俺はそれを愛美ちゃんと一緒に視るという、苦行をさせられた。
この地獄を呼び寄せた母さんは、涎を垂らしていた。
もうこの人は駄目だ……。
俺の今、唯一の救いは、愛美ちゃんと恋人繋ぎをしていることだけだ。
普通に手を繋ぐよりも、密着度が2割り増しで上がる。
愛美ちゃんの手の感触で、ご飯3杯はイケる。
『オロロロロロロロロロロロロロロ!!』
おい、人の頭の中で、吐くな。
せめて、外に出て吐け。
『オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ!!!』
目の前で吐けたとは、誰も言ってない。
つーか、目の前で吐くな。
目が汚れる。
アラタは、汚れた目を癒すために、愛美ちゃんを見る。
愛美ちゃんが、少し顔を赤くする。
しかし、
癒され中のアラタは、気づかない。
顔を綻ばせ、ニマニマとしている。
そんな状況を見て、アリシアが一言いう。
『…………君は……将来、女の子に刺されそうなタイプだな……』
は? なに急に変なこと言ってんの?ちびガキ。
俺が刺されるなら、世の中の男全員が、刺殺されてるわ。
『何も分かってないな……まあ、僕としてはそっちの方が面白いし、いいか……』
不穏なことを言って、消えるアリシア。
何が言いたかったんだ……アイツ……?
しばらくして、宴が終わった。
愛美ちゃんとも、お別れをして俺は寝る準備をする。
アリシアの言葉が、引っかかるが、どうせ意味のないことを言って俺に不安と恐怖を与えようとしてるんだろう。
気にせず寝るのが1番だ。
そう言ってベッドに入るアラタ。
ちなみに、アラタもベビーベッドからベッドにしてもらった。 一人部屋もちゃっかりゲットしている。
じゃあ、アリシアをボコしに行きますか……!
そうして、眠りに就くアラタ。
(( _ _ ))..zzzZZ
◇
翌日、アラタたちは、愛美ちゃんへのプレゼントをリサーチすべく、ショッピングモールへ再び足を向けた。
お目当ての場所は、すでに決まっている。
それは――
――本屋だ。
初めてのショッピングモールの本屋。
ショッピングモールと本屋は、普段アラタたちが行っている商店街のものとは、別格。
本の種類から何まで、全てが別次元なのだ。
本好きの愛美ちゃんにとって、そこは夢のような世界。
要するに、ディズ◯ーってことだ。
現に愛美ちゃんは、喜びと嬉しさが限界値を超えて、固まっている。
瞳孔がいつもの倍、開いており、目が充血している。
手が、ワキワキと嬉しそうに動く。
正直言って、綾香さんの遺伝子を凄く感じる。
もう少しで、鼻血を噴き出しそうだ。
そして、若干の変態味を感じる。
母さんに似た気がする。
そこは、似なくても良いのに……。
あと、母さん今撮った写真さ、後でくれる?
母さんが、愛美ちゃんの写真を撮っていた。
正確に言うと俺と愛美ちゃんだが、俺は別にいらないのでカウントしてないだけだ。
( *`ω´)b グッ(母さん)「もちろん!」
( *`ω´)b グッ(俺)「ありがとう!!」
謎の親子連携を取るアラタと秋子。
それを愛美ちゃんは、羨ましいそうに見たいる。
アラタは、母である秋子のカメラ画面に夢中でソレには気付かない。
その様子を見て、アリシアが「くくくっ」と笑う。
何笑ってんの?
『ぃーんにゃ、何でも無いよアラタくん……』
ニヤニヤと、笑っているアリシア。
あ〜、なるほどぉ〜、死ね〜?
よく分からないが、何か企んでいるのは分かったので目潰しだけしといた。
ぐわぁあ! 目がッ!目がぁあああああ! と叫び声を上げながら床を転げ回るアリシアを放置し、
俺と愛美ちゃんは、本屋というディズ〇ーランドに入園した。
さあ、ここで愛美ちゃんの好きな本を見つけるぞ!!
◇
そう意気込んで入ってから1時間後。
「な、なんの成果も得られませんでした!!」
調査兵団の隊長と副隊長に頭を下げる。
そう俺は、誕生日プレゼントの事前調査のために、愛美ちゃんと共に本屋に入ったが、
愛美ちゃんは、いつも読んでいる絵本のところに行き、10冊ほど選りすぐりのものから選び、買った。
しかし、
それではダメなのだ。
俺たちが、俺が欲しい情報は、新たなジャンルの開拓情報、つまり愛美ちゃんが興味を持てる絵本以外のジャンルについてだ。
愛美ちゃんがどんな絵本を好きなのかは、すでに熟知している。
愛美ちゃんに、最高に喜んで欲しい。
そのためには、絵本以外で愛美ちゃんの興味が湧き、かつインパクトのある物が必要なのだ。
だから、本屋では愛美ちゃんを絵本コーナーから別のコーナーに誘導していた。
では、
なぜ、それで俺が成果を得られなかったかと言うと――
――愛美ちゃんの無表情を見抜けなかったからだ。
俺は、愛美ちゃんを漫画コーナー、小説コーナー、ライトノベルのコーナーなどに、誘導し、反応を伺った。
しかし、ここで愛美ちゃんの無表情が発動する。
そうして、全てのコーナーを回った後、俺は瞬間記憶した愛美ちゃんの顔の差異をアリシアの協力の元、行った。
だが、アリシアの助力も虚しく、俺は愛美ちゃんの表情を見抜くことは出来なかった。
アリシアに解析させたところ、表情筋が1ミリも動いてないそうだ。
もう人の域を超えている……。
まあ元々、愛美ちゃんは人ではなく、
「天使」なので、人の域はとっくに超えている。
そんなこんなで、俺は今、母さんと綾香さんに謝罪することとなった。
俺のガチ泣きに、母さんも綾香さんも許してくれた。
愛美ちゃんが、頭を撫でてくれた。
余計に悔し涙が零れた。
アレは、俺と愛美ちゃんの勝負だったのだ。
俺が、愛美ちゃんの表情を読めるか否かの勝負だ。
俺は、その勝負に負けた。
そして、勝負相手の愛美ちゃんに慰められた。
悔しくもあり、嬉しくもある。
俺の涙は、嬉し涙半分、悔し涙半分だった。
何の成果も得られなかったが、その日はケーキを買って帰った。
愛美ちゃんの好みのケーキを事前調査するためだ。
ケーキに関する調査は、順調なようで、綾香さんは誕生日ケーキの構成を練り始めていた。
俺とは、大違いだ……とほほ……(泣)。
ほろり、と涙が零れる。
事前調査が失敗に終わった俺は、愛美ちゃんに喜んで貰えるプレゼントを血眼になって探した。
そうして、愛美ちゃんの誕生日、当日。
その日は、やって来た。
俺は緊張で心臓が飛び出そうだが、それをなんとか堪え、ケツの穴をグッと引き締める。
行こう。
死地に向かうような顔つきで、アラタは見取家に赴く。




