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傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られてます〜  作者: 涙乃


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18ソフィアside②

「婚約おめでとう…ソフィア、こんな時に聞くのも変だけど、あのさ…」



「しっ! 誰か来る」




キースの声により二人は口を噤んだ


言われた通りにおとなしく項垂れる


ソフィアは必死に聞き耳をたてていた


しばらくすると、かすかに複数の足音が耳に届く



足音がはっきりと聞こえるような距離まで近づいてきたので、すぐに動けるように座り直す


「おい、3人とも出ろ」


見上げると、二人の男が扉の前に立っていた


一人の男がガチャガチャと牢の鍵を回した後、格子戸を開いた


ソフィアとジャックは、立ち上がってじっとしていた


キースは先頭に立ち一人で牢の扉から出ると、素早く目の前の男に頭突きをくらわした。男がひるんだ隙に腹部に拳を打ち込む



「ウガッ」


そして背後のもう一人の男に、肘鉄をお見舞いした後、振り向きざま首元に手刀を落とす


「グァッ」


バタバタと呆気なく男達は気を失って倒れた


「二人共お待たせしたっす」



「す、すごいですキースさん」


「ソフィア、歩けるか?急ごう」


ソフィアとジャックが牢の外に出ると、キースは倒れた男達を、牢の中へと転がし入れて鍵を閉める


「とりあえずこっちに進もう、二人とも俺の後ろに」



出口へと向かって薄暗い廊下を小走りで進んだ



「まずいっ、こっち」



先頭を走るキースがいきなり立ち止まり、ソフィアとジャックを隠すように脇道へと押しやる


息を潜めて様子を窺うと、足音と話し声が聞こえてきた



何を言っているのかは聞き取れず、遠ざかって行く


「大丈夫そうっすね」



「キースさん、ソフィアのことをお願いします。ちょっと気になることがあるので、僕のことはお構いなく。ソフィア、ごめん、先に逃げて、お願い」



「ジャック!」


「一人でどこ行くんですか!」



再び進もうとした時に、ジャックが思い詰めた表情で、一人で駆け出して行ってしまった





「ソフィアちゃん、俺たちだけでも先に脱出しよう」


「キースさん、ごめんなさい」


「あっ、ソフィアちゃん、ちょっと待って」


 ジャックの後を追いかけて行こうとするソフィアを、キースは慌てて腕をつかんで引き留める


「あっと、突然触れたりしてごめん、でも一人だと危ないから」



「ジャックが、ジャックが…キースさん、お願いします。胸騒ぎがするんです、このまま、また会えなくなるような気がして…」


「…分かったから、ソフィアちゃん。俺が連れ戻してくる。ソフィアちゃんは見つからないように隠れていて、絶対に一人で動いたりしないで、いい?」


「キースさん…」


ソフィアを一人残すことに、キースは後ろ髪が引かれる思いだった


ジャックさんが何をしに行ったのか分からない


ソフィアちゃんを一緒に連れて行くのは危険だ


これ以上危険な目に合わせる訳にはいかない


男達の目が覚めるのも時間の問題だ


騒ぎ出す前にソフィアちゃんを連れ出したい


あまり時間がない


ジャックさんの状況次第では、ソフィアちゃんだけでも強引に連れ出さなければ


キースはジャックの消えて行った方向に向かって駆け出した








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