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「もったいないお言葉をありがとうございます
一度施設長にも相談させてください」
ジャックは前向きな検討をしていた
「アレクセイ様……
大変光栄なお話をありがとうございます
あ、あの……も、申し訳ありません！
私は、勤めている所の方達に助けられました。
本当にお世話になっています…
でも、まだそのご恩を返せていません
で、ですので、その、今回のお話は辞退させていただきたく思います。
申し訳ありません！」
ソフィアは深く頭を垂れる
「ソフィア嬢、顔をあげて…」
「アレク、私のソフィアを追い詰めないで」
「あ、あのっ？ え⁉︎」
ソフィアはぎゅうっと女性に抱きつかれて
驚き戸惑う
そしてその女性の顔を見てさらに驚愕した
「ソフィア！やっと、会えたわ。私は、リリアーナ・フォルスター。あなたのことは、聞いているわ。私のことはリリーと呼んでちょうだい」
「あ、あの？」
その女性が身に纏っているのは庶民の服装だけれど、どこか仕草に優雅な気品がかんじられる
女の自分でも思わずドキッとするような甘い香りがした
「つらかったわね、ぐすっ、私、先程アンジェリカ嬢に会ったの…
あなた、本当に本当に、酷い仕打ちを受けたのでしょうね。
でももう大丈夫よ、我が家に行きましょう！」
「ソフィアと離れてもらえるか、ご令嬢」
片腕でソフィアを抱きしめているグレッグは、急に割り込んできたリリアーナを威嚇する
「あなたは？」
「名乗る前にご自分が名乗られては？」
「本当によく似ているな。」
アレクセイはリリアーナとソフィアを交互に見比べて頷いている
「どこがですか、ソフィアとは似てもにつきません！ ソフィアの柔らかな雰囲気や、穏やかな声色、春のような爽やかな匂いなども感じられません。パッと見ただけでも、サイズが違うではありませんか」
ソフィアは何も答えられずに羞恥に悶える
「おい、グレッグ、お前…サイズって…
セクハラ発言だからな…
それにリリーのことを冷めた目で見ないでくれるか。
リリーは私の婚約者だ。正式に公表していないのであまり知られていないが。
お前と好みが似ているのは驚いたな
共通点ができたようで嬉しいよ。
リリーとの馴れ初めを聞きたいか？ 少し長くなるが…」
「それはおめでとうございます。
ですが殿下との共通点は全くありませんし、興味もありません
それよりも
ソフィアを返していただきたい！」
「グレッグ様とおっしゃるのかしら。なぜにソフィアをあなたに返さないといけませんの？」
「婚約者だからです」
「なんですって？ソフィアの婚約者……私は認めませんわ！
ソフィアは我がフォルスター家からソフィアを大事にしてくださる然るべき方と一緒になってもらいたいですわ。
今まで散々辛い目にあったのだもの…
アンジェリカ嬢の仕打ちは尋常ではありませんでした。ソフィアには幸せになってほしいのです！」
「あ、あの……」
「「ソフィア！」」
両腕をリリアーナとグレッグによりつかまれて、ソフィアは身動きができずにいた
「グ、グレッグさま…」
グレッグに助けを求めるものの、リリアーナはソフィアを放そうとしない
「そこまでおっしゃるのならば、証明みせてくださる？」
「のぞむこところだ」
「のぞむこところだ！……が、今はソフィアを休ませたい。
リリアーナ嬢、この通りだ。
どうか、今日の所はソフィアを連れ帰らせてほしい。」
グレッグは真摯な姿勢でリリアーナに頭を下げて言葉を続ける
「どうか、ソフィアに無理強いをしないでほしい。お願いだ」
「グレッグさま……」
また私のせいでグレッグさまに負担をかけてしまう
「リリアーナさま、お会い出来て大変嬉しく思っています。ですが、私は……私もグレッグ様と共にいたいのです。
どうか、今日の所は三日月亭に帰ることを許していただけないでしょうか」
ソフィアもグレッグと共に頭を下げて懇願した
ソフィアは、いまだ両手をリリアーナとグレッグに掴まれた状態だった。
二人が頭を下げた状態なので、まるでリリアーナが悪者のような構図だ
「ソフィア……あなたの気持ちも聞かずに急かしてごめんなさい。
グレッグ様、ソフィアを早く休ませてあげてください」
